不死身の魔女との妖しい契り~そして俺は魔女の剣となる~

nene2012

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狂える魔女カタリーナ

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 カサンドラ達は館の近くにやって来ると、辺りを警戒しながら歩き始めたのだ。
 館の外観は豪華な造りとなっており、窓は全て板が打ち付けられている。更には周りを鉄製の柵で囲まれているのである。
 庭には連日のように自身の快楽のために殺されている民衆の死体が数々打ち捨てられていたのだ。
 館の前に来ると、配下の1人であるシェールが小声で話してきた。

「カサンドラ様……。この館には罠が仕掛けられているかもしれません……」

 シェールの言葉に他の配下達も頷き、同意したのだ。

「そうね……。でも、行かなければ魔女を倒すことが出来ないわ……」

 カサンドラがそう言って館に近付こうとした時、配下の1人であるサロメが話し掛けてきたのである。

「カサンドラ様……。私が先に……」

 彼女はそう言うとゆっくりと館に近付き扉を蹴り破ると中に侵入したのだ。すると中からは静寂が訪れたのである。

「どうしたのかしら?」

 カサンドラは不思議に思いながらもサロメの後に続いて中に入って行くと、中は豪華な造りとなっており通路には赤い絨毯が敷き詰められていた。その両側の壁には絵画や壺などの美術品が並べられていたのである。
 だが、今や美術品以外に女性の頭部や切り取られた手足、乳房、性器も並べられていたのだ。
 その余りにも異常な光景にカサンドラ達は嫌悪感を感じていたのだった。

(悪趣味にも程があるわね……。気が狂っているとは本当の事なのね……)

 カサンドラがそんなことを考えていると、彼女は通路の先に階段があることに気がついたのだ。
 そして、その階段の途中に踊り場があり、そこに1人の女性と3人の男性が待ち構えていたのである。

「よく来たわね……。修道女姿の魔女さん……」

 見た目は10代半ばの少女はそう言うと妖しく微笑みながらカサンドラ達に近付いてきたのだ。その女性は綺麗な顔立ちをしているのだが、血で濡れたかのような赤い唇をしていた。
 そして、手には顔の部分に目や鼻、口が付いている人形を手に持っていたのだ。

「貴女がこの町を支配している魔女なのかしら?」
「そうよ……。私が、この町を支配している魔女でカタリーナと言うわ……」
「貴女は何故、罪もない人達を毎日のように殺すのかしら?」

 カサンドラの言葉に少女は可笑しそうに微笑むと彼女の問いに答えたのである。

「そんなの決まっているじゃない……。楽しいから殺したのよ♪」

 少女はそう言うと両手を広げて笑い出した。そんな彼女の様子を他の配下達は唖然と見ていたのだ。

「貴女は狂ってる……」

 配下達がそう告げると、彼女は不機嫌そうに話し掛けてきたのである。

「酷いことを言うわね……。残念だわ……」

 彼女は手に持っていた人形の首をいきなり曲げたのだ。
 すると、カサンドラの首がゴキッという音を立てて折れ横に90度傾いたのである。

「えっ?」

 彼女は首が傾いたまま何が起きたのか分からずに呆然としていると、直ぐに激しい痛みが襲ってきたのだ。

「ぎゃぁあああ!?」

 カサンドラは悲鳴を上げると地面に倒れ込んでしまったのだった。

「カサンドラ様!」

 配下達が慌てて近付くとカタリーナはクスクスと笑いながら話し掛けてきたのだ。

「大丈夫? その首の骨、元に戻してあげるわ……」

 カタリーナがそう言うと人形の首を元に戻すと、カサンドラの首も正常な位置に戻ったのだ。だが、彼女の首の骨は折れたままであるので首は傾いていた。

「……何をした!?」

 カサンドラはカタリーナに文句を言うと、彼女は笑い出したのだ。

「面白いわよ、貴女の折れた首! まるで操り人形みたいね♪」

 カタリーナはそう言うと再び、人形の左手の肘を曲げたのである。すると、ボキッという音がしてカサンドラの左の肘の骨が折れたのである。

「ぐわぁああ!?」

 カサンドラは悲鳴を上げのけ反っていた。そんな様子を見てカタリーナは笑い続けていたのである。
 そんな様子に配下の1人であるサロメが怒りを露にしたのだ。

「貴様……!!」

 武器を構えて攻撃を仕掛けようとしたのだが、カサンドラは彼女を制して立ち上がると話しかけたのだ。

「ここは一旦、館から退くわ……」
「ですが……!!」

 カサンドラの言葉に反論しようとしたたのだが、彼女はやんわりと諫めながら言ったのである。

「大丈夫……態勢を整えるわ……!」

 彼女の言葉を聞いた他の配下達も引き揚げようとしたのだ。だが、カタリーナはクスクスと笑いながら彼女達に話し掛けてきたのだ。

「逃がすと思ってるの?」

 カタリーナがそう言うと同時にカサンドラは呪文を唱えていた。

「閃光の眩しさと爆音で目、耳を混乱させよ! 気絶しろ!!」

 カタリーナを始め彼女の配下達もカサンドラの魔法で作り出した激しい閃光と爆発音で視力、聴力を一時的に失っていた。

「うぅ……」
「眩しくて何も見えない!」
「耳鳴りがする……」

 カタリーナ達は呻き、視力、聴力を失いその場で固まっていた。呪文を唱え終わると彼女は配下の5人に指示をだしたのである。

「今の内に退くわよ!」

 直ぐに皆慌てて館から逃げ出したのだった。

 館から逃げ出したカサンドラ達は町の広場までやって来ると、近くの民家の倉庫に隠れることにした。

「カサンドラ様……。その首の骨は大丈夫なのですか……?」

 配下のレアンが心配そうに話し掛けてきたのだ。
 彼女はカタリーナに首を折られた時に、カサンドラの首が傾いたままであることを気にしていたのである。

「……大丈夫よ。少し時間は掛かるけど、治るわ……」

 彼女の返答を聞いたレアンは安心しながらも、今後のことを彼女に訊ねた。

「これからどうするのですか……?」

 彼女の質問にカサンドラは暫く考えると配下達に指示を出したのである。

「それぞれ別々に戦うの……。まずは、サロメは配下の1人と……。シェール、ノバ、ロシェル、レアンは残りの配下と……。私はカタリーナと決着をつけるわ」

 カサンドラの指示を聞いてそれぞれ頷くと直ぐに行動を開始したのだ。
 カタリーナ達は館から出てくると、カサンドラ達を探し回っていた。

「あら? あの魔女は逃げたのかしら?」

 カタリーナが呟くと彼女の側にいた配下の1人であるセドリックが話し掛けてきたのだ。

「何処かに隠れているのではないか……?」
「そうね……。じゃ、探しましょう♪」

 彼女はそう言うと部下を連れて町中を歩き始めたのだった。
 一方、カサンドラ達は民家の倉庫に隠れて様子を伺っていた。彼女の首と肘はもう治っていたのである。
 そして、配下達に指示を出していたのだ。

「私がカタリーナを誘い出すわ……。皆はその後に攻撃を仕掛けて……」

 彼女の指示を聞いて全員が頷くと各自行動に移ったのだった。
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