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ボーンネルの開国譚2

二章 第四十一話 さらなる仲間たち

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「······お兄ちゃん、私だよ。お兄ちゃんの妹になれて私は、幸せだった」

優しい声でエルムはそっとシキの頭を膝にのせた。そしてシキの幸せそうな笑顔を見てエルムの堪えていた涙は堰を切ったように溢れ出し、シキの頬を濡らした。

「天国で、ゆっくり休んでね。お兄ちゃん」

そして兄を失ったその少女はもう涙を流すことはなかった。
ただその目には覚悟を決めたひとりの少女の意志が浮かんでいたのだ。


—翌日

「ジン様たちには言葉だけでは到底感謝を伝えきれません。今の私たちに出来ることならば、なんでも言ってくださいませ。いいえ、どんなことであってもやらせていただきます」

「いいえ、私たちは特に何もしてないです。ここが救われたのは全部、シキさんのおかげです。お礼なんて貰えません」

「でもよ、シキだけじゃなく、あんたらがここを救ってくれたのは確かだ。もし何か困ったことがあれば、ここにいる全員が力を貸す。本当に感謝する」

イッカクの言葉に他の鬼族のものたちは深々と頭を下げた。

「もし何かあればまた頼れ、ゲルオードにも伝えておく」

そしてエルムは少しもじもじしたようにしてジンの方を見ていた。

「どうしたの? エルム」

「あの、その······」

エルムは何か言いたげそうな顔で下を向いて、何かを決心したかのようにギュッと拳を握った。

「私もッ、一緒に行っていいですかッ!!」

真っ直ぐ輝いた目でエルムはジンにそう言った。

「もちろん、いいよ」

それを聞いてエルムの顔はパアっと輝いた。

「エルム、よかったじゃねえか。ここにもまた来いよ、ガランじいさんは昨日の夜こっそり悲しんでたんだぜ」

「そっ、そうじゃがエルムの決めたことなら仕方ない。ジン様たちに迷惑をかけないようにするのじゃぞ、エルム」

「うん!」

「では、そろそろ私たちは帰る。エルムのことは心配するな」

「何卒、よろしくお願いいたします」

そして大勢の鬼族が見守る中、ジンたちはボーンネルへと帰っていった。


「にしても、だいぶと仲間が増えたな」

「ごめん、わざとじゃナカッタ」

傭兵たちはワイワイとしながらボルの後ろを歩いていた。

「いいや、まったく構わねえぜ。結構賑やかなやつらだな。····ん? アイツらは······」

するとその時、一行の前に空から見覚えのあるものたちが現れた。

「おーいっ! お兄ちゃーん!!」

「おうっ! ミルじゃねえか!!」

その場にはヒュード族のものたちが皆で揃って現れた。
ガルミューラは地面に降り立つとトキワの目の前に立ち少しムスッとした顔でトキワをじっと見つめた。

「その、お前達はこれからどうするんだ?」

「どうするって、これから国に帰るんだよ」

「その········だな。ミルがどうしてもお前とボルについていきたいと言うものだからな······それでッ」

「じゃあお前らも来いよ」

「ッ——!」

「ジン、いいだろ?」

「うん。建物はみんなで建設すれば大丈夫。ヒュード族の人たちも一緒に来てもらお」

「ガハハ、我が全員面倒を見てやろう!」

「お前は見てもらうほうだろ」

「ジン様、魔力波でインフォルさんに平地の確保をお願いしておきました。すぐに皆さんの暮らす場所は用意できるかと」

「さっすが、ゼグトス。それとー、レイ。さっきから気になってたんだけど、その人は?」

レイから少し距離の離れた場所である人物は背中をびくりとさせゆっくりとジンの方を向いた。

「ああ、ギルバルドだ。人見知りなんだが、どうしてか一緒に行きたいと言ったのでな」

「ジン様、どうやら機械兵というものを私に壊されたのが悔しかったようで、昨夜熱心に改善点を聞いてきました。おそらく後々には役に立つと思われます」

「そうなんだ、よろしくね! ギルバルドさん」

「あ、ああよろしく頼む」

「そういえばジン、ヘリアルはどうしたんだ?」

「ああ、ヘリアルなら弟の場所を教えてすぐにそっちに向かったよ」

「もしかしてヘルメスのことか?」

「うん、そうだよ。嬉しそうだった」

するとジンの目の前に誰かが近づいてきた。

「やあ、君がジンかい?」

「べ、ベイン!? お前どうしてこんなところに」

「別にお前に会いにきたわけじゃないよ。僕はベイン、鬼帝ゲルオードの友達さ。ここを救ってくれたみたいだね、感謝するよ」

「そうなんだ、ごめんなさい。閻魁が迷惑をかけたよね」

「なっ、違うぞジン。今回は我がこいつのことを助けたのだ、断じて迷惑などかけておらん」

「はいはい、お礼っていったらなんだけど全員を外の世界に転送するよ」

「ありがとう! 助かるよ!」

「また何かあったら頼ってね、ゲルによろしく」

(ん? ゲル?)

「じゃあね」

そしてベインの魔法により全員が元の世界に帰っていったのだった。
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