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他にも掃除後の王族の風呂場を誰かが使っているとか、魔法薬研究所の素材が大量になくなっていたとか、食料の備蓄が少量減っているとか、明らかに不審者がいる。
警備体制が強化されているが、まだ犯人の糸口すら発見されていない。まるで子供のかくれんぼみたいだとアルトは思う。
「シリル君だけではなく、ギルバート君もそうではないかと踏んでいるらしい」
「ギルバート?」
「お前なぁ。俺達と一緒に来ていた子がいただろう……はぁ。ジェーカー男爵家が引き取った金色の瞳の子供だ」
いまいちピンと来ないアルトにフレデリックは手をひらひらさせて行ってきてくれと促す。
コナーが犯人だった場合、麻酔薬の研究は滞るだろう。麻酔薬は今のところコナーしか作れない。しかし、この麻酔薬があれば医療機関にとって大きな躍進となる。
そう思っているからアルトを行かせようとしている。アルトの魔眼『犯罪者の心』は罪を犯している者の心を色で見ることができる。この魔眼のせいで今もフレデリックに捕まえられている。
それが結果的に騎士達からの僻みをアルトが受けることになっている。別に嫌われることに問題はないが、それのせいでろくでもない捜査で犯人をでっち上げているのが問題だ。
しかし、それを抜きにしてもアルトに頼るぐらいなら自分で言うべきだと告げる。
そもそも、それを使えば真っ先に疑われるコナーがやるとは思わない。それにはフレデリックも同意だ。
「だが、ドリアーズさんが既に牢へ入れられているんだ。頼む」
「……明日から十日間、絶対を有給を使わせてもらいますからね」
既に話を付けていると聞いていたアルトが地下牢前に赴くと、焦ったように兵士達は引き止めた。
警備体制が強化されているが、まだ犯人の糸口すら発見されていない。まるで子供のかくれんぼみたいだとアルトは思う。
「シリル君だけではなく、ギルバート君もそうではないかと踏んでいるらしい」
「ギルバート?」
「お前なぁ。俺達と一緒に来ていた子がいただろう……はぁ。ジェーカー男爵家が引き取った金色の瞳の子供だ」
いまいちピンと来ないアルトにフレデリックは手をひらひらさせて行ってきてくれと促す。
コナーが犯人だった場合、麻酔薬の研究は滞るだろう。麻酔薬は今のところコナーしか作れない。しかし、この麻酔薬があれば医療機関にとって大きな躍進となる。
そう思っているからアルトを行かせようとしている。アルトの魔眼『犯罪者の心』は罪を犯している者の心を色で見ることができる。この魔眼のせいで今もフレデリックに捕まえられている。
それが結果的に騎士達からの僻みをアルトが受けることになっている。別に嫌われることに問題はないが、それのせいでろくでもない捜査で犯人をでっち上げているのが問題だ。
しかし、それを抜きにしてもアルトに頼るぐらいなら自分で言うべきだと告げる。
そもそも、それを使えば真っ先に疑われるコナーがやるとは思わない。それにはフレデリックも同意だ。
「だが、ドリアーズさんが既に牢へ入れられているんだ。頼む」
「……明日から十日間、絶対を有給を使わせてもらいますからね」
既に話を付けていると聞いていたアルトが地下牢前に赴くと、焦ったように兵士達は引き止めた。
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