ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜

ふーみ

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ボーンネルの開国譚

第二十七話 バーガル王国の使者

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翌日、総合室。私とゼフじい、そしてクレースは椅子に座って話をしていた。

「話ってどうしたの? クレース」

「インフォルからの情報だが、どうもバーガル王国のやつが閻魁の復活を勘づいたらしくてな。流石にまだここにいることは知られていないと思うが、バレるのは時間の問題だ。エルシアの取引に影響が出てしまうとこちらとしても困るからどうしたものかと思ってな」

「まあ余程のことがなけりゃあ大丈夫だろう。わしからも閻魁に目立たないよう言っておく、心配はするな」

そう話しているとドアが開いてボルが入ってきた。

「ジン、バーガル王国から使いがキテル」

「えっ」

「まさかもうバレたのか」

「あいつは人型の時それほど魔力も妖力は出てないんだがな」

「······あっ 、昨日」

三人は同時に昨日閻魁が巨大な姿になり、異様な量の魔力を放っていたことを思い出した。

「わかった。とりあえず、使いの人を部屋に連れてきて」

「リョウカイ」

先に部屋へ行き来客用の椅子と机で待機して、念のためにゼグトスとパールも来てジンの護衛についた。そしてしばらくするとボルが使いの者を連れて入ってきた。
部屋に入ってきたのはヒゲを生やした男が一人とその護衛と思われる剣を携えた男が二人であった。

「お初にお目にかかる。私はバーガル王の側近でありブルファンという。この度は一つ其方たちに尋ねたいことがあり参った」

淡々と落ち着いた様子で話すブルファンという男は自分のヒゲを触りながらそう言った。

「初めまして、ジンと言います。早速ですけど尋ねたいことというのは?」

できればあの人が来る前に話を終わらせたいジンはそう言った。そしてブルファンは静かに頷くと真剣な顔で話し始める。

「ああ、単刀直入に言わせてもらうが、このボーンネルでかつて鬼帝ゲルオードが封印した閻魁という魔物の存在が確認されたのだ」

(やっぱりもうバレてる。まあそれはバレるか。確かにクレースとかが魔力を出せば閻魁の魔力量は裕に超えるけど、普段はみんな隠してるし)

クレースの方をチラッと見ると言おうとしていることがすぐわかった。

「そうなんですね。ですが少なくとも、悪い魔物は見てませんよ」

「そうか、それならばよかった。王国に仕える者に妖力を感知できるものがいるのだが、突然強力な妖力が発生したと言ったのでな。調査した結果、閻魁門が壊れていたという情報が入ったのだ」

なるほど、確かに妖力ならバレるか。

「仮に閻魁が暴れても私がなんとかしますから大丈夫ですよ」

その言葉を聞いてブルファンはヒゲを触っていた手をピタリと止める

「其方本気か? あの鬼帝でも苦戦した魔物であるぞ、あまり無茶なことを言ってはいけない」

クレースはそれを聞いて少しイラッとするが、そこにある人物が入ってきた。

「ガハハッ客人が来たと聞いたぞ、我も混ぜろ!」

一番悪いタイミングで話題の人が入ってきてしまったのだ。

「ああーーごめんなさい少しお待ちを」

ジンは閻魁が入ってくると慌ててその声を掻き消すようにして閻魁を無理矢理部屋の外に押し出した。

「えっ、ちょ我も」

「後で遊んであげるから」

そう言うと閻魁は渋々部屋を後にした。

「今のは?」

「いや気にしなくていいですよ。私の友達です」

部屋の外で小さく聞こえたその声に閻魁は嬉しそうにして少し照れるようにニヤけた。

「そうであったか、突然押しかける形になってしまってすまなかったな。では私はこれで帰るとしよう」

「では帰りは転移魔法でお送りしますね」

「······」

「······」

「えっ、転移魔法使えるの?」

ブルファンは驚いて突然口調が変わった。
それと同じように護衛の二人も驚いた様子で互いに見つめ合う。

「ゼグトス」

「了解しました」

そして三人の足元に魔法陣が展開される。

「ではまた~」

「えっ、ちょっまッ」

ブルファンは何かを言おうとしていたが、その前に3人とも一瞬にして姿を消してしまった。

「······っ!!」

一瞬プチンッと意識が消えたブルファンたちが再び目を開けると目の前にはバーガル城があった。

「えっ······えっ!?」

三人は何が起こったかわからなかったが、互いにほっぺたをつねりあいこれが現実であるということを確認する。そして護衛の二人は一気に緊張が解けたかのようにため息をついた。

「正直、あの部屋にいた誰と戦っても勝てる気がしませんでした」

「俺もだ。あのような辺境には大きすぎる戦力に感じるが」

「誰だったんだ、あの者たちは······」

そして三人は夢でも見ていたような気分になりながらも王国に帰って行った。

そしてボーンネル。

ブルファンたちを見送った後、ジンは久しぶりに自分の家でゆっくりすることにした。ジンの家には珍しくガルもパールもいない状態でロードだけが置かれていた。

「ジン、最近いつにも増して楽しそうだね」

ゆっくりと椅子に腰掛けているとそうロードが語りかけてきた。

「うん、でも今の私があるのはロードに出会えたからっていうのもあるよ。今更だけど本当にありがとう」

「お礼を言うべきは僕の方だね。君は武器である僕に親友のように接してくれている。それが僕にはどんなことよりも嬉しんだよ。ジン、覚えてるかい? 初めて出会った時のことを。僕は昨日のように覚えているよ。楽しかったなあ」

そして二人は初めて出会った時のことを思い出す。ジンがまだロードと契約していなかった小さな頃の記憶を、そしてジンとロードの始まりの物語を
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