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カイの帰還
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ユナが俺から離れ、俺を見つめている。
「やったんだね!? 勝ったんだよ! パパはあいつの支配に打ち勝ったよ!!」
ユナは涙を流しながら、また抱き着いて喜んでいた。
俺は憑りつかれた状態から解放されたものの、身体は重く疲労感があった。
俺はアイカの方へ視線を向けると、彼女は微笑み返してくれた。
そして、アイカが口を開いた。
「良かった……。お帰りなさい……隆司君……!」
アイカの言葉を聞き、俺は心の底から安堵した。
俺は俺の身体の中にいた者の影響が完全に消えたのを感じた。
「今回も僕の能力が役に立ったようだね」
広川が声を掛けてくる。
「ああ……。今回は本当に助かった。ありがとう……」
俺は広川に礼を言った。
「そう言えば、どうしてユナは俺が乗っ取られているのに気が付いたんだ?」
俺は疑問に思っていたことを尋ねた。
「えっと、それはね……。アパートで抱き着いた時に心音や心拍数が普段と違うなと思って……。昔、お父様から精神体になって相手に憑りつく秘術があるって聞いたから……。でも、それが当たってよかった~」
ユナが嬉しそうな表情で言う。
「まさか、ユナがそこまで考えてくれていたなんて、俺は嬉しいよ」
俺は娘の成長を喜ぶようにユナに語りかけた。
「あっ……。そういえば、買い物の時に他の奴がエンに憑りついて操っている筈だが……」
俺はふと、思い出しエンの状況が気になった。
「お兄様が彼女の元に帰ってきても、すぐ見破るんじゃないかしら……。お兄様は特別だから」
アイカが呟く。
「私もお兄様なら騙されたりしないと思うよ」
ユナもカイなら大丈夫だと言っている。
「確かに、カイなら見破りそうだな……」
俺もアイカ、ユナの意見に同意した。
「俺の身体を乗っ取った奴は何処に行ったのだろうか?」
俺はアイカ、ユナに尋ねる。
「恐らく、この世界に逃げてきたのであれば何処かに潜んでいるのかも……」
アイカが推測を述べる。
「じゃあ、どうすれば奴を探し出せるのか?」
俺はアイカに訊いてみる。
「うーん……。そうね……。相手の居場所が分からないと探すのは難しいかも……」
アイカが答えに困っている顔をしている。
俺達は皆、思索していた。その時、ユナが何か思いついたようで話し始めた。
「1つだけ方法があるよ」
「本当か? 一体どんな方法なんだ? 」
「私がパパの記憶を読み取るんだよ」
「俺の記憶を? 乗っ取っられていた時は奴から俺の記憶は読み取れていたが、俺からは奴の記憶は読み取れなかったぞ ……」
「だから、私がパパの認識出来ていない記憶を探してあいつの手がかりを探すんだよ!」
「なるほど……。それなら、何とかなりそうだな……」
「ユナ……。本当にできるの?」
アイカは半信半疑の様子だ。
「うん! 任せてよ!」
ユナは自信満々に答える。
「ユナ、頼むよ……」
俺はユナに頼んでみた。
「分かった! やってみるね!」
そう言うと、ユナが俺の頭に手をかざして目を閉じた。
すると、俺の頭の中で映像が流れ込んできた。
ユナは俺の見たことのない記憶を読み取り始めた。
(これは……!?)
