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姉弟の正体
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ミラとニアは、シャイラとダリルに対峙していた。
「私達が相手をするわ……」
ミラは犬歯が伸びた口元を見せながら、シャイラを睨んでいた。
「吸血鬼だったのね……」
「そうよ! 貴女の魅了の能力は、私には効かないわ……」
「じゃあ、今から後悔させてあげるわ!」
シャイラはニヤッと笑みを浮かべ、ミラに向かっていった。
「かかってきなさい!」
ミラも向かってくるシャイラに構えた。
一方、ニアとダリルは対峙すると、お互いの出方を伺いながら動かなかった。
「お前が来ないなら、こっちから行くぞ!!」
そう言うとダリルの体に変化が表れていた。
頭部が蛇の顔になっていき牙が生えてきて、素肌が見えているところから鱗が生えていったのである。
「その姿は……!?」
ニアはダリルの変化を目の当たりにして驚いていた。
「これがアンドレア様から貰った力だ! お前は、僕が殺してやる!」
「やってみなさい!」
ニアは余裕を見せていたが、内心は動揺をしていたのである。
(あの少年が蛇人間になった……)
ニアが考えているうちに、ダリルはニアに飛び掛かり牙を突き立てようとした。
しかし、ニアは寸前のところで横に飛んで避けて回避した。
だが、ニアが立っていた場所の地面がえぐれていて、ダリルの力が想像以上に強いことに驚きを隠せなかったのである。
姉弟の変化は、シャイラにも生じていた。
上半身は人間のままだが、口には蛇の牙が生え下半身は蛇の様な長い尻尾が生えていたのである。
まるで、伝説上の魔物である半人半蛇のラミアの姿だった。
「私の変身した姿を見た者は、みんな死ぬのよ!」
「そんな事は、させない!」
「吸血鬼如きが! 調子に乗るんじゃないわ!」
シャイラはミラに向けて牙から毒液を吹きかけたのだった。
「うっ!」
ミラは咄嵯に腕でガードしたが間に合わずに、腕に少し掛かってしまった。
「あぁっ!」
次の瞬間、ミラの腕の皮膚が爛れていき、そこの部分が変色していった。
ミラは苦痛で顔を歪めながらも、シャイラを睨み付けていた。
「フハハッ! 死ねぇ!!」
シャイラはミラに止めを刺そうと近付いていく。
「させない!!」
ニアが横からシャイラに蹴りを入れて吹き飛ばしたのである。
「ぐあっ!」
シャイラは、蹴られた衝撃で後方に飛ばされたが何とか態勢を直した。
そして、ニアを睨んで舌打ちをしている。
「邪魔をするな!!」
「黙れ! あんたに、ミラは殺らせないわ!!」
ニアはシャイラを睨み返しながら、足を広げて重心を落として身構えていた。
「僕を無視するなんて余裕だな!!」
ダリルがニアとミラに向かって飛び掛かってきたのだ。
双子達と姉弟が戦っている頃、ランシーヌとアンドレアは対峙していた。
「私達、魔女は何のために存在しているのだろうか……」
アンドレアはランシーヌに問うてみた。
「そんな事考えたこともないわ……。私は『他の魔女を打ち倒し最後の魔女となれ!』という言葉に従っているだけよ……」
「そうか……。では、最後の魔女になったら、どうなるのか知っているか?」
「知らないわ……。それより、貴女は魔女として復活する前の記憶はあるの?」
「ある……。復活する前に魔女狩りに遭って処刑されたのだ。その時に死んだはずなのだが、気が付いたら魔女として復活していた」
「そう……。私には記憶がないけど……」
その時のランシーヌの表情には僅かに寂しさの翳りが見られたのだった。
