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5 桐也、清掃員のオバサンに説教される

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「本来、彼女とサポート役を担う貴様と他の連中のは何だ? ダンジョンを舐めているのか? これが、どういう意味か分かるだろう」

 俺達は、あくまでも久留米が魔法を使うまでの時間稼ぎをするために動いている。ただ、この階層まで来るとモンスターが強くて防御を崩される。

「それは、久留米の肉壁である貴様を含めた久留米の他の仲間達が弱すぎるんだ。防御に手こずっている。だから彼女も安心して魔法に集中できない」
「……」
「お前達も分かっているだろう。ここを攻略できるほどの実力はないと。今もギリギリだ。なら、この階層よりも上層に留まるべきだろう。その六班の班長は誰だ?」
「神崎……」
「問おう、二週間も休みなくダンジョンに潜り続けるのも神崎の指示か?」
「いや、神崎から魔法捜査課の人の指示で、入れって言われてて……」

 詳しいところは、よく分からない。
 そうか、と視線を一度ズラした清掃員さんは、「まぁ、私が説教したいのはそこじゃない」と一歩俺に詰め寄って見下ろす。
 怒りと侮蔑がない混ぜになった、静謐な視線が俺へと降り注ぐ。

「本来なら君達のパーティーレベルではこの階層に来れるほどの実力はない。それなのに、貴様のスキルが本来レベルの壁を実感するべきはずの階層をスルーして来ていることが問題なのだ。むしろ、この階層で貴様のスキルが役に立なくて正解だ。、お前達の出来損ないな久留米ハイパーキャリー編成ではだ」
「いや、さすがにそこまではないんじゃ……あででででで!!」

 耳を思いっきり引っ張られた挙句、舌打ちすると「たわけが」と頬をわし掴まれた。瞳孔が開き切った瞳で見下ろされる。めちゃくちゃ怖い! この人、絶対に人を殺してる!! そんな顔をしてる!!

「貴様が、貴様自身のスキルに抱いている過小評価に、私が腹を立てているのが分からないと?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

 半泣きになりながらそう訴える俺の謝罪を一応受け入れてくれたのか、清掃員さんは手を放してくれた。

「貴様にはもう少しスキルの使い道を模索してもらわねばならない。今日は私の仮住まいに泊まっていきなさい」
「わ、分かりました……」

 そう返答した俺。
 次の瞬間、清掃員さんは拳を握り締めると俺に向かって拳を振り下ろした……と、思った。その軌道は横に逸れて、氷に直撃。次の瞬間、ばきゃん! と氷が一瞬で粉砕した。
 魔力でできた氷は霧散していく……。

(ちょっと待って。これ、マジで殴られたら死ぬんじゃ……?)

 カタカタと震える俺に「君達もいずれそうなる」と吐き捨てた清掃員さん。

「もちろん、レベルを上げて生き残ったらの話だ。だが、貴様が今のままの認識では墓石レベルの死亡フラグが打ち立てられている。その思考を矯正し、スキルの使い方をきちんと調べて学べ」
「は、はい……」

 心を読まれた俺は血の気が引いた顔で、プルプル震えながらそう返答するしかなかった。
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