不死身の魔女との妖しい契り~そして俺は魔女の剣となる~

nene2012

文字の大きさ
上 下
48 / 105

教会にて

しおりを挟む
 俺達はランシーヌの案内でエルミス教の教会に向かう事にしたのだ。

 しばらく歩くと、街外れにある立派な教会が見えてきた。だが、そこは異様な雰囲気に包まれていたのだ。

 それは、静寂が支配しており誰もいないかの様に感じられたからだ。俺達は警戒しながら教会に近付いていったのだ。


「誰もいないのか?」


 俺が聞くと、ランシーヌは首を横に振って答えていた。


「分からない……。でも、確かに魔女の気配が残っているわ……」


 彼女はそう言うと警戒しながら教会の扉を開けて中に入ることにしたのだ。

 俺は警戒しながら、中に入ったのである。だが、教会の中は薄暗く不気味な空気に包まれていた。

 警戒しながら教会内を探索することにしたのだ。俺達はいつでも戦える準備をしていたのである。

 教会の奥に進んでいくと、祭壇の上に誰か居ることに気付いたのだ。


「誰だ!」


 俺が叫ぶと、その人影はゆっくりと振り返り俺達の方に視線を向けてきたのだ。それは女性であった。

 彼女は黒を基調とした異国のローブに身を包んでいた。そして、その顔は美しく肌は褐色であるが冷たい目をしていたのだ。


「お前が……魔女なのか?」


 警戒しながら言うと、彼女はニタリと笑った。


「ふふっ……、ようやく他の魔女に会えた……」

「何?」


 俺が困惑していると、彼女は祭壇から降りてきたのだ。そして、ランシーヌ達に目を向けると彼女らを睨み付けていたのだ。


「その者達は……、お前の配下か……」


 そう言うと彼女はランシーヌを見詰めてきたのだ。その眼は冷徹で憎しみが込められているようだった。


「貴女は、この町で神父を立て続けに殺していたのね……」


 ランシーヌが言うと、彼女は笑ったのだ。


「ふふっ……、その通りよ……」

「何故、神父達を殺したの?」


 ランシーヌが聞くと、魔女はクスクスと笑っていた。そして、彼女に答えていたのだ。


「エルミス教が憎いから……」


 そう言うと、魔女は憎悪に満ちた目をして俺達を睨んでいた。


「エルミス教による仕打ちで異教徒として殺された……。だから、私は許せない……」


 俺は魔女の言葉を聞きながら、彼女の境遇を考えていた。エルミス教は異教徒に対して厳しく処断すると聞いていたからだ。


「それで……、神父達を殺していたの?」


 ランシーヌが聞くと、彼女は頷いたのだ。


「そうよ……、私の怒りと憎しみは収まらないわ……。同時に他の魔女の存在も許せないけどね……」


 魔女はそう言うと、今にも攻撃を加えてきそうな雰囲気を醸し出していた。


「貴女は1人だけど、私達は5人いるわ……。それで、戦うつもりなの?」

 ランシーヌは強気で魔女に対して言っていた。どうやら、彼女も戦う覚悟を決めたようだ。


「何も策を講じないで相手をするわけがないじゃない……」


 そう言うと、魔女はニヤリと笑ったのだ。そして、指を鳴らすと教会の内部全体に魔法陣が浮かび上がってきたのだ。

 魔法陣から放たれる光は妖しく輝いていたのだった。


「何だ? これは?」


 俺が警戒しながら聞くと、彼女は答えていた。


「ふふっ……、私は魔女よ……。強力な結界を張ることが出来るわ……。その結界内から出ることは容易ではないわ……」


 そして、彼女は笑いながら俺達に言ってきたのだ。


「これで貴方達はここから脱出することは不可能よ……。この教会から出ることもね!」


 どうやら、魔女の罠にはまってしまったようだ。この状況をどう打開するか考えていると、ランシーヌも困惑していた。


「どうやら、罠に掛かったようね……」


 ランシーヌは魔女に対してそう宣言していた。しかし、彼女は思索していたのであった。


「結界か……、かなり強力なものだわ……。それを解除するのは容易ではないわね……」


 少し思慮した後、彼女は爆発の魔法を使って無理やり結界を破壊しようと思ったが、そんな事をすれば自身以外の仲間達を殺してしまう恐れがあったのだ。

 故に、他の結界の解除方法を模索していたのである。そんな中、俺や双子、シャイラは狼狽していたのだが……。

 しかし、彼女は何かを閃いたようだった。

 彼女は俺達に向かって微笑むと、魔女の方を向いて話を始めたのだ。


「結界を解く方法を見つけたわ……」


 ランシーヌの言葉に、皆は驚愕していた。


「なっ……何だって?」

「解けるの?」

「どうやって!?」


 彼女の言葉に動揺していると、彼女はニヤニヤしながら話すのだった。


「今から私が爆発の魔法を使うわ」


 その言葉に、俺は慌てて彼女を止めようとした。だが、彼女は俺に微笑みながら答えていたのだ。


「大丈夫よ……。私を信頼して……」


 彼女が真剣な眼差しで言うと、それ以上は何も言えなかった……。そして、彼女は詠唱を始めたのだ。


「猛る炎よ集え、そして弾けて破裂せよ!」


 そう叫ぶと彼女は魔法を発動させたのだ。すると、教会の屋根に向けて爆発が起こり粉々になったのである。


「何っ!?」


 魔女は驚いていた。まさか、屋根を壊すとは思っていなかったようだ。

 教会の中に煙や埃が充満してきたが、次第に薄れていき視界が晴れてきた。

 そして、俺達は教会から脱出しようと出口に向かって走っていた。しかし、崩れた天井から急に突風が吹いてきたのだ。

 俺達はその突風に吹き飛ばされ壁に激突してしまい、倒れてしまった。何とか立ち上がろうとした時、目の前には魔女と配下と思わしき女性が立っていたのである。

 女性の脇にはシャイラが抱きかかえられていた。彼女は気を失っていたのである。


「シャイラ!」


 俺は叫ぶと、魔女は薄笑いを浮かべながら見詰めていた。そして、ランシーヌを見ながら苦々しい笑みを浮かべていた。


「ふふっ……、まさかこのような手を使ってくるとは……」


 彼女はそう言うと、俺や双子達に視線を向けてきたのだ。その瞳からは殺気が放たれていた。


「しかし、今日は退こう……。また、相見まえる時を楽しみにしてるわ……」


 そう言うと、彼女はシャイラと一緒に呪文を唱え消えてしまった。

 配下の女性も姿が霧状になっていき、突風となって天井から出て行ったのである。


「くそっ……、逃げられたか……」


 俺は拳を握り締めながら呟いていた。だが、今はシャイラの身が心配であったのだ。


「魔女が居る場所を捜さないといけないわね……」


 ランシーヌの言葉に俺達は頷いたのだ。だが、魔女が何処に潜んでいるか分からなかったのである。


「とりあえずは……、情報を集めて捜すしかないか……」


 俺がそう言うと、ランシーヌも頷き同意してくれた。そして、俺達は教会から出て行き、引き続き情報を集めることにしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...