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義手の手配が終わってからヴァレリアは方々を巡った。今まで放置していたシオンやムラサキが心配だったが、腕がなくなっている事実にシオンやギルドでは大騒ぎ。ムラサキでは孫娘のように勝手に思っていたシャノンとローガンが泣き始め、ジェマの顔が真っ青になりながらオロオロしていた。
「そ、そんな……!」
「ごめんなさい、ジェマさん……何か、突然爆発してしまって……」
「このバレッタにはどんな効果を付与していたんだ?」
アルトの問いにジェマは顔を青くしたまま、
「魔除けと呼ばれる効果です。この髪飾りには呪いや魔法的な害を弾く効果があったはずなのですが……! わ、私が至らないばかりに、申し訳ありません!!」
「そうだったか……ならば、俺は貴女達に感謝しなければならない。この度は、うちの娘を守ってくれてありがとございます」
アルトが頭を深々と下げた。
ガイアが『石化の神呪』という全てを石に変えてしまう呪いの魔眼を持っていることを知った。これは問答無用に呪いが施行される。単なる石化とは違って解呪と身体回復の複合機能のある最上級の魔法が使われなければ救助は困難とされているのだ。
「もしかして、私、死ぬとこだった?」
「うん。本来なら死んだも同然だったんだ……うちの娘の腕がなくなるだけで済んだのは、間違いなくみんなのお陰だよ」
「いえっ、そんな?! 次は、次は絶対にそんな呪いも跳ね返す物をお作りします!!」
「いや、ジェマには自分の身の上について考えておいてほしい」
本来、あの『石化の神呪』は一般的な魔道具でも防げない凶悪な呪いだ。神の呪いと揶揄されるだけある呪力。
それこそ救助方法が神級魔法の『医神の救済』や『月浴の神酒』のような奇跡といわれる魔法薬に限定されるほど救助困難な呪いだ。それをほとんど防いだのだ。
王族がジェマを引き抜きにくるのは間違いない。命令かもしれないし、要請だけで済むかもしれない。どの道ムラサキの経営には影響が出てくる。だから、三人でよく相談するようにとアルトは真剣な表情で言った。
「そ、そんな……!」
「ごめんなさい、ジェマさん……何か、突然爆発してしまって……」
「このバレッタにはどんな効果を付与していたんだ?」
アルトの問いにジェマは顔を青くしたまま、
「魔除けと呼ばれる効果です。この髪飾りには呪いや魔法的な害を弾く効果があったはずなのですが……! わ、私が至らないばかりに、申し訳ありません!!」
「そうだったか……ならば、俺は貴女達に感謝しなければならない。この度は、うちの娘を守ってくれてありがとございます」
アルトが頭を深々と下げた。
ガイアが『石化の神呪』という全てを石に変えてしまう呪いの魔眼を持っていることを知った。これは問答無用に呪いが施行される。単なる石化とは違って解呪と身体回復の複合機能のある最上級の魔法が使われなければ救助は困難とされているのだ。
「もしかして、私、死ぬとこだった?」
「うん。本来なら死んだも同然だったんだ……うちの娘の腕がなくなるだけで済んだのは、間違いなくみんなのお陰だよ」
「いえっ、そんな?! 次は、次は絶対にそんな呪いも跳ね返す物をお作りします!!」
「いや、ジェマには自分の身の上について考えておいてほしい」
本来、あの『石化の神呪』は一般的な魔道具でも防げない凶悪な呪いだ。神の呪いと揶揄されるだけある呪力。
それこそ救助方法が神級魔法の『医神の救済』や『月浴の神酒』のような奇跡といわれる魔法薬に限定されるほど救助困難な呪いだ。それをほとんど防いだのだ。
王族がジェマを引き抜きにくるのは間違いない。命令かもしれないし、要請だけで済むかもしれない。どの道ムラサキの経営には影響が出てくる。だから、三人でよく相談するようにとアルトは真剣な表情で言った。
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