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最終章
起死回生のネット事業
しおりを挟む僕は、だいたいの話の流れは理解したのだが、帰ってから弥招さんと相談しないといけないので、雅博にもう少し詳しく説明してくれと頼んだ。なぜ、儲かるのか? 三百万の使い道も気になるところであるからだ。
「それはなぁ――どうだ悪い話じゃないだろう」
雅博はなぜ、初期費用が三百万かかるのか、パソコンに疎い僕にもわかり易く説明してくれた。
雅博の話では、国内で表のAVを売るよりかは、もっとマーケットの広い欧州やアジア諸国などのネットユーザーを相手に無修正物を売ったほうが儲かると断言した。
しかもアメリカでは以前から日本人の無修正物がかなり売れるとのことで顧客はかなり見込めるとの事である。
しかし、日本では無修正物は固く販売は禁止されており正規では行えない。
なぜなら日本では、無修正は猥褻物陳列罪という罪に問われて間違いなく犯罪なのだからである。
だから、犯罪者にならない為に無修正が合法なアメリカなどの海外でサーバーを借りて、現地の人に管理してもらうのが手っ取り場合方法との事であった。
そのための費用が三百万かかるという事を懇切丁寧に説明してくれたのだった。
僕は、雅博じゃなくもし他の人から、この話を聞いたら胡散臭くて乗らない話なのだが、友人で会社経営が間違いなく成功してる雅博が言っているのだから信憑性が高いと思ったのだ。
しかも、話してるだけでも金の匂いがプンプンする雅博と組んだら、大金が手に入りそうな気がしたのだった。
「三百万以外に他に金はかからないのか?」
僕は、弥招さんに後で「もっと何で詳しく聞いてこなかったのだ」と怒られないためにも、雅博に質問をするのだった。
「三百万は、あくまで初期投資費用なんだ! サイトが運営しだしたら、こちらの手数料としてAVの売り上げの5パーセントを頂くことになる。それ以外は一切金はかからないよ。ほんとは、初めての試みだから、なるべく安くしてお前の助けになってやりたいのだが、一応こっちもビジネスだから、そこのところは理解してくれ。それでも、初期投資に関しては一切手数料は取らないから……それと祐一以外の奴に話するのだったら、初期費用は五百万で運営マージンは10パーセント頂くところなのだが、そこらへんは俺達の友情ってことでおまけしておくよ」
僕は、雅博の話を全て聞いて、どんずまりだった道が開けたような気持ちになっていた。そして、ここに来た事をつくづく幸運だと思うのだった。
僕は早くこの話を弥招さんや三平に言いたくて仕方なかったので、雅博の会社を後にした。
そして、撮影所に帰ってから、雅博から聞いた話を弥招さんと三平にして了承を求めた。
その話を聞いた三平は飛びついてきて、正式に自分もチームやりちんのメンバー、つまり社員になりたいと言ってきた。
弥招さんも、すでに万策尽きてる感じがしていたみたいで反対することなく了承してくれたのだった。
それから、僕達は一人百万円づつ出す事にして初期費用にあてることにしたのである。
次の日、僕は雅博のところに再び出向き、金を渡して正式にビジネスの契約を取り交わしたのであった。
それは、チームやりちんから、チームやりちんドットコム。の誕生した瞬間であったのである。
雅博に運営を任せた、無修正AV販売サイトであるチームやりちんドットコムは正式に契約をしてから三ヵ月後に運営を開始した。サーバーが置かれてる場所は南太平洋にあるサモア諸島という初めて聞くようなところであった。
いちおう、雅博の話ではアメリカ領であるらしい。
僕と三平は運営が始まるまでの間に、今まで取ってきた三流女優を起用した作品のモザイク取りの編集作業を弥招さん指導の下、慣れない編集機材と戦いながら準備をしたのだった。
そして運営が始まるまでに八本のビデオを無修正として編集するとサモア諸島にマスターテープとして発送してそれを販売の準備とした。
発送したものは現地スタッフが受注にあわせてマスターテープからダビングして客に発送するシステムである為だ。
現地での人件費は雅博の会社が持ってくれるのでありがたかった。
価格は主要顧客となるアメリカ人の物価に合わせて一本二千円弱と日本では当時考えれらない設定にしたのだった。
もちろん日本で無修正は流通していないので闇市場と比較してのことではある。
そして、僕達は数ヶ月間、新たにAVの撮影はせずに、サイトの動向を窺ったのだった。
最初の一ヶ月目は思っていたより全然売れなかった。
月にして百本程度の受注しか入らない程度のものだった。
次の月は倍の二百本ぐらいで、サイトってこんなものかと過剰に期待していた分がっかりしてしまう結果であった。
しかし、三ヶ月目から、いきなりビデオが売れ出した。
今まで一月かかっていた販売数が一日で売れるようになってきたのだ。
けっきょく三ヶ月目は二千五百以上売れたのである。
これだけの数が売れれば儲けも凄いものであって、テープ代の値段を差し引いたものが丸々私達の懐に入ってきたのだった。
僕達の儲けは雅博の会社にマージンを支払っても、一人当たり百五十万円を超える笑いの止らないものになっていた。
しかし油断は禁物で前回の経験から僕達は決して嬉しさはあっても舞い上がって我を忘れることのないように自らの気持ちを自重させて次の月の販売数に注意して見守ったのである。
結果は、先月より倍の五千本以上売れて、僕達は歓喜の声を上げたのだった。
その尋常ならぬビデオの売れ方は、今度こそ僕達の成功を意味するものだと確信できるものであった。
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