盗人令嬢にご注意あそばせ〜『盗用』スキルを乱用させていただきます!

星見肴

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24話 冒険者ギルドの騒動・下

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 そうしてしばらくして、ラカーシュから呼び出された。

 ラカーシュの隣にはレリア。金髪の髪に尖った耳、そして美しい見た目に新緑の瞳。ハイエルフで、王都スタンブルグ屈指の鑑定士だ。

「今回暴れ出したメンバー全員に『邪龍の使徒』という、潜在型の洗脳呪術が埋め込まれていることが確認できました」
「潜在型の洗脳呪術……」

 上位鑑定士レベルじゃなければ、表記されないものだ。他の鑑定士では出なかったが、レリアがわずかな違和感から洗脳呪術を発見したのだ。
 そんな凄腕の彼女でしか引きずり出せないはずの呪術――そう、呪い。
 なぜ、その呪いのフルネームを、あの少年が知っていた?

(そういえば……)

 俊敏な動きで大男に膝蹴りを見舞った少年に一瞬、

(嫌な気配が移ったように、見えた)

 だが、少年がその場を離れれば、あの気配は大男から漂っていた。気のせいかと思った。
 だが本来、潜在型関連は念入りな隠蔽魔法も使用されていて、発見が困難。そして、それを一人に施すには何時間と行使し続けなければ完成しないはずだ。

(それに、何故彼はマリアエル様の娘の名前を……)
「リースナー様、一通り聴取が終わりました」
「ありがとう。一つ、聞きたいことがある。君達を呼んだ、そばかすの少年は今どこに?」
「すみません、その……その場に置いてきてしまいました」
「分かりました。ありがとう。おそらく、もうその場にとどまってはいないだろう」

 詰所の騎士が使えないなら、他の援軍を呼んでくる配慮を見せた少年だ。おそらく、今日はここに戻ることはしないだろう。
 彼からも、事情聴取する必要がある。もし見掛けたら、冒険者ギルドに報告へ来るよう伝える。

 そこへ、よたよたと二人の騎士がやってきた。赤ら顔で、明らかに酔っている。

「エリック殿下! われらがお助けに参りましたぞ!!」
「殿下は城でお休みになられている。ここには来ていない」
「なんだとぉう! あのガキ、騙しやがったな?!」

 一般市民を守るのは騎士、そして貴族の責務であり、それらは全てが貴族であれば一般常識として知っているべき矜持。
 彼らの態度は貴族としての立場を理解していない人間の発言と行動は、貴族としての矜持も持ち合わせておらず、立場を弁えていないと証明している発言だ。

「それは、お前達が市民の助けを求める声に応じなかったという意味で相違ないか?」
「あぁ?! スキル程度しか能のない平民風情が! 俺達貴族に逆らえると思ってるのかぁ?!」

 正常な判断ができないほど酔っているらしく、剣を抜いて切りかかって来た。
 冒険者達が「やんのかぁ?!」と叫び、武器を握った一部冒険者達を、アルフレッドは制する。

「すまない。彼らは私に任せてくれ。君達には後に騎士団が事情聴取に訪れた際、ここで起きたことをつまびらかに伝えてほしい」

 アルフレッドはそう言って、容赦なく騎士2人を問答無用で昏倒させた。
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