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ボーンネルの開国譚2
二章 第六話 首都ギーグ
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アバンと別れた後結界を通りギーグに入るとしばらく竹林の中を歩くことになった。辺りはすっかり暗くなっていたが竹林には月の光が差していてそのまま真っ直ぐ進んでいった。
「ジン、こわい」
ギーグに入ってから魔物はいなくなったものの不気味な雰囲気が漂っていたのだ。
パールは抱きついていたジンの胸に顔を埋めて目を瞑った。
「大丈夫だよパール。もう安全な場所だから」
「でもぶきみ」
「おっ、明かりが見えてきたぜ」
トキワが指を刺した方向には燭台に火が灯っており、それが道を作るように整然と並んでいた。そしてそこから石畳が続き、その先には遠くからでも迫力の感じるような大扉があった。
「かなり厳重だな」
「さすが鬼帝が住んでるだけアルネ」
門の前には見回りの兵は居らず閻魁は一人でその大扉を押し開ける。大扉はギギギッと音を立ててゆっくりと開き遂に中の様子が明らかになる
「すごぉお」
目の前には整備された道に沿った趣のある街灯や現代風の建物に加え噴水や銅像などがつくりだす落ち着いた景観が見られ、一目見ただけで発展度合いがわかるような美しい街並みが広がっていた。
「さすが鬼帝が治める都市なだけあるな」
「とりあえず、あそこの店でも入るか、腹減ったぜ」
そう言ったトキワの指す方向には明かりのついていた酒場の看板があった。
「そうだね」
酒場に入ると何人かの鬼族たちが座って楽しそうに酒を飲んでいた。
「おう、見ねぇ顔だな。ここは初めてか?」
「我は初めてではないぞ。聞いて驚くが良い! 我こそは誰もが震え上がる最大最強の······あっ」
閻魁はクレースの冷たい視線に我に帰る。
「ま、まあこの酒場は初めてだな」
「そうか、ゆっくりしてけよ。ゲルオード様のおかげでここは安泰だからな!」
すっかり酔っ払った鬼達は顔を真っ赤にして大きな声で笑い声を上げる。
一方ジンの胸の中でパールは今にも眠りそうにうとうとしていた。
「パールが眠たそうだから私は先に宿を取ってくるね」
「クウゥン」
一緒に行きたいのか、ガルはパールを背中に乗せると店の入り口の前に立つ。
「私も行こう」
「それでは私も同行させていただきます」
「いいや大丈夫だよ。みんなでゆっくりしてきて」
その後クレースとゼグトスは抵抗したがクレースには同じ部屋を、ゼグトスはすぐ隣の部屋を取っておくと言うと快く承諾してくれた。
酒場から出て石畳の上を歩いていくと二階建ての大きな宿が見えてくる。バルコニーが2階に見えたその宿はまだ誰も泊まっていないようで二階の部屋に灯りはついていなかった。
「ガル、あれかな?」
「バウッ」
「やったあ~お泊まり~」
中に入ると若くて綺麗な鬼族の女性が受付に立っていた。
「まあ可愛らしいお客様、いらっしゃいませ。ガーグの宿屋へようこそ」
「こんばんわ、このあとえーっと、五人来るんですけどまだ空いてますか?」
「ええ、ただいま2階は全部屋空いていますので大部屋でもお使い下さい」
「よかったぁ、じゃあ二階の大部屋二つお願いします」
そしてジンが男性陣と女性陣用にそれぞれ大部屋を予約し終えた頃、酒場に座った四人はそれぞれお酒を酌み交わしていた。
「ジンは大丈夫だろうか、可愛いから誰かにつけられてもおかしくない」
「ジン様のワンピース姿を拝見し損ねたとは······」
「ガハハっ酒よ、この程度で我を倒せるとは思うなよ」
「はあ、さすがに体力が持たねえな」
「ここの建築興味ブカイ」
「おい、あいつらなんだか会話が噛み合ってなくねえか?」
五人はバラバラに違うことを話しつつもしばらく飲んでいると急にクレースが立ち上がった。
