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美怜の目覚め
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日本の人里離れた辺境の地にある非合法の秘密の施設で殺し合いの配信が行われようとしていた。この施設では、1対1で武器を使って殺し合いをさせられていたのである。
その様子を会員に配信して、会員から料金を徴収する仕組みになっていた。
会員は主に大金持ち等の富裕層であり、料金も仮想通貨や海外の銀行口座を使って徴収していたのである。
この施設は裏でも禁忌の場所と認識されており、この施設での殺し合いを配信することは裏社会では半ば黙認されていたのだ。
「もう直ぐ、殺し合いが始まる。男と女の殺し合いだが、5分もかからないだろう……」
施設長がそう呟くと、スタッフ達が頷いた。
「しかし、この殺し合いの何が楽しいのですかね?」
スタッフの1人がそう言うと、他の者達も首を縦に振って同意し施設長も呟いていた。
「さあな。金持ちの道楽だろ……。俺達の理解の範疇を遥かに超えている」
「そうですね。俺も金持ちや主催者の考えていることは理解に苦しみます」
彼等も裏社会の人間だが施設の運営を任されているだけで、元締めの人間や経営実態は全く知らなかったのだ。
そして、今日その殺し合いが始まろうとしていた……。
「今日の配信は男と若い女の殺し合いだそうだ。しかも、初対面と言うことだ……」
施設長がそう言うと、スタッフ達は興味深そうにモニターを見詰めていたのである。
「男女ですか? 珍しいですね」
スタッフの1人がそう言うと、他の者達も頷いていた。
「全くだ……。こういうのは恋人同士で殺し合うか、兄妹で殺し合うのが視聴率も高いときたもんだ……」
「そうです。しかし、面識のない男女の組み合わせは珍しいですね……」
誰かがそう呟くと、開始のアラームが鳴り響いた。そして、モニターに視聴者数がカウントされていく。
「視聴者数、1万人超えました。かなり、注目しているようです……」
施設長はその数字を聞くと満足気に頷く。
「いい数字だ……。さて、そろそろ開始するぞ!」
スタッフの1人がそう言うと、モニターがカウントダウンを始めた。そして、カウントが0になり配信が始まったのだ。
月宮美怜は意識が戻り気が付くとヒンヤリとした床に仰向けで寝ていたのである。
「ここは……」
辺りを見渡すと薄暗く広々とした無機質な壁で覆われた部屋にいたのであった。
美怜は立ち上がろうとしたが、此処にいる経緯が思い出せず暫く思案していたのだ。
(ここはどこ? ここに来た記憶がない……)
彼女が壁を眺めると、部屋の壁一面に様々な武器が飾られていたのだ。刀剣やナイフ、鉈、斧等の武器が見受けられた。
「まるで、武器の展覧会ね……」
そう呟いたが、誰も答える者はいなかった。そして、美怜はあることに気が付いたのである。
(私、下着姿だわ……)
下着姿の彼女は両手で胸を隠すと辺りを見渡した。彼女が身に着けているのはブラジャーとパンティーだけだったのだ。
「何故この格好に……」
美怜は恐怖を感じ身震いすると、同時に自分の近くにいた気配に気が付いたのである。
「誰かいるの?」
彼女がそう叫ぶと、薄暗い部屋から1人の長髪の男性が座っていたのだ。
薄暗くて気が付かなかったが、その男とは柵越しに対面したのであった。
「ここはどこです? 何故、こんな場所に……あなたは誰?」
美怜は目の前にいる男性にそう叫んだが、男は言葉が聞こえてないのか何も答えず、ただじっと彼女を見ていたのだ。
(何なの?)