ユナが驚いた様子を見せた後、俺の目を見て口を開く。
「パパ……。あいつが何処に潜んでいるか解ったわ……」
ユナが真剣な眼差しで問いかける。
「このマンションに、パパに憑りついた奴の本体がいるみたいなの……」
「何だって!? 」
俺は驚きの声を上げた。
「本当なのかい?」
広川も驚いている。
「ええ……。この部屋が怪しいみたい」
ユナが俺の身体を乗っ取った者が隠れている場所を教えてくれた。
「そうか……。ありがとうユナ」
俺はユナに感謝した。
「パパ! すぐにあいつを倒しに行きましょう!!」
ユナはやる気満々な表情をしている。
俺達はマンションに潜伏している残党の捜索に行動を移した。
隆司が反体制派の残党から身体を乗っ取られていた時、エンを乗っ取った女性の残党はエンのマンションに帰ってカイを待っていた。
自分の身体を乗っ取った者に支配されていく感覚を感じながら、自分が女性の支配から逃れられなくなっていることに恐怖を覚えていた。
(嫌……。こんなのは私の身体じゃない……。カイ……。助けて……)
エンは心の中で助けを求めた。
(お前が、あの男の女で助かったわ……。我々の計画を台無しにした張本人……。お前の愛する男が目の前で死んでいく様子を見てもらうよ……)
女性はエンの精神に干渉し、エンの身体を支配していた。
(私は……。あなた達なんかに屈したりしない……!!)
エンは必死に抵抗するが女の支配からは抗うことはできなかった。
そして、夜になり部屋の扉が開きカイが入ってきた。
「お帰りなさい……」
エンはカイに向かって挨拶をする。
「ああ……」
カイは短く返事をした。
そして、エンの方へ歩いてくる。
「やっと、帰って来たのね……。とても心配してたのよ……」
エンになりすました者は咄嗟に涙を浮かべていた。
「すまない……。向こうの世界で面倒なことに巻き込まれていた……」
「そうだったの……。大変だったのね……」
エンが労わる様に話しかけると、カイは自分の服を脱ぎ始め上半身裸になった。
「きゃっ……! どうしたの急に脱いで……」
カイの裸になった上半身は彫像のように美しく無駄のない筋肉で引き締まっていた。
よく見てみると、左肩は包帯で巻かれていた。
「これは 少しヘマをしてしまってね……」
カイは母から受けた傷を触りながら、遠い目をする。まだ、エンはその傷の経緯を知らない。
「そうなの……。でも、カイって本当に良い身体つきをしているよね……」
エンになりすました者はカイの身体に見惚れてしまっていた。
「そんなことない……」
カイは真面目な顔をしながら答えた。
すると、カイはエンの身体を抱き寄せた。
エンは抵抗することなくカイの腕の中に抱かれる。
そして、カイはエンの唇を奪い舌を入れて深いキスを始めた。
エンになりすました者もそれに応えるように自ら積極的に絡めてきた。
(私でない者が身体を奪っているのに早く気づいて……)
エンは自分ではない者が操っている身体で、カイと激しい口づけを交わしていることに複雑な気持ちになっていた。
しばらく濃厚な口付けを交わすと、お互い口を離して糸を引いた唾液が切れた。
カイの美しい顔が目の前にある。いつものカイとは、まるで別人であった。
エンは今まで見たことのない雄々しいカイの姿に胸を高鳴らせていた。
カイは再び口付けると、今度は首筋や鎖骨辺りにも吸い付くようなキスをしていく。
「あっ……。ここではダメ……。外から見えちゃう……」
エンは身体をビクッとさせながらも、甘い声を出していた。はたしてどちらの声であったのだろうか?
「大丈夫だ……。ここなら、外からは見えない……」
カイは耳元で囁く。
「もう……。しょうがないんだから……」
エンは顔を紅潮させていた。
「では、寝室に行こうか……」
カイはエンの手を引き寝室へと移動した。
寝室に着くと、カイはエンの上半身を脱がせ半裸にした。
エンは恥ずかしそうにしながらも、されるがままになっている。
カイはエンをベッドに押し倒すと、そのまま覆いかぶさる様な体勢になり再び口付けた。
お互いに激しく求め合うように何度も口付けて、2人の息遣いが荒くなる。
「ねえ……。お願いがあるんだけど……。部屋の電気を消してくれないかな?」
エンが潤ませた瞳でカイを見つめる。
「分かった……」
カイが照明のスイッチに手をかける。
(やっと、暗くなるチャンスがきた……。隠し持った毒の短剣で止めを刺してやる……)
(止めて――! 私の身体で彼に危害を加えないで!!)
