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27話 異世界人・アスカ
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トニカのお母さんお手製のおいしい朝ご飯の後、宿の掃除を手伝った。もちろん、トニカから『終焉の不死鳥』ことアスカの話を伺うためだ。
めちゃくちゃ仕事を手伝って早く終わらせると、お母さまサービスの焼き菓子……クッキーをもらいながら話を聞いていた。
「アスカは異世界人でね、『ヒャッカリョウラン』っていう冒険者ギルドと提携している調査団の団長だったのさ!」
ヒャッカリョウランーー百花繚乱……彼らは『スキル』を専門に取り扱う集団で、元は使えないとされてきたスキルを持つ子供達を保護するために設立された孤児院が起源だ。
その荒稼ぎの場所としていたのが冒険者ギルド。孤児院兼冒険者達を受け入れる宿泊施設を経営しており、その宿泊施設は数こそ少ないものの、世界に散らばっている。その孤児院では仕事の傍ら、文字や計算などが学べる学び舎でもある。他にも、月謝を払って一般の人にも同様のサービスを提供していた。
「アタシもあそこで育ったようなもんでね、ヒャッカリョウランの学び舎に通ってたんだよ」
何歳でも受け入れオッケー。トニカは17歳から通い、様々なこと学びながら宿泊施設で働いた。宿屋の基礎知識、勉強をこなし、両親を楽させるために宿屋の運営を始めたのだという。
ルルベールでは一番小さい宿だが、それでも過酷な肉体労働をせずに生きていける場所を得られたのは、アスカのお陰だと彼女は誇らしげに言った。
ここの宿は冒険者ギルドとの提携していて、ギルドカードを提示すれば安く泊まれるそうだ。
冒険者ギルド提携店なだけあって、冒険者ギルドに関連する情報を多く取り扱われていた。店に張り出されている大きな地図には、ロウェスタリア王国内にある冒険者ギルドが書き記してある。そして、隣国の地図には国境付近の冒険者ギルドも記されていた。
冒険者ギルドは国内に各所あるが、支店と支部で分かれている。冒険者のギルドカードは何処でも登録できるが、昇格試験は支部だけでしか行えないとトニカは教えてくれる。
「一番近いのは、王都だね」
「その次に近い所は……」
「それなら、こっちにあるメイアかな。でも、王都の方が1日だ。メイアは、5日かか……――」
突然、足元から大きな衝撃が走る。エマは尻もちをついてすっ転ぶ。ガタガタと揺れる店にエマは大慌てで机の下に逃げ込んだ。舞の国は地震大国だから、大きな揺れが起きたらまず机の下だ。
その後、揺れが収まったのを確認するとトニカが机の下を覗き込んできた。
「大丈夫かい?」
「多いですよね、地震……」
「あぁ、まったくだ。昨日もあってびっくりだよ。このボロ宿、もう少し持ってくれるかねぇ」
「……もしかして、新しい宿を建てるご予定が?」
「そうなんだ。経営が上手くいっててね、もう少しで目標金額に到達するんだよ」
「それは、おめでとうございます!」
「ありがとう! そうしたら、もっと立派で大きな宿を立てて、従業員も雇うんだ。そうしたら、母さんも無理して働かなくても済むようになる……父さんの、願いを叶えてやれそうだよ」
そう言って、トニカは爽やかに笑う。
その奥から大丈夫かいとひょっこり顔を出したトニカの母が、あらまぁとやってくる。
「アタシを安心させたいなら、お婿を取らないとねぇ」
「だっ! 大丈夫だって! ちゃんと見つけるって!」
「あと、孫の顔も……」
「分かったよ、分かったってば!」
顔を赤くしたトニカは母親の背中を押して、ゆっくり休んでて! と部屋に押し返してしまった。
めちゃくちゃ仕事を手伝って早く終わらせると、お母さまサービスの焼き菓子……クッキーをもらいながら話を聞いていた。
「アスカは異世界人でね、『ヒャッカリョウラン』っていう冒険者ギルドと提携している調査団の団長だったのさ!」
ヒャッカリョウランーー百花繚乱……彼らは『スキル』を専門に取り扱う集団で、元は使えないとされてきたスキルを持つ子供達を保護するために設立された孤児院が起源だ。
その荒稼ぎの場所としていたのが冒険者ギルド。孤児院兼冒険者達を受け入れる宿泊施設を経営しており、その宿泊施設は数こそ少ないものの、世界に散らばっている。その孤児院では仕事の傍ら、文字や計算などが学べる学び舎でもある。他にも、月謝を払って一般の人にも同様のサービスを提供していた。
「アタシもあそこで育ったようなもんでね、ヒャッカリョウランの学び舎に通ってたんだよ」
何歳でも受け入れオッケー。トニカは17歳から通い、様々なこと学びながら宿泊施設で働いた。宿屋の基礎知識、勉強をこなし、両親を楽させるために宿屋の運営を始めたのだという。
ルルベールでは一番小さい宿だが、それでも過酷な肉体労働をせずに生きていける場所を得られたのは、アスカのお陰だと彼女は誇らしげに言った。
ここの宿は冒険者ギルドとの提携していて、ギルドカードを提示すれば安く泊まれるそうだ。
冒険者ギルド提携店なだけあって、冒険者ギルドに関連する情報を多く取り扱われていた。店に張り出されている大きな地図には、ロウェスタリア王国内にある冒険者ギルドが書き記してある。そして、隣国の地図には国境付近の冒険者ギルドも記されていた。
冒険者ギルドは国内に各所あるが、支店と支部で分かれている。冒険者のギルドカードは何処でも登録できるが、昇格試験は支部だけでしか行えないとトニカは教えてくれる。
「一番近いのは、王都だね」
「その次に近い所は……」
「それなら、こっちにあるメイアかな。でも、王都の方が1日だ。メイアは、5日かか……――」
突然、足元から大きな衝撃が走る。エマは尻もちをついてすっ転ぶ。ガタガタと揺れる店にエマは大慌てで机の下に逃げ込んだ。舞の国は地震大国だから、大きな揺れが起きたらまず机の下だ。
その後、揺れが収まったのを確認するとトニカが机の下を覗き込んできた。
「大丈夫かい?」
「多いですよね、地震……」
「あぁ、まったくだ。昨日もあってびっくりだよ。このボロ宿、もう少し持ってくれるかねぇ」
「……もしかして、新しい宿を建てるご予定が?」
「そうなんだ。経営が上手くいっててね、もう少しで目標金額に到達するんだよ」
「それは、おめでとうございます!」
「ありがとう! そうしたら、もっと立派で大きな宿を立てて、従業員も雇うんだ。そうしたら、母さんも無理して働かなくても済むようになる……父さんの、願いを叶えてやれそうだよ」
そう言って、トニカは爽やかに笑う。
その奥から大丈夫かいとひょっこり顔を出したトニカの母が、あらまぁとやってくる。
「アタシを安心させたいなら、お婿を取らないとねぇ」
「だっ! 大丈夫だって! ちゃんと見つけるって!」
「あと、孫の顔も……」
「分かったよ、分かったってば!」
顔を赤くしたトニカは母親の背中を押して、ゆっくり休んでて! と部屋に押し返してしまった。
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