「すまんがジン分が切れた。私は先に宿へ行くぞ」
「なんだそれは? うまいのか?」
「ジンからもらうエネルギー。ジンはみんなに元気をクレル」
「なるほどな、それならば我も行くぞ」
「まあそうだな、俺もそろそろ宿で眠りてえ」
「ではお先です、皆様」
ゼグトスはいつの間にか席を立ち入り口付近で振り向きざまにそう言った。
「おいゼグトス! 抜け駆けするな」
それに続いてクレース達も続々と店を出る。
「おう、姉ちゃんたちもう帰んのか。またきてくれよな」
「ああ、会計はそいつに頼んでくれ」
「!!」
ボルはいつの間にか席に取り残され椅子に一人で座っていた。
「はあ、またボクカ」
ーそれからしばらくして宿屋。
ジンはパールをベッドで横に寝かせると頭を撫でていた。パールはすっかり顔を綻ばせて大きなベッドでちっさな体をいっぱいに広げ、ガルはその隣でお腹を見せて仰向けに寝転んでいた。
「えへへぇ」
するとそこにドッドッドッと誰かが階段を上ってくる音がした。
「我一番!!」
隣の部屋から閻魁の大きな声が聞こえてきた。
「まったく、あいつは何年生きてるんだ」
そのタイミングでクレースも部屋に入ってきた。
「あはは、でも楽しそうだね」
「······おい、お前は向こうの部屋だろ」
ゼグトスは何食わぬ顔でクレースと共に部屋に入ってきていた。
「いえ、まあジン様のお顔を見に来るのとご報告が」
すると何やら一階から慌ただしい声がしてさらには二階まで響くような騒々しい足音が聞こえてきた。
(なぜこのような所にッ!!)
(事前にお伝えしていただければ貸切に······)
先程の受付の女性の慌てたような声などが聞こえて二階にも緊張した雰囲気が伝わってくる。
「なんだ? 騒がしいな」
そして先程閻魁が上ってきた音とは違い、落ち着きのある音が階段に響き、徐々にその音は近づいてきた。
「ジン、後ろに」
開いたままのドアの前からクレースは強力な力を感じる。そして目の前に現れたその人物はジンの姿を見ると嬉しそうに少し口角を上げた。
「久しいなジン」
ジン達の目の前には浴衣を身に纏ったゲルオードが現れたのだ。
「ジン、こわい」
ギーグに入ってから魔物はいなくなったものの不気味な雰囲気が漂っていたのだ。
パールは抱きついていたジンの胸に顔を埋めて目を瞑った。
「大丈夫だよパール。もう安全な場所だから」
「でもぶきみ」
「おっ、明かりが見えてきたぜ」
トキワが指を刺した方向には燭台に火が灯っており、それが道を作るように整然と並んでいた。そしてそこから石畳が続き、その先には遠くからでも迫力の感じるような大扉があった。
「かなり厳重だな」
「さすが鬼帝が住んでるだけアルネ」
門の前には見回りの兵は居らず閻魁は一人でその大扉を押し開ける。大扉はギギギッと音を立ててゆっくりと開き遂に中の様子が明らかになる
「すごぉお」
目の前には整備された道に沿った趣のある街灯や現代風の建物に加え噴水や銅像などがつくりだす落ち着いた景観が見られ、一目見ただけで発展度合いがわかるような美しい街並みが広がっていた。
「さすが鬼帝が治める都市なだけあるな」
「とりあえず、あそこの店でも入るか、腹減ったぜ」
そう言ったトキワの指す方向には明かりのついていた酒場の看板があった。
「そうだね」
酒場に入ると何人かの鬼族たちが座って楽しそうに酒を飲んでいた。
「おう、見ねぇ顔だな。ここは初めてか?」
「我は初めてではないぞ。聞いて驚くが良い! 我こそは誰もが震え上がる最大最強の······あっ」
閻魁はクレースの冷たい視線に我に帰る。
「ま、まあこの酒場は初めてだな」
「そうか、ゆっくりしてけよ。ゲルオード様のおかげでここは安泰だからな!」
すっかり酔っ払った鬼達は顔を真っ赤にして大きな声で笑い声を上げる。
一方ジンの胸の中でパールは今にも眠りそうにうとうとしていた。
「パールが眠たそうだから私は先に宿を取ってくるね」