エンは心の中で叫んだ。しかし、その叫びはカイには届いていない。
「やったんだね!? 勝ったんだよ! パパはあいつの支配に打ち勝ったよ!!」
ユナは涙を流しながら、また抱き着いて喜んでいた。
俺は憑りつかれた状態から解放されたものの、身体は重く疲労感があった。
俺はアイカの方へ視線を向けると、彼女は微笑み返してくれた。
そして、アイカが口を開いた。
「良かった……。お帰りなさい……隆司君……!」
アイカの言葉を聞き、俺は心の底から安堵した。
俺は俺の身体の中にいた者の影響が完全に消えたのを感じた。
「今回も僕の能力が役に立ったようだね」
広川が声を掛けてくる。
「ああ……。今回は本当に助かった。ありがとう……」
俺は広川に礼を言った。
「そう言えば、どうしてユナは俺が乗っ取られているのに気が付いたんだ?」
俺は疑問に思っていたことを尋ねた。
「えっと、それはね……。アパートで抱き着いた時に心音や心拍数が普段と違うなと思って……。昔、お父様から精神体になって相手に憑りつく秘術があるって聞いたから……。でも、それが当たってよかった~」
ユナが嬉しそうな表情で言う。
「まさか、ユナがそこまで考えてくれていたなんて、俺は嬉しいよ」
俺は娘の成長を喜ぶようにユナに語りかけた。
「あっ……。そういえば、買い物の時に他の奴がエンに憑りついて操っている筈だが……」
俺はふと、思い出しエンの状況が気になった。
「お兄様が彼女の元に帰ってきても、すぐ見破るんじゃないかしら……。お兄様は特別だから」
アイカが呟く。
「私もお兄様なら騙されたりしないと思うよ」
ユナもカイなら大丈夫だと言っている。
「確かに、カイなら見破りそうだな……」
俺もアイカ、ユナの意見に同意した。
「俺の身体を乗っ取った奴は何処に行ったのだろうか?」
俺はアイカ、ユナに尋ねる。
「恐らく、この世界に逃げてきたのであれば何処かに潜んでいるのかも……」
アイカが推測を述べる。
「じゃあ、どうすれば奴を探し出せるのか?」
俺はアイカに訊いてみる。
「うーん……。そうね……。相手の居場所が分からないと探すのは難しいかも……」
アイカが答えに困っている顔をしている。
俺達は皆、思索していた。その時、ユナが何か思いついたようで話し始めた。
「1つだけ方法があるよ」
「本当か? 一体どんな方法なんだ? 」
「私がパパの記憶を読み取るんだよ」
「俺の記憶を? 乗っ取っられていた時は奴から俺の記憶は読み取れていたが、俺からは奴の記憶は読み取れなかったぞ ……」
「だから、私がパパの認識出来ていない記憶を探してあいつの手がかりを探すんだよ!」
「なるほど……。それなら、何とかなりそうだな……」
「ユナ……。本当にできるの?」
アイカは半信半疑の様子だ。
「うん! 任せてよ!」
ユナは自信満々に答える。
「ユナ、頼むよ……」
俺はユナに頼んでみた。
「分かった! やってみるね!」
そう言うと、ユナが俺の頭に手をかざして目を閉じた。
すると、俺の頭の中で映像が流れ込んできた。
ユナは俺の見たことのない記憶を読み取り始めた。
(これは……!?)
