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52話 反乱軍
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本来ならどれも国がやるべき事をほとんどユウの協力者が解決している。まぁユウは何もしていないが。だが国の仕事代行業者じゃないんだぞとギャン騒ぎ。自国の問題ぐらいテメェでどうにかしろ、異世界人になんかやらせんなボケェ! と怒鳴り散らしてやった。
「……つまり、これら全てナイジェルは知っているということか」
「えぇ。そして、これらはラルフフローが弱体化させたフェオルディーノに戦争吹っ掛ける準備万端ってことを意味しています。まったく、反乱軍が出来て当たり前だろーが! むしろ全力で応援するわ!!」
ギロリに視線が集まったが、ユウは構わない。
それに、彼らは何も悪くない。王城跡地に捕まってる人達を助けてくれたのは彼ら。立派な善行である。
そして情報をもたらしたのはロイ。ガブリエルの思考を予想できるのはフィー、ロイ、マサシゲくらいだろう。しかし、領地内の詳細を知っているのはロイだけ。
二人が建物の存在を知っていても地図の情報だけでは建物の構造までは分からないからだ。
ヒュースの話ではレイナードとロイは学生時代から仲が良かった。ならば、レイナードを真っ先に頼っただろう。
ガブリエルのシナリオではアジュールに駐留している騎士はラルフフローの人間だ。彼等に証拠の品を掴ませればフェオルディーノへ出兵する理由ができる。末弟とはいえラルフフローの王子がオークション会場にいる予定が書き込まれているはずだからだ。
ともあれ、ここまで発覚した以上、これはラルフフローが意図して戦争を仕掛けるための偽装工作は相手に渡れば証拠品に化けるのだ。
「ですから、皆さんにお願いがあって来ました」
「何だ」
ここの代表であるダレットに凄まれたが、ユウは握り拳を作る。
「陛下の顔面ぶん殴るために、身体強化の魔法とスピードアップの魔法を知っている人に教えてほしいのです。事あるごとにぶん殴りに行きます」
ふざけてんのかと一部から言われたが、今のフェオルディーノ聖王国では弱すぎる――経済、国防力、そして国民の力も。
近々、神塔が新しいシステムに変わる。神塔への凄まじい攻撃が連発されていたお陰で、塔が変貌した光景を見ていた人は何人もいただろう。
神々がこれから世界中の神塔のシステムを変えることで溜まっている瘴気を減らす。その際にモンスターからはドロップ品が落ち、ダンジョンには宝が発見できるようになる。
それが分かればラルフフローは間違いなく友好的な演技を止めてフェオルディーノを占領しに来る。今のフェオルディーノなど潰すのは簡単だ。
フェオルディーノには各国から協力を得る道しか残っていない。だが、協力を得ても他国が何を要望してくるか分からない。そういう意味でもフェオルディーノは八方塞がりだ。
「ただ、一点。自警団の設立はラルフフローの手助けがあったのではありませんか?」
「仮に、そうだとしたら何だ」
「このアジュールという町を、最初からフェオルディーノを滅ぼすための拠点として、ラルフフローが全面的にフェオルディーノを支援をしているとしたら?」
もちろんユウの想像でしかないと前置きする。
だがここにはフェオルディーノの兵士はいない。ラルフフローの兵士を派遣してもらっている――反乱軍も、それを知っていてアジュールを都合の良い拠点だと思ったはずだ。
そして、フェオルディーノ側はアジュールの運営を全てラルフフローに託している。
フィーが治癒師派遣が多く寄せられていると言っていた。だが、フェオルディーノはラルフフローに託しているからという言い分で要請書を官僚が投げ捨てるからだ。
「この行き違いが皆さんにもたらすものはフェオルディーノという国への不満――確認ですが、反乱軍設立当時より、ラルフフロー兵士達と折り合いが悪くなってますね?」
アジュールに到着してすぐ兵士とボコりあった時の町人達の反応だ。寧ろラルフフロー兵士をボコボコにするマサシゲ達を応援していた。
フェオルディーノへの不満を煽るためなのか、それともラルフフロー兵士がこの後の展開を分かっているから高を括っているか分からないが、ラルフフロー兵士達への不満も高まっているのは間違いない。
沈黙するダレットに周りも暗い表情で口を閉じてしまった。
「ですが、この違和感に気付くことが官僚の仕事です。で、無能な税金泥像共は一度でもアジュールに視察に来ましたか?」
「……来ていないな」
「つまり、この国の官僚はブァアアカしか揃っていないということですよ。それを雇ってる国王も国王だ。無能が過ぎる」
だから、とユウは言葉を切って、ぐっと握り拳を作る。
「どっちも腹立つんで、クリス殴るついでに国王もぶん殴ります。だから、スピードアップと身体強化の魔法を教えて下さい。お願いします」
しばらく沈黙の後、はぁ、とダレットの口から溜息が漏れた。
