不死身の魔女との妖しい契り~そして俺は魔女の剣となる~

nene2012

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魔女の本拠地

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 翌日、俺は朝になり目を覚まして支度をしていた。

 すると、扉を叩く音が聞こえてきたので返事をした。


「誰だ?」

「私よ。ニアだよ……」

「私もいるわ……」


 ミラの声も聞こえていた。


「分かった。今開ける……」


 ドアを開けると、そこには着替えた姿の2人が立っていた。


「おはよう!」

「おはよ……」


 双子達が朝の挨拶をしてきた。


「お……おはよう……」


 俺はまだ眠気が残っていて少しボーっとしていたが、何とか挨拶を返した。


「まだ寝惚けてるみたいね……」

「そうみたいね……」

「それより、何か用があるんじゃないのか?」

「もちろん、あるわ!」

「今日の夜にアンドレアの集会に参加するから、今から今夜の計画を話しに来たのよ!」

「そうか、分かった……」

「それで、作戦なんだけれど……」


 それから、ミラとニアが考えた計画を聞いた。

 そして、俺達が夜頃に屋敷を出て行くのを見計らってランシーヌが使い魔を使って後を追わせ、彼女がアンドレアの館にやって来る手筈となった。

 その後、アンドレアの配下達と戦闘になるらしい。

 俺は準備を整え戦いの為に気持ちを切り替えたのである。


 夜を迎え、夕食が終わりアレシアが迎えの馬車が来ると俺達に伝え、その時間が来るのを待っていた。

 暫くするとアンドレアの迎えの馬車がやって来た。


「皆様、こちらへどうぞ……」


 使用人達が誘導して、玄関の前に停まっている馬車へと案内した。

 そして、全員が乗り込むとアンドレアの館へと向かったのである。

 クレムの屋敷を出てから、一匹の黒い獣が音も立てず馬車の後を追っていたのである。

 アンドレアの館の門前に着くと、門の前には数人の男が立っていた。

 恐らく、門番であろう。


「これはクレム様。ようこそいらっしゃいました……」

「うむ……」


 クレムが馬車から顔を出すと門番達に返事をした。


「では、中へどうぞ……」

「うむ……」


 御者が馬を走らせて、アンドレアの館に向かって行った。


 そのまま館の前にある広場に連れて行かれると、10人程の町の人達が集まっていた。


「皆さん、よく集まってくれました……」


 アンドレアは集まった人々に呼び掛けると、人々は歓声を上げていた。


「アンドレア様~!!」

「待っていました!!」

「今日は何をするんですか?」


 人々が口々に質問を投げ掛けている。

 すると、アンドレアは微笑みながら答えていた。

 その様子を見ていた俺は、アンドレアは本当に民衆に慕われているなと感じていた。

 アンドレアは人々の質問に答えると、再び声を上げた。

 そして、アンドレアは今回の集会の目的について語り始めた。


「今回は、貴方達の中に我々の敵対者がいるかもしれないということを伝えに来ました」


 その言葉を聞くと、人々の間に動揺が広がっていた。


「アンドレア様! どういうことですか!?」

「一体誰がそんなことを!?」

「私達の中には、敵対する者などおりません!!」


 人々が騒ぎ出すと、アンドレアは再び話し始めた。


「落ち着きなさい……。我々の中に裏切り者が紛れている可能性は極めて高いのです」


 アンドレアの言葉を聞いて、民衆は動揺している様子だった。


「どうしてですか!?」

「私達は貴方の仲間ではないのですか?」

「私達はこの町の平和を願っているはずです!」

「静まりなさい! 私の話を最後まで聞きなさい!」


 アンドレアの一喝で、辺りは静かになった。


「この町には恐ろしい魔女の気配を感じています。そして、私は魔女の気配を突き止めたのです」

「何ですって!?」

「本当なのですか?」

「それはどこです?」

「魔女とは一体誰ですか?」

「慌てないで下さい……。魔女の正体は私にもわかりません……」


 アンドレアは首を振りながら答えていた。


「分からないのですか?」

「残念ですが……」

「そうですか……」

「でも、魔女は間違いなくこの町にいるでしょう。だから、魔女の配下と思われる者達を集めました。彼等は魔女の手先です。この中の誰かが魔女の配下かもしれません」

「そいつらは何処に?」

「ここにいます」


 アンドレアはそう言うと、俺達の方を振り向いた。


「アンドレア様が言っているのは、あいつらのことですよね?」

「確かに怪しいですね……」

「魔女と関係があるかも……」

「まさか、あいつらが魔女の配下だとはな……」

「あいつらを始末すれば、魔女も黙っていないだろう」

「そうだな……。俺達で殺してしまおう……」


 民衆達は不穏な言動を呟いていた。


「ラドリック! お前が魔女の配下だったとはな……」


 クレムが険しい顔付きで俺を睨んできた。


「まさか、私達を騙して近づいたのね……」


 アレシアは驚きと悲しみの表情で見つめてきた。


「ち……違う!!」


 俺は慌てて否定したが周りは全く信じていなかった。


「嘘をつくな!!」

「私達が騙されると思ってるの?」

「アンドレア様の言った通りだわ……」

「お前が俺達を騙していたんだな!」

「許せないわ!」

「覚悟しろ!」


 俺達を責め立てる声が聞こえてきた。

 そして、この状況に困惑している双子達と目が合った。


「どうするの? このままじゃ危ないわよ……」

「襲われたら、あなたの幼馴染は兎も角、一般人も傷つけてしまうかも……」


 双子達が小声で話しかけてきた。


「くっ……!」


 俺は悔しくて拳を強く握りしめていた。


「皆様、落ち着いて下さい……」


 アンドレアが再び一喝すると、民衆達は静まった。


「我々はこれから、あの者達と戦いになります。そこで、私が合図をしたら一斉に襲い掛かかって下さい。いいですね?」


 アンドレアがそう言うと、民衆は声を揃えて了承した。

 そして、アンドレアが俺達に近付いてきた。


「貴方達、悪いけど死んでもらうわ……」


 アンドレアが冷たい視線を向けながら言ってきた。
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