ユナが驚いた様子を見せた後、俺の目を見て口を開く。
「パパ……。あいつが何処に潜んでいるか解ったわ……」
ユナが真剣な眼差しで問いかける。
「このマンションに、パパに憑りついた奴の本体がいるみたいなの……」
「何だって!? 」
俺は驚きの声を上げた。
「本当なのかい?」
広川も驚いている。
「ええ……。この部屋が怪しいみたい」
ユナが俺の身体を乗っ取った者が隠れている場所を教えてくれた。
「そうか……。ありがとうユナ」
俺はユナに感謝した。
「パパ! すぐにあいつを倒しに行きましょう!!」
ユナはやる気満々な表情をしている。
俺達はマンションに潜伏している残党の捜索に行動を移した。
隆司が反体制派の残党から身体を乗っ取られていた時、エンを乗っ取った女性の残党はエンのマンションに帰ってカイを待っていた。
自分の身体を乗っ取った者に支配されていく感覚を感じながら、自分が女性の支配から逃れられなくなっていることに恐怖を覚えていた。
(嫌……。こんなのは私の身体じゃない……。カイ……。助けて……)
エンは心の中で助けを求めた。
(お前が、あの男の女で助かったわ……。我々の計画を台無しにした張本人……。お前の愛する男が目の前で死んでいく様子を見てもらうよ……)
女性はエンの精神に干渉し、エンの身体を支配していた。
(私は……。あなた達なんかに屈したりしない……!!)
エンは必死に抵抗するが女の支配からは抗うことはできなかった。
そして、夜になり部屋の扉が開きカイが入ってきた。
「お帰りなさい……」
エンはカイに向かって挨拶をする。
「ああ……」
カイは短く返事をした。
そして、エンの方へ歩いてくる。
「やっと、帰って来たのね……。とても心配してたのよ……」
エンになりすました者は咄嗟に涙を浮かべていた。
「すまない……。向こうの世界で面倒なことに巻き込まれていた……」
「そうだったの……。大変だったのね……」
エンが労わる様に話しかけると、カイは自分の服を脱ぎ始め上半身裸になった。
「きゃっ……! どうしたの急に脱いで……」
カイの裸になった上半身は彫像のように美しく無駄のない筋肉で引き締まっていた。
よく見てみると、左肩は包帯で巻かれていた。
「これは 少しヘマをしてしまってね……」
カイは母から受けた傷を触りながら、遠い目をする。まだ、エンはその傷の経緯を知らない。
「そうなの……。でも、カイって本当に良い身体つきをしているよね……」
エンになりすました者はカイの身体に見惚れてしまっていた。
「そんなことない……」
カイは真面目な顔をしながら答えた。
すると、カイはエンの身体を抱き寄せた。
エンは抵抗することなくカイの腕の中に抱かれる。
そして、カイはエンの唇を奪い舌を入れて深いキスを始めた。
エンになりすました者もそれに応えるように自ら積極的に絡めてきた。
(私でない者が身体を奪っているのに早く気づいて……)
エンは自分ではない者が操っている身体で、カイと激しい口づけを交わしていることに複雑な気持ちになっていた。
しばらく濃厚な口付けを交わすと、お互い口を離して糸を引いた唾液が切れた。
カイの美しい顔が目の前にある。いつものカイとは、まるで別人であった。
エンは今まで見たことのない雄々しいカイの姿に胸を高鳴らせていた。
カイは再び口付けると、今度は首筋や鎖骨辺りにも吸い付くようなキスをしていく。
「あっ……。ここではダメ……。外から見えちゃう……」
エンは身体をビクッとさせながらも、甘い声を出していた。はたしてどちらの声であったのだろうか?
「大丈夫だ……。ここなら、外からは見えない……」
カイは耳元で囁く。
「もう……。しょうがないんだから……」
エンは顔を紅潮させていた。
「では、寝室に行こうか……」
カイはエンの手を引き寝室へと移動した。
寝室に着くと、カイはエンの上半身を脱がせ半裸にした。
エンは恥ずかしそうにしながらも、されるがままになっている。
カイはエンをベッドに押し倒すと、そのまま覆いかぶさる様な体勢になり再び口付けた。
お互いに激しく求め合うように何度も口付けて、2人の息遣いが荒くなる。
「ねえ……。お願いがあるんだけど……。部屋の電気を消してくれないかな?」
エンが潤ませた瞳でカイを見つめる。
「分かった……」
カイが照明のスイッチに手をかける。
(やっと、暗くなるチャンスがきた……。隠し持った毒の短剣で止めを刺してやる……)
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