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63 冒険者ギルドを作ろう

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 アジュールの悲惨さを知っているレイナードもいる。食料、各店舗の状況、現段階の物価、人々の様子、それらを教えてもらいながらユウ達は廃れた夜の町を歩く。

 レイナードに店じまいの店長達と交渉してもらう。やはりレイナードの顔が広いようで、店長たちは快く話を聞いてくれた。
 塔で取れたドロップ品を見せて使えそうな物全て譲渡。必要のないの物はいつも彼らが購入している素材屋に売り払ってもらって良いと押し付ける。
 とにかくまず神塔対策と彼ら自身の生活を優先してもらう。ほしい人がいれば売ってくれて構わない。

 次は生活の基本になる食料店や料理屋だが、町の中は閑散としていて賑わっているところがない。
 どうやら防衛の町に酒場なんぞあったら仕事にならないとカッヘルが酒場の営業や酒類の一般販売を禁止していたらしい。

「アイツん所に多分酒ありますよね」
「あると思うけど……」
「全部開けるか」
「ん?!」

 どうやらカッヘルには緊急という認識能力が皆無のようだ。溜め込んでいた食料庫も町の人達に配給、溜め込んでいる金も今こそ解き放つ時だ。
 レイナードがおろおろしているが、こちとら天下の神子サマだと言い張れば暁が高らかに同意してくれた。

 アジュールの料理店は一軒だけだった。料理人はラルフフローの騎士から暴行を受けて、立つのがやっとの体になってしまっていた。それを治して事情を説明する。それに今の町の食糧についても教えてもらえば、卸してもらっていた店へ同行してくれた。

 食料品の店は二店舗。二店舗では到底町中の食料が行き渡るとは思えない。二人の店長から満足に食料が買えている人はどれくらいか聞くと、二割も満たないという。
 やはり炊き出しが必須になりそうだ。だが、食べ物がそのものが足りない――。

「……ねぇ、暁。神塔のモンスターは食用にならないの?」

 潜れば潜るほど食料が足りなくなったりするはずだ。確かに転移魔法で戻ってこれるが、神塔のモンスターを食用品として食べられたり、途中で果物や野菜が実っていれば、それだけでもありがたいと思うのだ。

「あとは、珍しい食べ物とかが出てきたら良いなぁ」
「例えば?」
「チョコレート!」
「分かりました! 神塔に新しく追加しておきますね!」
「ありがとう、暁!」

 ユウはラノベの話をしているようなものだったが、近くで話を聞いていた一般人組(マサシゲ含む)は何言ってんだろうかとユウを見ている視線には気づかない。「」
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