盗人令嬢にご注意あそばせ〜『盗用』スキルを乱用させていただきます!

星見肴

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69話 レベル697の弊害

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 ガイアに全力で「私がエマを育てる!」という育成心(?)に根負けし、エマは浄光以外のスキルとアビリティを覚えずに返却した。

 すごくもったいないけれど、地龍であるガイアから直々に稽古をつけてもらえる機会は滅多にないだろう。それは、エルフィールド家の両親や兄にすらもらえないチャンスのはずだ。ちょっと得意になっても良いとエマは思った。

 返却中にヴォルグ達も到着して、岩がめり込んで大惨事になっている床や壁に驚きつつも、ガイアが今まで神域に避難させていた冒険者や、死屍累々だった『ファフニール』のメンバー達が床に並べられているのを発見し、すぐに処置と捕縛を進めていく。

 エマはというとガイアに抱えられ、またエマもビクビクしながら彼にしがみつくしかなかった。

 今のエマのレベルでは生活に支障が出る。彼曰く、持つ物は軽く持っているつもりでも壊れるし、寝返りを打って壁に足が当たろうものなら壁が破壊される。下手に触った人間の骨が粉砕する、などである。
 最後の骨粉砕の話を聞いて、エマはガイアの服を一生懸命掴むしかなかった。変な所で他の人に触れたら怪我をさせてしまうなんて、恐ろしくて仕方がない。 

 エマの事情を知ったヴォルグは、大爆笑だった。見込み通り生き残ったが、案の定予測不能なことをエマがやってのけたからだ。確かに、レベル697まで上がるとは誰も思わないだろう。

「これだから、子供ってのは面白いんだよなぁ」とヴォルグは頭を撫でながら言ってくれた。

「つーか、さっきからアルとガイア様は随分と仲が良いんだな。知り合いなのか?」
「彼の国外逃亡を援助したことがある。追手は、この国の暗部だったな」
「「「……」」」

 これには問いかけたヴォルグもアルフレッドをチラ見。というか、アルフレッドも呆然としている。エマは、この話を聞いて良い立場じゃないけど聞いてしまった。
 というか、国の暗部に狙われるってどういうことだろうか?

「詳しい話を聞きたいなら、私がアルフレッドの全てを教えてやろう」
《何故かいかがわしく聞こえるぅ》
(いかがわしく?)
《あぁえっと……多分だけど何かご縁があって色々知ってるんだよ……うん、びーでえるなのとは関係なく……》
「ロウェスタリア王国第一王子アルフレッド・ロウェスタリアに輪廻転生する7代前の魂、ベル・エルカドルに話は遡るな」
「えっ? リースナー様、王子様だったんですか?!」
《うーん、7代前の魂からかぁ~~。私も予想外のだなぁ~~?》
「すいません、その話って別の人に話しても良いですかね? 俺の師匠、絶対に興味あるんで、できれば詳しく……」
「構わない。我が親愛なる友であり、この地を治めた『地の王』の物語だ。一時期は王家の宰相としても務めていたから、その時のことは委細に話してやろう」

 得意気なガイアに、エマは「地の王?」と聞き返す。
 思い出す。エマが神獣従属の呪いを外せなかったとしても、あの結晶の中に入れば『地の王』が助けてくれるとガイアは言っていた。

「それって、リースナー様のことだったんですか?」
「あぁ。アルフレッドの血液を垂らすだけで良いように鉱物を調整してあったんだ」
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