「そうなのか……。私が、この町の領主になれたのも前領主が父だったからだ。死んで復活するまで10年程かかったがな。復活して父に会ったら父は老けていたが、私を見てすぐに気付いていた。父が魔女の力を知っていたかどうかは分からないが、私が生きていた事を知った途端、娘だと認めて喜んでくれた。その反面、私の力に不気味さを感じて怯えていたがな……」
アンドレアは長々と自分の過去を話始めた。
「そして、父は病で亡くなったが、私はこの町を治めようと魔女の力を使い人々を疫病から救って来た。すると、民が私を疫病から救う救世主として崇めてくれたのだ……」
「そう……。つまらない話ね」
ランシーヌは興味なさそうに返事をしていた。
「……すまない。話が長くなったな。では、お互い戦いを始めようではないか?」
「いいわ……」
ランシーヌは、アンドレアに向かって残っていたウィルオウィスプを数体飛ばせていった。
飛んで行ったウィルオウィスプはアンドレアの元で爆発したのであった。
「やった!?」
ランシーヌは、爆発の煙で見えなくなっている場所を見て笑みを浮かべている。
しかし、煙が晴れてくると無傷のアンドレアが姿を現したのである。
「そんな攻撃は、効かんぞ……」
「……嘘でしょ?」
ランシーヌは信じられないという顔をしており、次の攻撃に困っていた。
「次は私の番だな……」
アンドレアはそう言うと、呪文を唱え始めたのである。
「魔女の盟約により命ずる。契約により出でよ、忌むべき悍ましい地獄の獣よ!!」
アンドレアが呪文を唱え終わると、地面が隆起していき穴が開き、その中から魔物が現れたのである。
それは、顔は獅子で胴体は山羊、尻尾は蛇の姿をした魔物だった。
この魔物を書物等で知っていれば、神話上の伝説の魔物キマイラであったと認識してたであろう。
キマイラを見た、ランシーヌはアンドレアの召喚士としての実力に驚いていた。
召喚した魔物の強さが召喚士の格と比例するからだ。
「こんな化け物を呼び出すなんて……」
「では、行くぞ!」
キマイラは咆哮を上げると地面を蹴ってランシーヌに襲いかかってきた。
「私達が相手をするわ……」
ミラは犬歯が伸びた口元を見せながら、シャイラを睨んでいた。
「吸血鬼だったのね……」
「そうよ! 貴女の魅了の能力は、私には効かないわ……」
「じゃあ、今から後悔させてあげるわ!」
シャイラはニヤッと笑みを浮かべ、ミラに向かっていった。
「かかってきなさい!」
ミラも向かってくるシャイラに構えた。
一方、ニアとダリルは対峙すると、お互いの出方を伺いながら動かなかった。
「お前が来ないなら、こっちから行くぞ!!」
そう言うとダリルの体に変化が表れていた。
頭部が蛇の顔になっていき牙が生えてきて、素肌が見えているところから鱗が生えていったのである。
「その姿は……!?」
ニアはダリルの変化を目の当たりにして驚いていた。
「これがアンドレア様から貰った力だ! お前は、僕が殺してやる!」
「やってみなさい!」
ニアは余裕を見せていたが、内心は動揺をしていたのである。
(あの少年が蛇人間になった……)
ニアが考えているうちに、ダリルはニアに飛び掛かり牙を突き立てようとした。
しかし、ニアは寸前のところで横に飛んで避けて回避した。
だが、ニアが立っていた場所の地面がえぐれていて、ダリルの力が想像以上に強いことに驚きを隠せなかったのである。
姉弟の変化は、シャイラにも生じていた。
上半身は人間のままだが、口には蛇の牙が生え下半身は蛇の様な長い尻尾が生えていたのである。
まるで、伝説上の魔物である半人半蛇のラミアの姿だった。
「私の変身した姿を見た者は、みんな死ぬのよ!」
「そんな事は、させない!」
「吸血鬼如きが! 調子に乗るんじゃないわ!」
シャイラはミラに向けて牙から毒液を吹きかけたのだった。
「うっ!」
ミラは咄嵯に腕でガードしたが間に合わずに、腕に少し掛かってしまった。