「呆れた神子様だ」
ダレットの口から、そう言葉が一つ漏れた。
「そりゃあ、こんな奴を神子に選ぶ神様なんて、頭がイカれてるんでしょう。神子も頭がイカれてますよ」
「……つまり、これら全てナイジェルは知っているということか」
「えぇ。そして、これらはラルフフローが弱体化させたフェオルディーノに戦争吹っ掛ける準備万端ってことを意味しています。まったく、反乱軍が出来て当たり前だろーが! むしろ全力で応援するわ!!」
ギロリに視線が集まったが、ユウは構わない。
それに、彼らは何も悪くない。王城跡地に捕まってる人達を助けてくれたのは彼ら。立派な善行である。
そして情報をもたらしたのはロイ。ガブリエルの思考を予想できるのはフィー、ロイ、マサシゲくらいだろう。しかし、領地内の詳細を知っているのはロイだけ。
二人が建物の存在を知っていても地図の情報だけでは建物の構造までは分からないからだ。
ヒュースの話ではレイナードとロイは学生時代から仲が良かった。ならば、レイナードを真っ先に頼っただろう。
ガブリエルのシナリオではアジュールに駐留している騎士はラルフフローの人間だ。彼等に証拠の品を掴ませればフェオルディーノへ出兵する理由ができる。末弟とはいえラルフフローの王子がオークション会場にいる予定が書き込まれているはずだからだ。
ともあれ、ここまで発覚した以上、これはラルフフローが意図して戦争を仕掛けるための偽装工作は相手に渡れば証拠品に化けるのだ。
「ですから、皆さんにお願いがあって来ました」
「何だ」
ここの代表であるダレットに凄まれたが、ユウは握り拳を作る。
「陛下の顔面ぶん殴るために、身体強化の魔法とスピードアップの魔法を知っている人に教えてほしいのです。事あるごとにぶん殴りに行きます」
ふざけてんのかと一部から言われたが、今のフェオルディーノ聖王国では弱すぎる――経済、国防力、そして国民の力も。
近々、神塔が新しいシステムに変わる。神塔への凄まじい攻撃が連発されていたお陰で、塔が変貌した光景を見ていた人は何人もいただろう。
神々がこれから世界中の神塔のシステムを変えることで溜まっている瘴気を減らす。その際にモンスターからはドロップ品が落ち、ダンジョンには宝が発見できるようになる。
それが分かればラルフフローは間違いなく友好的な演技を止めてフェオルディーノを占領しに来る。今のフェオルディーノなど潰すのは簡単だ。
フェオルディーノには各国から協力を得る道しか残っていない。だが、協力を得ても他国が何を要望してくるか分からない。そういう意味でもフェオルディーノは八方塞がりだ。
「ただ、一点。自警団の設立はラルフフローの手助けがあったのではありませんか?」
「仮に、そうだとしたら何だ」
「このアジュールという町を、最初からフェオルディーノを滅ぼすための拠点として、ラルフフローが全面的にフェオルディーノを支援をしているとしたら?」
もちろんユウの想像でしかないと前置きする。
だがここにはフェオルディーノの兵士はいない。ラルフフローの兵士を派遣してもらっている――反乱軍も、それを知っていてアジュールを都合の良い拠点だと思ったはずだ。
そして、フェオルディーノ側はアジュールの運営を全てラルフフローに託している。
フィーが治癒師派遣が多く寄せられていると言っていた。だが、フェオルディーノはラルフフローに託しているからという言い分で要請書を官僚が投げ捨てるからだ。
「この行き違いが皆さんにもたらすものはフェオルディーノという国への不満――確認ですが、反乱軍設立当時より、ラルフフロー兵士達と折り合いが悪くなってますね?」
アジュールに到着してすぐ兵士とボコりあった時の町人達の反応だ。寧ろラルフフロー兵士をボコボコにするマサシゲ達を応援していた。
フェオルディーノへの不満を煽るためなのか、それともラルフフロー兵士がこの後の展開を分かっているから高を括っているか分からないが、ラルフフロー兵士達への不満も高まっているのは間違いない。
沈黙するダレットに周りも暗い表情で口を閉じてしまった。
「ですが、この違和感に気付くことが官僚の仕事です。で、無能な税金泥像共は一度でもアジュールに視察に来ましたか?」
「……来ていないな」
「つまり、この国の官僚はブァアアカしか揃っていないということですよ。それを雇ってる国王も国王だ。無能が過ぎる」
だから、とユウは言葉を切って、ぐっと握り拳を作る。
「どっちも腹立つんで、クリス殴るついでに国王もぶん殴ります。だから、スピードアップと身体強化の魔法を教えて下さい。お願いします」
しばらく沈黙の後、はぁ、とダレットの口から溜息が漏れた。
「呆れた神子様だ」
ダレットの口から、そう言葉が一つ漏れた。
「そりゃあ、こんな奴を神子に選ぶ神様なんて、頭がイカれてるんでしょう。神子も頭がイカれてますよ」
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