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ボーンネルの開国譚2
二章 第三話 バーガル王国の観光
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「ジン様、転移魔法で全員をギルゼンノーズまでお送りしましょうか?」
「ありがとう、でも大丈夫だよ。みんなで歩いていくのが楽しいから、そうでしょ?」
「これは失礼しました。失言でしたね」
そしてみんなで仲良く歩いてギルゼンノーズに向かうことにした。
ギルゼンノーズはボーンネル北西の剛人族の集落があった場所よりもさらに北に位置するため一度バーガル王国を通っていく必要がある。とはいってもバーガル王国までいくのにもかなり時間がかかるのだ。道中最大Bランクの魔物が存在したが誰一人として襲ってくることはなかった。魔物から見ればジンたち一行は脅威でありわざわざ襲う必要がないのだ。しばらく歩いているとようやく集落のあった場所が見えてくる。
「私、バーガル王国って実際に行ったことないや」
「わたしもお」
パールは途中で歩くのがしんどくなってジンに抱っこされていた。結構な距離を歩いていたが辺りは草原や木々の景色が広がっており歩いても歩いても同じ景色だったのだ。
「おいパール、ジンが大変だろ。お前は飛べるんだからそろそろ私と変われ」
「か、変わるの?」
「じゃあ一度休憩するってのはどうだ?」
「ウム。我もそう言おうと思っとったわ」
「ワカッタ」
そう言うとボルは持ってきたカバンの中から小さな箱を取り出してそこに魔力を込めた。すると箱はその魔力に応えるかのように開き大きく広がっていく。
「わあ······」
箱はいつの間にか建物の形になりドンッと大きな音を立ててそこに建物が生まれる。何もなかったはずのその土の上には簡易的とはいえないほどの建物が建ったのだ。それを見て興奮した様子の閻魁が一番に建物に走って行った。中は調理場やソファなどが完備されており快適な環境が広がっていたのだ。
「いつの間につくったの? ボル」
「暇だったからパッてツクッタ」
(ひ、暇だったの?)
即席でつくったとは思えない程のクオリティの建物で一度休憩することにした。そしてしばらくゆっくりするとその後も景色の変わらない風景を歩いてようやくバーガル王国が見えてきた。
「ジンみてみて。おっきい門がある」
パールの指さす方向にはエピネールと同じく入り口に門があり衛兵が二人立っていた。しかしながらその門はエピネールとは比べ物にならないほど大きなものでありバーガル王国全体を囲む巨大な城壁があった。
「普通に通れるかな?」
「まあ俺に任せとけって。俺の巧みな話術でパパッと行ってきてやるよ」
そしてトキワは自信満々に目の前の門へと一直線に歩いていく。しかし遠くから見ているとトキワはいきなり衛兵に止められ何か会話をしている。そして何やら焦った様子のトキワはまるで言葉の通じない多種族と会話するように必死になって身振り手ぶりで言いたいことを伝えていた。しばらくそんな様子を見ているとトキワはとぼとぼとした足取りでゆっくりと帰ってきた。
「なんか、怪しいとかどうとかで入れてくれなかった······」
「ガハハ! 我に任せておけきっと恐れ慄いて道を譲るだろう」
「バカが、やめろ。この前お前のことを聞きにバーガル王国から使者が来たんだぞ。余計に話がこじれるわ」
「じゃあ私が行ってくるよ」
「ジンが行くならわたしもいく」
そして今度はジンとパールが二人で衛兵の前まで向かう。二人を除き皆は物陰に隠れて静かに様子を伺う。
「ガンバレ、ジン」
「まあ止めるものならどっちも殴り倒すがな」
「ええ、もちろんです。ジン様を拒む者などこの世に必要はないですから」
そしてジンとパールは衛兵に話しかけると衛兵は先程までの態度をガラリと変えて笑顔で二人に話しかける。その場の温かい雰囲気は見ていたクレースたちにも伝わってくる。そして二人は笑顔でクレースたちの元へと戻ってきた。
「大丈夫だってさ、みんなも入れてくれるって」
「クソ、これが男女差別ってやつか」
「いや、お前は根本的なところを見直せ」
これにより衛兵たちは死ぬことなく助かったのだ。とはいうものの無事ジンたちはバーガル王国に入国できたのであった。
バーガル王国に入るとエピネールとは全く違うような人々の活気がそこには見られた。そして整然と整備された大通りにはレストラン街や服屋、アクセサリー店が所狭しと並ぶ。オシャレなガラス張りのショーケースなどが見られる店の外観からは文化の発展具合が容易に窺えた。
「すごい、見たことないものばかりだね」
「ああ、エピネールとは比べ物にならんな」
(何あの子、すっごい綺麗でかわいい~)
(ホントにお姫様みたい! それに隣の獣人の人も綺麗でかっこいい)
辺りには歩いているジンたちに視線が集まっていた。
「まあ急ぐ必要はないだろ、一度ここでゆっくりするか」
そしてみんなは一度別れてそれぞれで観光を楽しむことにしたのだ。
「じゃあパール、一緒に服を買いに行こうか。私のおさがりばっかりで今までごめんね」
「私はジンのでもいいよ、いいにおいだから。でもジンにもらいたい」
「じゃあ私もついて行こう、お前たちはどうする?」
「我は腹が減った。なんか食う」
「よしじゃあ俺も心配だからついていくぜ」
「じゃあボクも、お腹減ったカラ」
「ゼグトスはどうする?」
