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男装の麗人
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彼女の恰好は男性物の服装であるが、胸があるので女性だと理解した。
「アンドレア様!!」
アレシアは彼女を見ると驚いていた。
「久しいわね、アレシア」
「どうして、ここに!?」
「貴方に会いに来たのよ。それよりも、その人は誰?」
アンドレアは鋭い目つきで俺を凝視してきた。
「彼は私と兄の幼馴染です」
「ふ~ん。私はアンドレア、よろしく。私は、この町の領主をしているわ」
「俺の名前はラドリックと言います。こちらこそ、よろしくお願いします」
「ところで、何で彼がここに居るのか教えてくれる?」
「はい……。実は……」
アレシアは昨日の出来事を話したのであった。
「なるほど……。そういう事なの……」
「はい……」
「それで、彼の事は好きなの?」
「えっ!?」
アレシアは顔を赤く染めた。
「そ、その……好きか嫌いかと言われれば好きですけど……」
「そう……」
すると、アンドレアは突然俺の腕を掴み引き寄せてきたのだ。
「うっ! な、何を……」
俺の唇に柔らかいものが触れた。
「なっ!?」
アレシアは驚きの声を上げたのである。
しばらくしてから、アンドレアがゆっくりと離れていった。
俺は呆然としていたが、ハッと我に返り慌てて後退り離れたのであった。
「な、な、な、何をするんだ!」
「ふっ……そんなに慌てる必要は無いでしょう?」
「いきなり口付けするか!?」
俺は動揺を隠しきれてなかった。
すると、アンドレアは意地悪な笑みを浮かべたのだ。
「ふふっ……、すまない。ちょっとからかってみただけよ」
「からかっただと……」
「あまりにもアレシアが羨ましそうに見ていたものだから……」
「そ、そんな……」
アレシアは顔を真っ赤にして俯いていた。
「まぁ、冗談はこれくらいにして……。ラドリックと言ったか?」
「はい……」
「お前に頼みがあるのだが聞いてくれるか?」
「内容によりますが……」
「簡単な事だ。明日の夜に開かれる私主催の集会に来て欲しいのだ。もちろん、クレム、アレシアと一緒にな」
「何故ですか?」
「それは来てみれば分かる」
「……分かりました。行きましょう」
「そうか……。決心してくれて嬉しいぞ。それじゃあ明日の夜待っている」
そう言うと、彼女は立ち去っていったのだった。
「……」
その場に立ち尽くしていると、アレシアが心配そうな顔で話しかけてきた。
「大丈夫?」
「ああ……。アンドレアという領主は、一体どういう人物なんだ?」
「あの人は、この町では救世主と呼ばれている人なの。彼女の奇跡の力で疫病に罹った人が救われたの。この町の人達は崇拝に近い感情を抱いているわ」
「凄い人なんだな。でも、どうして男装の格好をしているんだ?」
「……きっと深い理由があると思うの……」
俺はアレシアの表情が硬くなったのを見逃さなかった。
「そうなのか……。とりあえず明日、集会に行く事になったから皆に報告しておかないとな」
「そうね……。兄さんには、私が伝えておくからラドリックはランシーヌ達に言っておいて」
「わかった。彼女達が帰ってきたら伝えておくよ」
「うん。お願いするわ」
そして、アレシアと一緒に街に出かけたのである。
ラドリックとアレシアがクレムの屋敷でアンドレアと会っていた頃、ランシーヌ達は街中でネスコーにいる魔女の事を調べていた。
ランシーヌ達は、情報収集をするために酒場に来ていたのである。
店内を見渡すと昼間なのにお酒を飲みながら談笑したり、カードゲームで遊んでいる者達がいたのだ。
「私達も何か飲みましょう」
3人はカウンターに行き飲み物を注文した。
「あんたら、見ない顔だが旅人かい?」
1人の中年の男が声をかけてきた。
「えぇ……」
「ほぉ~。それにしても美人だな」
男はランシーヌ達を見てニヤついていた。
「こんな町に来るなんて物好きだな。観光ならもっと良い場所がいくらでもあるのに」
「いえ、この街に人捜しに来たの」
「人探し? どんな奴だ?」
「それは教えられないわ。秘密だから」
「そうか……。残念だな。せっかく色々と案内しようと思ったのに」
「ありがとう、でも結構よ。それより、この町の領主のことを教えてくれるかしら?」
「アンドレア様の事を? 何でまた……」
「興味があってね」
「そうか。アンドレア様はこの町で救世主と言われている方だぜ。あの方から奇跡の力を与えられたおかげで疫病が治った人もいるらしいしな」
「へぇ……、凄いのね」
「まぁな。他にも、死にかけた人を復活させた事もあるとか聞いた事がある」
「本当に!?」
「もっとも噂だけどな……。だけど、自分の館で若い男女を集めて妖しい事をしているという噂もあるな……」
「妖しい事?」
「ああ……、何でも自分の性癖を満足させるために集めているとかいないとか……」
「そうなの……」
「まぁ、あくまで噂だけどな……。俺も若くて美男子だったら御呼ばれしてかもな。おっと、そろそろ行かないと遅れちまう。それじゃあな」
そう言うと、男は代金を払って店から出て行ったのであった。
「この町の領主が魔女なのは確定ね……」
「そうね……」
「そうみたいね……」
「後は、アンドレアの元に行くだけだわ」
「どうやって行くの?」
「ラドリックに、この事を話し彼の幼馴染の兄妹を利用するのよ」
