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44話 貴族の罰
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不正な人頭税のつり上げは、その血筋の貴族達を全員を罰することになる。親戚筋もだ。もちろん、貴族の子供も罪に問われることになる。これは、貴族の子供が国民の血税で生活できていることを知っているのが前提であるため、貴族の子供にも責任を負ってもらうのが普通だ。
ただ、エマの生活状況は酷かった。家の人間ではないと否定され、使用人として働かされたが賃金の支払いはなし。それどころか暴力を振るわれていた。ろくに食事をもらっていなかったこともスキル特務部隊の調査や捕まえた証言者達からの発言で免除されることが正式に決まっている。
エマに暴力を振るっていた使用人達にはそれ相応の罰が下された。逃亡したミザリーも発見次第対象となる。そこに一役買っているのが、顔写真を貼り付けられるサニアだ。
ちなみに、アリアは性格が酷いから強制的に修道院送り。国の最南端にある不毛地帯にある教会で、一生を過ごすことが決定した。もう明日には王都を出るという。
兄のロレンスとカッサーはほとんど暴力こそ振るわなかったものの、殺害未遂は重罪。兄は犯罪奴隷として身分を剥奪だ。
「カッサーは奴隷商、ロレンスはしばらくスキル特務部隊で預かることになった。何せ、今まで持っていたはずのスキルと属性がなくなってる貴重な個体でな。特殊スキル保持者の特別拘置所に送られることになった」
◯ねばいいのにと思っているエマが顔を上げると、ヴォルグがニッコニコの笑顔だった。
状況ならアリアも同じだが、性格が悪すぎて入れたくないと言えば満場一致で教会送りに決定したそうだ。騎士団長と師団長も納得した。やかましいから、もう荷馬車に縛って突っ込んであるという。
扱いが酷すぎる。仮にも小さい女の子なのに。まぁ、性格が邪悪に歪みすぎて世に放ってはいけないのは同意する。
つまり、エマも酷ければ教会に送られていたし、あるいは奴隷にされていたのだ。丁寧に調べてくれたスキル特務部隊の人達に感謝しなければ。
でも、
「マリアエルは?」
「彼女は現在病院で伏せっており、まだ目覚めていない」
アルフレッドが言うには、病院に送られたが昏々と眠ったままらしい。
「可能性の一つは、君がステータスを直接抜き取ったからだ。スキルとアビリティを同様に、600ポイント分を」
(そ、そこまでバレるの?)
ジェームズがエマを見下ろすが、はい、と手を挙げた。
「意味が分かんねぇから、オジサンでも分かるように詳しい説明を」
「エマ嬢のスキルは『盗用』。他者のステータスにあるものを全てを対象に奪い取り、自分の物として使用ができる。ちなみに、奪ったスキルは当人へ返却可能。奪ったシリーズスキルの重複があれば、それを統合することで進化させることができる。同じ属性を重複して奪うことはできない。なお、物質も壁を通り抜け、自分の手元へ引き寄せることも可能」
(全部バレてる!!)
閉じた足の上に握り拳を置いて、エマは唇をぎゅっと引き結ぶ。
「ごめんな、エマちゃん。ドルガーのスキルとアビリティだけは今すぐに返却してくれないか? 彼は、呪いのせいで暴れていた被害者で、その具現化スキルで冒険者として働いていたんだ。あれがないと彼は冒険者として働けなくなってしまう」
そうヴォルグから口添えされて、エマは分かりました、と答える。
目を閉じて、少し意識する。少しの脱力感を感じて、エマはステータスを開く。きちんと彼のスキルはなくなっていた。それから、レベル17時点のエマのステータスを確認しながら、ドルガーのアビリティも返そう。
一つ、返却する。
『アビリティ【MP消費減率】を覚えますか?』
(へ?)
えっ? どういうこと?