「私は少し調べておきたいことがございますので、どうぞごゆっくり」
そして3チームに分かれてバーガル王国を観光することにしたのだった。
「ありがとう、でも大丈夫だよ。みんなで歩いていくのが楽しいから、そうでしょ?」
「これは失礼しました。失言でしたね」
そしてみんなで仲良く歩いてギルゼンノーズに向かうことにした。
ギルゼンノーズはボーンネル北西の剛人族の集落があった場所よりもさらに北に位置するため一度バーガル王国を通っていく必要がある。とはいってもバーガル王国までいくのにもかなり時間がかかるのだ。道中最大Bランクの魔物が存在したが誰一人として襲ってくることはなかった。魔物から見ればジンたち一行は脅威でありわざわざ襲う必要がないのだ。しばらく歩いているとようやく集落のあった場所が見えてくる。
「私、バーガル王国って実際に行ったことないや」
「わたしもお」
パールは途中で歩くのがしんどくなってジンに抱っこされていた。結構な距離を歩いていたが辺りは草原や木々の景色が広がっており歩いても歩いても同じ景色だったのだ。
「おいパール、ジンが大変だろ。お前は飛べるんだからそろそろ私と変われ」
「か、変わるの?」
「じゃあ一度休憩するってのはどうだ?」
「ウム。我もそう言おうと思っとったわ」
「ワカッタ」
そう言うとボルは持ってきたカバンの中から小さな箱を取り出してそこに魔力を込めた。すると箱はその魔力に応えるかのように開き大きく広がっていく。
「わあ······」
箱はいつの間にか建物の形になりドンッと大きな音を立ててそこに建物が生まれる。何もなかったはずのその土の上には簡易的とはいえないほどの建物が建ったのだ。それを見て興奮した様子の閻魁が一番に建物に走って行った。中は調理場やソファなどが完備されており快適な環境が広がっていたのだ。
「いつの間につくったの? ボル」
「暇だったからパッてツクッタ」
(ひ、暇だったの?)
即席でつくったとは思えない程のクオリティの建物で一度休憩することにした。そしてしばらくゆっくりするとその後も景色の変わらない風景を歩いてようやくバーガル王国が見えてきた。
「ジンみてみて。おっきい門がある」
パールの指さす方向にはエピネールと同じく入り口に門があり衛兵が二人立っていた。しかしながらその門はエピネールとは比べ物にならないほど大きなものでありバーガル王国全体を囲む巨大な城壁があった。
「普通に通れるかな?」
「まあ俺に任せとけって。俺の巧みな話術でパパッと行ってきてやるよ」
そしてトキワは自信満々に目の前の門へと一直線に歩いていく。しかし遠くから見ているとトキワはいきなり衛兵に止められ何か会話をしている。そして何やら焦った様子のトキワはまるで言葉の通じない多種族と会話するように必死になって身振り手ぶりで言いたいことを伝えていた。しばらくそんな様子を見ているとトキワはとぼとぼとした足取りでゆっくりと帰ってきた。
「なんか、怪しいとかどうとかで入れてくれなかった······」
「ガハハ! 我に任せておけきっと恐れ慄いて道を譲るだろう」
「バカが、やめろ。この前お前のことを聞きにバーガル王国から使者が来たんだぞ。余計に話がこじれるわ」
「じゃあ私が行ってくるよ」
「ジンが行くならわたしもいく」
そして今度はジンとパールが二人で衛兵の前まで向かう。二人を除き皆は物陰に隠れて静かに様子を伺う。
「ガンバレ、ジン」
「まあ止めるものならどっちも殴り倒すがな」
「ええ、もちろんです。ジン様を拒む者などこの世に必要はないですから」
そしてジンとパールは衛兵に話しかけると衛兵は先程までの態度をガラリと変えて笑顔で二人に話しかける。その場の温かい雰囲気は見ていたクレースたちにも伝わってくる。そして二人は笑顔でクレースたちの元へと戻ってきた。
「大丈夫だってさ、みんなも入れてくれるって」
「クソ、これが男女差別ってやつか」
「いや、お前は根本的なところを見直せ」
これにより衛兵たちは死ぬことなく助かったのだ。とはいうものの無事ジンたちはバーガル王国に入国できたのであった。
バーガル王国に入るとエピネールとは全く違うような人々の活気がそこには見られた。そして整然と整備された大通りにはレストラン街や服屋、アクセサリー店が所狭しと並ぶ。オシャレなガラス張りのショーケースなどが見られる店の外観からは文化の発展具合が容易に窺えた。
「すごい、見たことないものばかりだね」
「ああ、エピネールとは比べ物にならんな」
(何あの子、すっごい綺麗でかわいい~)
(ホントにお姫様みたい! それに隣の獣人の人も綺麗でかっこいい)
辺りには歩いているジンたちに視線が集まっていた。
「まあ急ぐ必要はないだろ、一度ここでゆっくりするか」
そしてみんなは一度別れてそれぞれで観光を楽しむことにしたのだ。
「じゃあパール、一緒に服を買いに行こうか。私のおさがりばっかりで今までごめんね」
「私はジンのでもいいよ、いいにおいだから。でもジンにもらいたい」
「じゃあ私もついて行こう、お前たちはどうする?」
「我は腹が減った。なんか食う」
「よしじゃあ俺も心配だからついていくぜ」
「じゃあボクも、お腹減ったカラ」
「ゼグトスはどうする?」
「私は少し調べておきたいことがございますので、どうぞごゆっくり」
そして3チームに分かれてバーガル王国を観光することにしたのだった。
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