「クウゥン」
一緒に行きたいのか、ガルはパールを背中に乗せると店の入り口の前に立つ。
「私も行こう」
「それでは私も同行させていただきます」
「いいや大丈夫だよ。みんなでゆっくりしてきて」
その後クレースとゼグトスは抵抗したがクレースには同じ部屋を、ゼグトスはすぐ隣の部屋を取っておくと言うと快く承諾してくれた。
酒場から出て石畳の上を歩いていくと二階建ての大きな宿が見えてくる。バルコニーが2階に見えたその宿はまだ誰も泊まっていないようで二階の部屋に灯りはついていなかった。
「ガル、あれかな?」
「バウッ」
「やったあ~お泊まり~」
中に入ると若くて綺麗な鬼族の女性が受付に立っていた。
「まあ可愛らしいお客様、いらっしゃいませ。ガーグの宿屋へようこそ」
「こんばんわ、このあとえーっと、五人来るんですけどまだ空いてますか?」
「ええ、ただいま2階は全部屋空いていますので大部屋でもお使い下さい」
「よかったぁ、じゃあ二階の大部屋二つお願いします」
そしてジンが男性陣と女性陣用にそれぞれ大部屋を予約し終えた頃、酒場に座った四人はそれぞれお酒を酌み交わしていた。
「ジンは大丈夫だろうか、可愛いから誰かにつけられてもおかしくない」
「ジン様のワンピース姿を拝見し損ねたとは······」
「ガハハっ酒よ、この程度で我を倒せるとは思うなよ」
「はあ、さすがに体力が持たねえな」
「ここの建築興味ブカイ」
「おい、あいつらなんだか会話が噛み合ってなくねえか?」
五人はバラバラに違うことを話しつつもしばらく飲んでいると急にクレースが立ち上がった。
「すまんがジン分が切れた。私は先に宿へ行くぞ」
「なんだそれは? うまいのか?」
「ジンからもらうエネルギー。ジンはみんなに元気をクレル」
「なるほどな、それならば我も行くぞ」
「まあそうだな、俺もそろそろ宿で眠りてえ」
「ではお先です、皆様」
ゼグトスはいつの間にか席を立ち入り口付近で振り向きざまにそう言った。
「おいゼグトス! 抜け駆けするな」
それに続いてクレース達も続々と店を出る。
「おう、姉ちゃんたちもう帰んのか。またきてくれよな」
「ああ、会計はそいつに頼んでくれ」
「!!」
ボルはいつの間にか席に取り残され椅子に一人で座っていた。
「はあ、またボクカ」
ーそれからしばらくして宿屋。
ジンはパールをベッドで横に寝かせると頭を撫でていた。パールはすっかり顔を綻ばせて大きなベッドでちっさな体をいっぱいに広げ、ガルはその隣でお腹を見せて仰向けに寝転んでいた。
「えへへぇ」
するとそこにドッドッドッと誰かが階段を上ってくる音がした。
「我一番!!」
隣の部屋から閻魁の大きな声が聞こえてきた。
「まったく、あいつは何年生きてるんだ」
そのタイミングでクレースも部屋に入ってきた。
「あはは、でも楽しそうだね」
「······おい、お前は向こうの部屋だろ」
ゼグトスは何食わぬ顔でクレースと共に部屋に入ってきていた。
「いえ、まあジン様のお顔を見に来るのとご報告が」
すると何やら一階から慌ただしい声がしてさらには二階まで響くような騒々しい足音が聞こえてきた。
(なぜこのような所にッ!!)
(事前にお伝えしていただければ貸切に······)
先程の受付の女性の慌てたような声などが聞こえて二階にも緊張した雰囲気が伝わってくる。
「なんだ? 騒がしいな」
そして先程閻魁が上ってきた音とは違い、落ち着きのある音が階段に響き、徐々にその音は近づいてきた。
「ジン、後ろに」
開いたままのドアの前からクレースは強力な力を感じる。そして目の前に現れたその人物はジンの姿を見ると嬉しそうに少し口角を上げた。
「久しいなジン」
ジン達の目の前には浴衣を身に纏ったゲルオードが現れたのだ。
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