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最終章
スカウト成功!
しおりを挟む「誤解しないで下さいね。全員に誘ってるんじゃないんですよ! 不細工だと使いものにならないので、あなたみたいな素敵な方しか声をかけていないのですよ」
僕は、そう言って女性に暗示をかけるのだった。
自分は特別だと思わせるのだ。
そして、また女性の容姿を褒めちぎるのである。
「でも、撮られるのって恥かしいし、無理かも……」
いつのまにか、女性は僕の話術に嵌り、出演の一歩手前まで追い込まれてしまっていた。
「大丈夫ですよ! 恥かしいことは僕がしますけど……顔とかは完全にモザイクかけるので、絶対にばれたりしなようにしますよ。それに、出演してくれたらお礼も勿論あります。プラダのバッグぐらいは買えるんじゃないかな?」
僕は、そう言って女性にギャラをイメージさせたのだった。
プラダと聞いて、女性の目が一瞬輝いたのを見逃さない。ここは、押しどころなのだ。
「AVの撮影と言っても、カメラの前で最初に軽い質問に答えてもらって、あとは私のリードに任せて体をゆだねてもらったら、すぐに終わりますよ! 時間は取らせないので出演してくださいよ。お願いします! ギャラもはずみますんで……」
そうして、僕は手を合わせて得意の拝みに入ったのだった。
「絶対に顔ばれしたりしませんよね……」
それは、交渉成立を意味する女性の返答であった。
喫茶店を出る前に、トイレに行って弥招さんに電話をかけた。
電話をかけたのは、弥招さんが撮影所で待機しているからである。
「もしもし、今から女性を連れてそっちに向かいます。遅くなってすいません、退屈だったでしょ」
「祐ちゃん、でかしたね。それと、三平君と一緒にいたんで退屈しなくて済んだよ。三平君には照明してもらうことになったけどいいだろ? やり方は教えてあるんで安心していいよ。けっこう三平君は裏方の才能あるよ」
僕は、何で三平がいるのだと思ったが、弥招さんと意気投合してるみたいなので文句は言わないことにした。
電話を切ると、女性のところに戻って喫茶店を出た。
女性とカップルのように手をつなぐと、弥招さん達が待つ撮影所に向ったのであった。
女性を連れて、撮影所に着くと、鼻の下をでろんと伸ばした三平が出迎えてくれた。
「なんで、お前がいるんだよ!」
僕は、開口一番に冗談まじりで三平に文句を言った。
「バカ言え、弥招さん一人じゃ準備大変だろ! だから無償で手伝ってやってるんだよ。感謝されても文句言われる筋合いはないんだよ」
三平は、文句を言われた事がよほど腹立たしかったのか、つばを飛ばして言い返してくる。
三平ともめても、隣で僕達のやり取りを聞いてる女性を不安がらせるだけなので、素直に謝った。
そして、女性に三平の事を紹介した。
「こちら、撮影手伝ってくれる三平ってやつです」
僕が紹介すると、三平は待ってましたとばかりに女性にすり寄って話しかける。
「はじめまして! 綺麗な方ですね。私、カメラマン助手の三平って言います。今日は撮影中にインタビューさせていただきますので、よろしくお願いします」
女性は、三平が顔を近づけすぎて話してきたので、少し後ずさりしながら「よろしく」とだけ不快そうな顔をして言った。
僕は、そのやり取りを聞いていて、三平がいつのまに弥招さんの助手になっていたんだと思った。
それとインタビューって何だか嫌な予感がする。
それから、僕達は三平の案内のもと、弥招さんの待つ現場に行った。
現場に入ると、殺風景な部屋の中央にベッドと椅子がおかれてあって、その周りの一画だけ煌煌とした明かりが灯っていた。
さすが弥招さんである、撮影の準備は完璧に整っているのだった。
私は、椅子の手前に立ってカメラの微調整をしてる弥招さんのところに行って、女性を紹介した。
そうして、会釈程度に挨拶が終わると、弥招さんから簡単な撮影の段取り説明が女性にされたのだった。
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