いや、今は返却をしなければいけない。どんどんエマは「アビリティを覚えますか?」という質問にイエスで答えていって、ドルガーのアビリティを返していく。
無事すべて返却し終えたエマは、その旨を伝える。そうすれば、アルフレッドが、耳に手を当てた。少しして、了承した彼を解放してくれ、と呟く。
「ドルガーにスキルとアビリティを返却してくれたことを感謝する」
「も、元はと言えば、私のものではありませんから……」
そう。
どの能力も、全部エマの物ではない。自分の能力はあくまでも他人から奪うだけ。それを我が物顔で使っているだけ……だと思っていたのだけど……何でか、色々アビリティを覚えられてしまった。
(このことは、黙っておこう)
ただ、エマの生活状況は酷かった。家の人間ではないと否定され、使用人として働かされたが賃金の支払いはなし。それどころか暴力を振るわれていた。ろくに食事をもらっていなかったこともスキル特務部隊の調査や捕まえた証言者達からの発言で免除されることが正式に決まっている。
エマに暴力を振るっていた使用人達にはそれ相応の罰が下された。逃亡したミザリーも発見次第対象となる。そこに一役買っているのが、顔写真を貼り付けられるサニアだ。
ちなみに、アリアは性格が酷いから強制的に修道院送り。国の最南端にある不毛地帯にある教会で、一生を過ごすことが決定した。もう明日には王都を出るという。
兄のロレンスとカッサーはほとんど暴力こそ振るわなかったものの、殺害未遂は重罪。兄は犯罪奴隷として身分を剥奪だ。
「カッサーは奴隷商、ロレンスはしばらくスキル特務部隊で預かることになった。何せ、今まで持っていたはずのスキルと属性がなくなってる貴重な個体でな。特殊スキル保持者の特別拘置所に送られることになった」
◯ねばいいのにと思っているエマが顔を上げると、ヴォルグがニッコニコの笑顔だった。
状況ならアリアも同じだが、性格が悪すぎて入れたくないと言えば満場一致で教会送りに決定したそうだ。騎士団長と師団長も納得した。やかましいから、もう荷馬車に縛って突っ込んであるという。
扱いが酷すぎる。仮にも小さい女の子なのに。まぁ、性格が邪悪に歪みすぎて世に放ってはいけないのは同意する。
つまり、エマも酷ければ教会に送られていたし、あるいは奴隷にされていたのだ。丁寧に調べてくれたスキル特務部隊の人達に感謝しなければ。
でも、
「マリアエルは?」
「彼女は現在病院で伏せっており、まだ目覚めていない」
アルフレッドが言うには、病院に送られたが昏々と眠ったままらしい。
「可能性の一つは、君がステータスを直接抜き取ったからだ。スキルとアビリティを同様に、600ポイント分を」
(そ、そこまでバレるの?)
ジェームズがエマを見下ろすが、はい、と手を挙げた。
「意味が分かんねぇから、オジサンでも分かるように詳しい説明を」
「エマ嬢のスキルは『盗用』。他者のステータスにあるものを全てを対象に奪い取り、自分の物として使用ができる。ちなみに、奪ったスキルは当人へ返却可能。奪ったシリーズスキルの重複があれば、それを統合することで進化させることができる。同じ属性を重複して奪うことはできない。なお、物質も壁を通り抜け、自分の手元へ引き寄せることも可能」
(全部バレてる!!)
閉じた足の上に握り拳を置いて、エマは唇をぎゅっと引き結ぶ。
「ごめんな、エマちゃん。ドルガーのスキルとアビリティだけは今すぐに返却してくれないか? 彼は、呪いのせいで暴れていた被害者で、その具現化スキルで冒険者として働いていたんだ。あれがないと彼は冒険者として働けなくなってしまう」
そうヴォルグから口添えされて、エマは分かりました、と答える。
目を閉じて、少し意識する。少しの脱力感を感じて、エマはステータスを開く。きちんと彼のスキルはなくなっていた。それから、レベル17時点のエマのステータスを確認しながら、ドルガーのアビリティも返そう。
一つ、返却する。
『アビリティ【MP消費減率】を覚えますか?』
(へ?)
えっ? どういうこと?
いや、今は返却をしなければいけない。どんどんエマは「アビリティを覚えますか?」という質問にイエスで答えていって、ドルガーのアビリティを返していく。
無事すべて返却し終えたエマは、その旨を伝える。そうすれば、アルフレッドが、耳に手を当てた。少しして、了承した彼を解放してくれ、と呟く。
「ドルガーにスキルとアビリティを返却してくれたことを感謝する」
「も、元はと言えば、私のものではありませんから……」
そう。
どの能力も、全部エマの物ではない。自分の能力はあくまでも他人から奪うだけ。それを我が物顔で使っているだけ……だと思っていたのだけど……何でか、色々アビリティを覚えられてしまった。
(このことは、黙っておこう)
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