恐怖を感じ、その場から動けなくなっていたのである。そして、男が立ち上がると彼女に近づいてきたのだ。
「来ないで!」
彼女は叫ぶと、後ずさりしていたのだった。そして、男は彼女との隔たりである柵を掴んできたのである。
「ひぃ……」
彼女は恐怖のあまり、その場に座り込んでしまったのだ。すると男は、ニッと笑うと柵越しから凝視してきたのだ。
男の年齢は20代後半ぐらいで顔が険しく眼光が鋭かった。体型は瘦せ型だったが筋肉はしっかりついており上半身は裸であったがズボンは穿いて裸足であった。
そして、美怜を舐め回すように見つめると、口角を上げて微笑んでいたのだ。
「よう……綺麗なネエチャンだな……俺は榊衝衛という者だ……」
男はそう名乗ると、美怜に話しかけてきた。しかし、彼女は何も答えず男から目を逸したのだった。
「どうした? 俺が怖いのか?」
榊は美怜にそう言うと、美怜は何も答えず首を横に振っていた。
(怖いけど……彼以外は誰もいないから話してみる?)
美怜はそう思うと、榊に話し掛けようと意を決したのであった。しかし……彼が先に話しかけてきた。
「アンタの名前を教えてくれないか?」
そう言ってきたが、彼女は警戒して口を開かなかった。すると、彼はまた口角を上げて微笑んでいたのだ。
彼女は榊の問いに答えるべきか迷ったが、このままでは埒があかないと思い名乗ることにした。
「私は……月宮……美怜です」
そう言って名前を名乗ると、険しかった顔が緩み微笑んだ。そして、彼女は少しづつ榊に質問したのである。
「ここは何処です? あなたは何故ここにいるの?」
すると、榊は笑い出したのだ。
「クククッ……」
美怜が彼の笑い声に驚くと、彼はこう答えたのである。
「ここは殺し合いをする場所さ……アンタも俺もその為に此処にいるのさ」
(殺し合い……? 何で私が彼と殺し合いを……)
彼女は意味が分からず困惑していると、榊が更に話してきた。
「今から殺し合いが始まるのさ……。しかし、こんな戦い方も知らねぇ女を殺るなんて、すぐに終わっちまうな……」
榊は呆れたように言うと、美怜に近づいてきたのである。彼女は後退りすると、彼の鋭い眼光が彼女を睨んでいた。
(殺される……)
美怜がそう思った瞬間、部屋が明るくなり部屋のスピーカーからアナウンスが聞こえてきたのであった……。
その様子を会員に配信して、会員から料金を徴収する仕組みになっていた。
会員は主に大金持ち等の富裕層であり、料金も仮想通貨や海外の銀行口座を使って徴収していたのである。
この施設は裏でも禁忌の場所と認識されており、この施設での殺し合いを配信することは裏社会では半ば黙認されていたのだ。
「もう直ぐ、殺し合いが始まる。男と女の殺し合いだが、5分もかからないだろう……」
施設長がそう呟くと、スタッフ達が頷いた。
「しかし、この殺し合いの何が楽しいのですかね?」
スタッフの1人がそう言うと、他の者達も首を縦に振って同意し施設長も呟いていた。
「さあな。金持ちの道楽だろ……。俺達の理解の範疇を遥かに超えている」
「そうですね。俺も金持ちや主催者の考えていることは理解に苦しみます」
彼等も裏社会の人間だが施設の運営を任されているだけで、元締めの人間や経営実態は全く知らなかったのだ。
そして、今日その殺し合いが始まろうとしていた……。
「今日の配信は男と若い女の殺し合いだそうだ。しかも、初対面と言うことだ……」
施設長がそう言うと、スタッフ達は興味深そうにモニターを見詰めていたのである。
「男女ですか? 珍しいですね」
スタッフの1人がそう言うと、他の者達も頷いていた。
「全くだ……。こういうのは恋人同士で殺し合うか、兄妹で殺し合うのが視聴率も高いときたもんだ……」
「そうです。しかし、面識のない男女の組み合わせは珍しいですね……」
誰かがそう呟くと、開始のアラームが鳴り響いた。そして、モニターに視聴者数がカウントされていく。
「視聴者数、1万人超えました。かなり、注目しているようです……」
