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Ⅱ
過去 現在
しおりを挟む安楽死という物は
この世に存在しない。
何故なら『死ぬ』という概念自体が
苦しみでしかないからだ。
という考えは、
大変頭の硬い考えである。
そんな事を考えながら、
アフロディーテは
愛する夫ヘルメスに聞いた。
ア「貴方はマリア様の事
どう思いますか?」
ヘ「具体的に言うと?」
ア「どんな性格の人と思っていますか?」
アフロディーテはヘルメスの服を整え、
彼に聞いた。
ヘ「………決して性格の
尊敬出来る方ではないけれど、
昔のままの部分があるし
そこだけは尊敬しているね。」
ア「ん?昔??」
ヘ「あぁ、そうか。
君はまだ入って来て間がないから、
知らないのかな?」
ヘルメスは服を整える
アフロディーテを抱きしめ、
頭を撫でた。
彼女はそれを嬉しそうに受け止めた。
ア「マリア様の昔、
少し知りたいです。」
ヘ「マリア様は聞いた話では
この国一番の金持ち公爵の
御令嬢らしいね。
だからその時の教育が
まだ残ってるのかな?
たまに癖でか、
誰に対しても
深々とカーテシーするだろ?」
ア「あぁ、あれね。
私はあの部分尊敬しています。」
ヘ「あれも多分、
親からの上層教育の名残だろ。」
カーテシーとは、
ヨーロッパの伝統的なお辞儀の事だ。
スカートの裾を持ち上げ、
背筋を伸ばして挨拶する。
それを深々とするということは、
両手でスカートの裾をつまみ、
軽くスカートを持ち上げ
腰を曲げて頭を深々と下げ、
膝もより深く曲げて行う方法だ。
これは、
より丁寧で
相手に膝まずこうとする
意思を示しているそうだ。
ア「あぁ、確かに
18年間もそれに浸かっていれば、
まだ抜けなくても
おかしくありませんね。」
ヘ「だろ?
だから誰も笑わない。
それどころか、
普段と真逆の彼女の行動に
戸惑うほどさ。」
ア「まぁ、それは私でも驚きますよ。
今まで、見た事ありませんが。」
ヘ「彼女自身が
気を付けてるんじゃないのか?」
すると、
部屋の電話が鳴り出した。
ア「はい、こちらピアノ教室。」
マ「私よ?」
ア「あぁ、マリア様でしたか。
失礼致しました。
どうなさいましたか?」
マ「あのね。
私の部屋に和服をアレンジした
ドレスあるでしょ?」
ア「あぁ、この前のお召し物ですね?」
マ「そう。
今から日中書記の本部に
届けに来てくれないかしら?
それが来たいの。
ヘリの操縦はハデスに任せなさい。」
ア「分かりました。
すぐに伺います。」
アフロディーテは電話を着ると、
鏡で自分の容姿を眺め
ヘルメスに言った。
ア「行ってきます。」
ヘ「行ってらっしゃい。」
軽くキスを交わすと、
アフロディーテは廊下を走って行った。
ヘ「………日中書記…」
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