「なるほど……。上手くいくといいけど……」
そう言うと、3人とも会計をして店を後にしたのである。
「アンドレア様!!」
アレシアは彼女を見ると驚いていた。
「久しいわね、アレシア」
「どうして、ここに!?」
「貴方に会いに来たのよ。それよりも、その人は誰?」
アンドレアは鋭い目つきで俺を凝視してきた。
「彼は私と兄の幼馴染です」
「ふ~ん。私はアンドレア、よろしく。私は、この町の領主をしているわ」
「俺の名前はラドリックと言います。こちらこそ、よろしくお願いします」
「ところで、何で彼がここに居るのか教えてくれる?」
「はい……。実は……」
アレシアは昨日の出来事を話したのであった。
「なるほど……。そういう事なの……」
「はい……」
「それで、彼の事は好きなの?」
「えっ!?」
アレシアは顔を赤く染めた。
「そ、その……好きか嫌いかと言われれば好きですけど……」
「そう……」
すると、アンドレアは突然俺の腕を掴み引き寄せてきたのだ。
「うっ! な、何を……」
俺の唇に柔らかいものが触れた。
「なっ!?」
アレシアは驚きの声を上げたのである。
しばらくしてから、アンドレアがゆっくりと離れていった。
俺は呆然としていたが、ハッと我に返り慌てて後退り離れたのであった。
「な、な、な、何をするんだ!」
「ふっ……そんなに慌てる必要は無いでしょう?」
「いきなり口付けするか!?」
俺は動揺を隠しきれてなかった。
すると、アンドレアは意地悪な笑みを浮かべたのだ。
「ふふっ……、すまない。ちょっとからかってみただけよ」
「からかっただと……」
「あまりにもアレシアが羨ましそうに見ていたものだから……」
「そ、そんな……」
アレシアは顔を真っ赤にして俯いていた。
「まぁ、冗談はこれくらいにして……。ラドリックと言ったか?」
「はい……」
「お前に頼みがあるのだが聞いてくれるか?」
「内容によりますが……」
「簡単な事だ。明日の夜に開かれる私主催の集会に来て欲しいのだ。もちろん、クレム、アレシアと一緒にな」
「何故ですか?」
「それは来てみれば分かる」
「……分かりました。行きましょう」
「そうか……。決心してくれて嬉しいぞ。それじゃあ明日の夜待っている」
そう言うと、彼女は立ち去っていったのだった。
「……」
その場に立ち尽くしていると、アレシアが心配そうな顔で話しかけてきた。
「大丈夫?」
「ああ……。アンドレアという領主は、一体どういう人物なんだ?」
「あの人は、この町では救世主と呼ばれている人なの。彼女の奇跡の力で疫病に罹った人が救われたの。この町の人達は崇拝に近い感情を抱いているわ」
「凄い人なんだな。でも、どうして男装の格好をしているんだ?」
「……きっと深い理由があると思うの……」
俺はアレシアの表情が硬くなったのを見逃さなかった。
「そうなのか……。とりあえず明日、集会に行く事になったから皆に報告しておかないとな」
「そうね……。兄さんには、私が伝えておくからラドリックはランシーヌ達に言っておいて」
「わかった。彼女達が帰ってきたら伝えておくよ」
「うん。お願いするわ」
そして、アレシアと一緒に街に出かけたのである。
ラドリックとアレシアがクレムの屋敷でアンドレアと会っていた頃、ランシーヌ達は街中でネスコーにいる魔女の事を調べていた。
ランシーヌ達は、情報収集をするために酒場に来ていたのである。
店内を見渡すと昼間なのにお酒を飲みながら談笑したり、カードゲームで遊んでいる者達がいたのだ。
「私達も何か飲みましょう」
3人はカウンターに行き飲み物を注文した。
「あんたら、見ない顔だが旅人かい?」
1人の中年の男が声をかけてきた。
「えぇ……」
「ほぉ~。それにしても美人だな」
男はランシーヌ達を見てニヤついていた。
「こんな町に来るなんて物好きだな。観光ならもっと良い場所がいくらでもあるのに」
「いえ、この街に人捜しに来たの」
「人探し? どんな奴だ?」
「それは教えられないわ。秘密だから」
「そうか……。残念だな。せっかく色々と案内しようと思ったのに」
「ありがとう、でも結構よ。それより、この町の領主のことを教えてくれるかしら?」
「アンドレア様の事を? 何でまた……」
「興味があってね」
「そうか。アンドレア様はこの町で救世主と言われている方だぜ。あの方から奇跡の力を与えられたおかげで疫病が治った人もいるらしいしな」
「へぇ……、凄いのね」
「まぁな。他にも、死にかけた人を復活させた事もあるとか聞いた事がある」
「本当に!?」
「もっとも噂だけどな……。だけど、自分の館で若い男女を集めて妖しい事をしているという噂もあるな……」
「妖しい事?」
「ああ……、何でも自分の性癖を満足させるために集めているとかいないとか……」
「そうなの……」
「まぁ、あくまで噂だけどな……。俺も若くて美男子だったら御呼ばれしてかもな。おっと、そろそろ行かないと遅れちまう。それじゃあな」
そう言うと、男は代金を払って店から出て行ったのであった。
「この町の領主が魔女なのは確定ね……」
「そうね……」
「そうみたいね……」
「後は、アンドレアの元に行くだけだわ」
「どうやって行くの?」
「ラドリックに、この事を話し彼の幼馴染の兄妹を利用するのよ」
「なるほど……。上手くいくといいけど……」
そう言うと、3人とも会計をして店を後にしたのである。
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