施設長はその数字を聞くと満足気に頷く。
「いい数字だ……。さて、そろそろ開始するぞ!」
スタッフの1人がそう言うと、モニターがカウントダウンを始めた。そして、カウントが0になり配信が始まったのだ。
月宮美怜は意識が戻り気が付くとヒンヤリとした床に仰向けで寝ていたのである。
「ここは……」
辺りを見渡すと薄暗く広々とした無機質な壁で覆われた部屋にいたのであった。
美怜は立ち上がろうとしたが、此処にいる経緯が思い出せず暫く思案していたのだ。
(ここはどこ? ここに来た記憶がない……)
彼女が壁を眺めると、部屋の壁一面に様々な武器が飾られていたのだ。刀剣やナイフ、鉈、斧等の武器が見受けられた。
「まるで、武器の展覧会ね……」
そう呟いたが、誰も答える者はいなかった。そして、美怜はあることに気が付いたのである。
(私、下着姿だわ……)
下着姿の彼女は両手で胸を隠すと辺りを見渡した。彼女が身に着けているのはブラジャーとパンティーだけだったのだ。
「何故この格好に……」
美怜は恐怖を感じ身震いすると、同時に自分の近くにいた気配に気が付いたのである。
「誰かいるの?」
彼女がそう叫ぶと、薄暗い部屋から1人の長髪の男性が座っていたのだ。
薄暗くて気が付かなかったが、その男とは柵越しに対面したのであった。
「ここはどこです? 何故、こんな場所に……あなたは誰?」
美怜は目の前にいる男性にそう叫んだが、男は言葉が聞こえてないのか何も答えず、ただじっと彼女を見ていたのだ。
(何なの?)
恐怖を感じ、その場から動けなくなっていたのである。そして、男が立ち上がると彼女に近づいてきたのだ。
「来ないで!」
彼女は叫ぶと、後ずさりしていたのだった。そして、男は彼女との隔たりである柵を掴んできたのである。
「ひぃ……」
彼女は恐怖のあまり、その場に座り込んでしまったのだ。すると男は、ニッと笑うと柵越しから凝視してきたのだ。
男の年齢は20代後半ぐらいで顔が険しく眼光が鋭かった。体型は瘦せ型だったが筋肉はしっかりついており上半身は裸であったがズボンは穿いて裸足であった。
そして、美怜を舐め回すように見つめると、口角を上げて微笑んでいたのだ。
「よう……綺麗なネエチャンだな……俺は榊衝衛という者だ……」
男はそう名乗ると、美怜に話しかけてきた。しかし、彼女は何も答えず男から目を逸したのだった。
「どうした? 俺が怖いのか?」
榊は美怜にそう言うと、美怜は何も答えず首を横に振っていた。
(怖いけど……彼以外は誰もいないから話してみる?)
美怜はそう思うと、榊に話し掛けようと意を決したのであった。しかし……彼が先に話しかけてきた。
「アンタの名前を教えてくれないか?」
そう言ってきたが、彼女は警戒して口を開かなかった。すると、彼はまた口角を上げて微笑んでいたのだ。
彼女は榊の問いに答えるべきか迷ったが、このままでは埒があかないと思い名乗ることにした。
「私は……月宮……美怜です」
そう言って名前を名乗ると、険しかった顔が緩み微笑んだ。そして、彼女は少しづつ榊に質問したのである。
「ここは何処です? あなたは何故ここにいるの?」
すると、榊は笑い出したのだ。
「クククッ……」
美怜が彼の笑い声に驚くと、彼はこう答えたのである。
「ここは殺し合いをする場所さ……アンタも俺もその為に此処にいるのさ」
(殺し合い……? 何で私が彼と殺し合いを……)
彼女は意味が分からず困惑していると、榊が更に話してきた。
「今から殺し合いが始まるのさ……。しかし、こんな戦い方も知らねぇ女を殺るなんて、すぐに終わっちまうな……」
榊は呆れたように言うと、美怜に近づいてきたのである。彼女は後退りすると、彼の鋭い眼光が彼女を睨んでいた。
(殺される……)
美怜がそう思った瞬間、部屋が明るくなり部屋のスピーカーからアナウンスが聞こえてきたのであった……。
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