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62話 状況説明
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「以上が、現在判明している調査結果です」
レグルス達は眉根を寄せるだけだったが、「じゃあ、この神殿の中にグレイブがいるってことなのね?!」と冒険者の女性が、希望を見付けたように声を上げた。
アルフレッドは彼が失踪する前に地龍神殿に足を運んでいたのならば、可能性は高いこと、そして生存している可能性は限りなく低いことを同時に伝える。
それでも構わないと彼女は首を振った。
「せめて、彼の形見だけでも……」
「それは我らの仕事だ。お前達冒険者の出る幕はない」
そうきっぱり吐き捨てたレグルスに、はぁ?! と冒険者の数人が怒りに声を上げて続けざまに「今までろくに調べてこなかっただろうが!」と訴える。
「すまない。魔法師団はあくまで事件調査に魔法痕跡があった場合にのみ協力体勢を取る。彼らは今回の冒険者の失踪事件と暴行事件に直接関与していない。基本的な調査は騎士団とスキル特務部隊で行っている。冒険者諸君の事情聴取と、逮捕されている冒険者と話をすり合わせてこなかったのは私達の落ち度だ。そして、救護班にも呼び掛けたが準備が間に合わなかったらしい。人手が足りない。敵もどれほど数を有しているか不明だ。ご協力願いたい」
「それはお前達スキル特務部隊が勝手な決定権はない」
「すでに条件を満たした冒険者の一人が我々に協力するため、生贄の候補として潜り込んでこんでくれている。カリヅという新米冒険者だ」
「はぁ? 戦闘経験もない新米冒険者に行かせたのか? お前達の頭はどうしている」
「生贄の候補だった私と、イザークという冒険者は、そのカリヅ君の機転により外された。イビルティアーの毒素、そしてそれが属性共鳴することにより『邪龍の使徒』に変わるという推察は、彼が導き出した答えであり、君達の元に引き渡した『ファファフニール』のメンバーから『秘技』であると言質も取った。神クラスであるドラゴンは、自身の持つ属性と同じ属性の生物を眷属化することが可能であることは、魔法師の人間であればご存知だろう。今回の『邪龍の使徒』も、その応用と思われる」
「それは、話を逸らしたつもりか? お前は、無能な人間に何をさせていると言って――」
グォオオオオオオオオオ!!
何、地震?! 冒険者が声を上げる。
僅かに地面が揺れる。これは地響きではない……咆哮だ。咆哮がレグルスの声を塗り潰し、わずかに地面を揺らしている。
数秒間の咆哮。それは、ドラゴンが戦闘を好まず、平和的に他者を圧倒して戦意を喪失させるための雄叫びだ。
レグルス達は眉根を寄せるだけだったが、「じゃあ、この神殿の中にグレイブがいるってことなのね?!」と冒険者の女性が、希望を見付けたように声を上げた。
アルフレッドは彼が失踪する前に地龍神殿に足を運んでいたのならば、可能性は高いこと、そして生存している可能性は限りなく低いことを同時に伝える。
それでも構わないと彼女は首を振った。
「せめて、彼の形見だけでも……」
「それは我らの仕事だ。お前達冒険者の出る幕はない」
そうきっぱり吐き捨てたレグルスに、はぁ?! と冒険者の数人が怒りに声を上げて続けざまに「今までろくに調べてこなかっただろうが!」と訴える。
「すまない。魔法師団はあくまで事件調査に魔法痕跡があった場合にのみ協力体勢を取る。彼らは今回の冒険者の失踪事件と暴行事件に直接関与していない。基本的な調査は騎士団とスキル特務部隊で行っている。冒険者諸君の事情聴取と、逮捕されている冒険者と話をすり合わせてこなかったのは私達の落ち度だ。そして、救護班にも呼び掛けたが準備が間に合わなかったらしい。人手が足りない。敵もどれほど数を有しているか不明だ。ご協力願いたい」
「それはお前達スキル特務部隊が勝手な決定権はない」
「すでに条件を満たした冒険者の一人が我々に協力するため、生贄の候補として潜り込んでこんでくれている。カリヅという新米冒険者だ」
「はぁ? 戦闘経験もない新米冒険者に行かせたのか? お前達の頭はどうしている」
「生贄の候補だった私と、イザークという冒険者は、そのカリヅ君の機転により外された。イビルティアーの毒素、そしてそれが属性共鳴することにより『邪龍の使徒』に変わるという推察は、彼が導き出した答えであり、君達の元に引き渡した『ファファフニール』のメンバーから『秘技』であると言質も取った。神クラスであるドラゴンは、自身の持つ属性と同じ属性の生物を眷属化することが可能であることは、魔法師の人間であればご存知だろう。今回の『邪龍の使徒』も、その応用と思われる」
「それは、話を逸らしたつもりか? お前は、無能な人間に何をさせていると言って――」
グォオオオオオオオオオ!!
何、地震?! 冒険者が声を上げる。
僅かに地面が揺れる。これは地響きではない……咆哮だ。咆哮がレグルスの声を塗り潰し、わずかに地面を揺らしている。
数秒間の咆哮。それは、ドラゴンが戦闘を好まず、平和的に他者を圧倒して戦意を喪失させるための雄叫びだ。
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