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ボーンネルの開国譚2
二章 第二十話 軍勢 対 理不尽
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「はぁ!?」
「なんじゃ、アイツは」
鬼幻郷の最上階からクレースの一撃を見ていた幹部たちは皆口を開き、天変地異が起こったような衝撃に駆られていた。それもそのはず、先ほどまで見えていた巨大な城壁の上半分ほどが綺麗に無くなっていたのだ。
「アイルベル、トウライ、私とともに魔魁玉の回収に来い。相手は想像よりも厄介だ」
「かしこまりました」
「そうじゃな、あやつと剣を交えてみたいものじゃがそれがよかろう」
トウライというその人物はいつの間にか抜刀していた刀を鞘に収め立ち上がった。
「ではここは頼んだぞ」
「了解」
「他の幹部にも伝えておきます」
そしてヘルメスたち三人は一度百鬼閣から離れて妖力の発生源へと向かった。
一方ジンたちはクレースの陽動に紛れて敵の視界から隠れるように少し遠回りをして回り込んでいた。
「なんかアイツ年々強くなってねえか」
「うん、クレースは負ける姿が想像できないね」
するとイッカクが目の前の景色から何かを思い出したようにその場に立ち止まった。
「そういや、そこから百鬼閣に通じる地下道があったな。非常用に作られたやつだ」
「そいつはラッキーだな」
「よっと、確かここに······あったぜ」
何もないように見えた地面は草を使いうまくカモフラージュが為されていた。正確な場所を覚えていたようでイッカクが草を退けると地下へと続く先の見えない暗い階段が地下へと続いていた。
「確かここから地下一階に続いてたな」
「こりゃあインフォルが好きそうな場所だな」
地下道の中は暗く不気味な空間となっていたがトキワが炎を灯りの代わりに使いなんとか先へと進んでいく。
バキバキ
いきなり大きく何かが壊れる音がした。
「ヒッ」
「エルム!?」
エルムはその暗闇の中で何かを踏んで思わず悲鳴をあげる。ゆっくりと足をあげると今度は小さく何かが割れた音がしてあげた足を元に戻せないでいた。
「白骨が辺りに散らばっているようですね、おそらくは鬼族のものかと」
「ひどい······」
「キルト······クソっ、はやく行こうぜ」
一方、百鬼閣。
幹部のもの達はクレースの登場に焦りを見せつつも各部隊に指示を飛ばしていた。
「地上部隊の者は全員であいつらを潰しに行け! なんとしても食い止めろ!」
「いでよ、骸の兵士たち」
続いてクシャルドは大量の骸骨の兵士たちを召喚し、さらに地上部隊に加わった。大軍勢とも言えるその巨大な地上部隊は百鬼閣を出発する。骸骨兵を加えた地上部隊の数は1万を上回っていたのだ。そしてその大軍勢がたった三人の標的を目掛けて進行を始めた。
そのタイミングで下の部分だけが残った城壁が開く。それに合わせて骸骨兵を先頭にした軍隊は大きな音を立てながら向かってきた。パールとボルは前方に飛んでいったクレースにようやく追いつきその軍勢を目にする。
「コッツがいっぱい」
「コッツはもっとカッコイイヨ」
「にしても多いな一人何人だ」
「わたしが全員倒す。それでジンに褒めてもらうもん」
「ジンはもう見てないぞ」
「······やっぱりがんばらない」
「じゃあこの軍隊はボクが全員ヤル」
ボルは『ゼルタス』を片手に握り、大きく上に持ち上げる。それに応じて筋肉が隆起し、ボルの瞳は深い紅色に変化した。
隙だらけに見えるその構えでボルは上に持ち上げたハンマーをゆっくりと下に下ろす。
「激震(ゲキシン)」
何の勢いもつけられずにまるでスローモーションのように振り下ろされたそのハンマーは地面に触れた。
その瞬間、地面は薄っぺらい紙のように揺れ始める。
「おい! 地震か!?」
その振動に地面は波の如くうねり地上部隊の足元を揺らす。
「構わん!! 進めぇッ!」
「馬鹿だな。閻魁か」
「大体ここら辺なハズ」
するとボルが地面をコンっと手で叩いた。しかし叩かれた地面は何も変化せず、地上部隊の足元から轟音が響き出す。
「な、なんだよ······これ、こんなのありかよ」
地上部隊のものは皆等しく後ろを向いて現実かどうか分からないほどの目の前の光景に身動きが取れなくなる。
「ボルすご~い」
兵士たちの走ってきた地面はいつの間にか激しく反り返り、自分達を飲み込むように城壁ごと真上から迫ってきたのだ。
「「うっ、うわぁあああアッ!!!」」
しかし気づいた時にはすでに遅く、一万もの軍勢が一瞬にして地中の中へと消えていく。
「わ、私の骸たちががッ!!」
一瞬にして圧倒的な数がただ一人によって蹂躙される。
「落ち着け、クシャルド」
(クソッ、バケモノが。······私はここで死ねない、あの子に会うまでは)
レイは冷静を装いつつ、少し焦った様子を見せていた。
「仕方ありません。私が出ますか」
「ジャスパーか」
ジャスパーと呼ばれる人物は片手に小さな杖を持ってクシャルドとレイのいる場所へ現れた。
「それでは私は」
そう言うとジャスパーは百鬼閣のかなりの高さから飛び降りた。
「あいつが行けばなんとかなるか」
幹部の一人であるジャスパーの魔力量はその杖を持った状態ではボルの魔力量と同程度であったのだ。