「あぁっ!」
次の瞬間、ミラの腕の皮膚が爛れていき、そこの部分が変色していった。
ミラは苦痛で顔を歪めながらも、シャイラを睨み付けていた。
「フハハッ! 死ねぇ!!」
シャイラはミラに止めを刺そうと近付いていく。
「させない!!」
ニアが横からシャイラに蹴りを入れて吹き飛ばしたのである。
「ぐあっ!」
シャイラは、蹴られた衝撃で後方に飛ばされたが何とか態勢を直した。
そして、ニアを睨んで舌打ちをしている。
「邪魔をするな!!」
「黙れ! あんたに、ミラは殺らせないわ!!」
ニアはシャイラを睨み返しながら、足を広げて重心を落として身構えていた。
「僕を無視するなんて余裕だな!!」
ダリルがニアとミラに向かって飛び掛かってきたのだ。
双子達と姉弟が戦っている頃、ランシーヌとアンドレアは対峙していた。
「私達、魔女は何のために存在しているのだろうか……」
アンドレアはランシーヌに問うてみた。
「そんな事考えたこともないわ……。私は『他の魔女を打ち倒し最後の魔女となれ!』という言葉に従っているだけよ……」
「そうか……。では、最後の魔女になったら、どうなるのか知っているか?」
「知らないわ……。それより、貴女は魔女として復活する前の記憶はあるの?」
「ある……。復活する前に魔女狩りに遭って処刑されたのだ。その時に死んだはずなのだが、気が付いたら魔女として復活していた」
「そう……。私には記憶がないけど……」
その時のランシーヌの表情には僅かに寂しさの翳りが見られたのだった。
「そうなのか……。私が、この町の領主になれたのも前領主が父だったからだ。死んで復活するまで10年程かかったがな。復活して父に会ったら父は老けていたが、私を見てすぐに気付いていた。父が魔女の力を知っていたかどうかは分からないが、私が生きていた事を知った途端、娘だと認めて喜んでくれた。その反面、私の力に不気味さを感じて怯えていたがな……」
アンドレアは長々と自分の過去を話始めた。
「そして、父は病で亡くなったが、私はこの町を治めようと魔女の力を使い人々を疫病から救って来た。すると、民が私を疫病から救う救世主として崇めてくれたのだ……」
「そう……。つまらない話ね」
ランシーヌは興味なさそうに返事をしていた。
「……すまない。話が長くなったな。では、お互い戦いを始めようではないか?」
「いいわ……」
ランシーヌは、アンドレアに向かって残っていたウィルオウィスプを数体飛ばせていった。
飛んで行ったウィルオウィスプはアンドレアの元で爆発したのであった。
「やった!?」
ランシーヌは、爆発の煙で見えなくなっている場所を見て笑みを浮かべている。
しかし、煙が晴れてくると無傷のアンドレアが姿を現したのである。
「そんな攻撃は、効かんぞ……」
「……嘘でしょ?」
ランシーヌは信じられないという顔をしており、次の攻撃に困っていた。
「次は私の番だな……」
アンドレアはそう言うと、呪文を唱え始めたのである。
「魔女の盟約により命ずる。契約により出でよ、忌むべき悍ましい地獄の獣よ!!」
アンドレアが呪文を唱え終わると、地面が隆起していき穴が開き、その中から魔物が現れたのである。
それは、顔は獅子で胴体は山羊、尻尾は蛇の姿をした魔物だった。
この魔物を書物等で知っていれば、神話上の伝説の魔物キマイラであったと認識してたであろう。
キマイラを見た、ランシーヌはアンドレアの召喚士としての実力に驚いていた。
召喚した魔物の強さが召喚士の格と比例するからだ。
「こんな化け物を呼び出すなんて……」
「では、行くぞ!」
キマイラは咆哮を上げると地面を蹴ってランシーヌに襲いかかってきた。
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