そしてジャスパーの移動に続き、他の幹部のもの達もその強大な力を持って動き出す。
幹部達の登場を機に戦場はさらに加速していくのであった。
「なんじゃ、アイツは」
鬼幻郷の最上階からクレースの一撃を見ていた幹部たちは皆口を開き、天変地異が起こったような衝撃に駆られていた。それもそのはず、先ほどまで見えていた巨大な城壁の上半分ほどが綺麗に無くなっていたのだ。
「アイルベル、トウライ、私とともに魔魁玉の回収に来い。相手は想像よりも厄介だ」
「かしこまりました」
「そうじゃな、あやつと剣を交えてみたいものじゃがそれがよかろう」
トウライというその人物はいつの間にか抜刀していた刀を鞘に収め立ち上がった。
「ではここは頼んだぞ」
「了解」
「他の幹部にも伝えておきます」
そしてヘルメスたち三人は一度百鬼閣から離れて妖力の発生源へと向かった。
一方ジンたちはクレースの陽動に紛れて敵の視界から隠れるように少し遠回りをして回り込んでいた。
「なんかアイツ年々強くなってねえか」
「うん、クレースは負ける姿が想像できないね」
するとイッカクが目の前の景色から何かを思い出したようにその場に立ち止まった。
「そういや、そこから百鬼閣に通じる地下道があったな。非常用に作られたやつだ」
「そいつはラッキーだな」
「よっと、確かここに······あったぜ」
何もないように見えた地面は草を使いうまくカモフラージュが為されていた。正確な場所を覚えていたようでイッカクが草を退けると地下へと続く先の見えない暗い階段が地下へと続いていた。
「確かここから地下一階に続いてたな」
「こりゃあインフォルが好きそうな場所だな」
地下道の中は暗く不気味な空間となっていたがトキワが炎を灯りの代わりに使いなんとか先へと進んでいく。
バキバキ
いきなり大きく何かが壊れる音がした。
「ヒッ」
「エルム!?」
エルムはその暗闇の中で何かを踏んで思わず悲鳴をあげる。ゆっくりと足をあげると今度は小さく何かが割れた音がしてあげた足を元に戻せないでいた。
「白骨が辺りに散らばっているようですね、おそらくは鬼族のものかと」
「ひどい······」
「キルト······クソっ、はやく行こうぜ」
一方、百鬼閣。
幹部のもの達はクレースの登場に焦りを見せつつも各部隊に指示を飛ばしていた。
「地上部隊の者は全員であいつらを潰しに行け! なんとしても食い止めろ!」
「いでよ、骸の兵士たち」
続いてクシャルドは大量の骸骨の兵士たちを召喚し、さらに地上部隊に加わった。大軍勢とも言えるその巨大な地上部隊は百鬼閣を出発する。骸骨兵を加えた地上部隊の数は1万を上回っていたのだ。そしてその大軍勢がたった三人の標的を目掛けて進行を始めた。
そのタイミングで下の部分だけが残った城壁が開く。それに合わせて骸骨兵を先頭にした軍隊は大きな音を立てながら向かってきた。パールとボルは前方に飛んでいったクレースにようやく追いつきその軍勢を目にする。
「コッツがいっぱい」
「コッツはもっとカッコイイヨ」
「にしても多いな一人何人だ」
「わたしが全員倒す。それでジンに褒めてもらうもん」
「ジンはもう見てないぞ」
「······やっぱりがんばらない」
「じゃあこの軍隊はボクが全員ヤル」
ボルは『ゼルタス』を片手に握り、大きく上に持ち上げる。それに応じて筋肉が隆起し、ボルの瞳は深い紅色に変化した。
隙だらけに見えるその構えでボルは上に持ち上げたハンマーをゆっくりと下に下ろす。
「激震(ゲキシン)」
何の勢いもつけられずにまるでスローモーションのように振り下ろされたそのハンマーは地面に触れた。
その瞬間、地面は薄っぺらい紙のように揺れ始める。
「おい! 地震か!?」
その振動に地面は波の如くうねり地上部隊の足元を揺らす。
「構わん!! 進めぇッ!」
「馬鹿だな。閻魁か」
「大体ここら辺なハズ」
するとボルが地面をコンっと手で叩いた。しかし叩かれた地面は何も変化せず、地上部隊の足元から轟音が響き出す。
「な、なんだよ······これ、こんなのありかよ」
地上部隊のものは皆等しく後ろを向いて現実かどうか分からないほどの目の前の光景に身動きが取れなくなる。
「ボルすご~い」
兵士たちの走ってきた地面はいつの間にか激しく反り返り、自分達を飲み込むように城壁ごと真上から迫ってきたのだ。
「「うっ、うわぁあああアッ!!!」」
しかし気づいた時にはすでに遅く、一万もの軍勢が一瞬にして地中の中へと消えていく。
「わ、私の骸たちががッ!!」
一瞬にして圧倒的な数がただ一人によって蹂躙される。
「落ち着け、クシャルド」
(クソッ、バケモノが。······私はここで死ねない、あの子に会うまでは)
レイは冷静を装いつつ、少し焦った様子を見せていた。
「仕方ありません。私が出ますか」
「ジャスパーか」
ジャスパーと呼ばれる人物は片手に小さな杖を持ってクシャルドとレイのいる場所へ現れた。
「それでは私は」
そう言うとジャスパーは百鬼閣のかなりの高さから飛び降りた。
「あいつが行けばなんとかなるか」
幹部の一人であるジャスパーの魔力量はその杖を持った状態ではボルの魔力量と同程度であったのだ。
そしてジャスパーの移動に続き、他の幹部のもの達もその強大な力を持って動き出す。
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