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最終章
待ち合わせに来た女
しおりを挟む「もしもし、私、目黒駅の近くにいるのだけど……彼氏にさっきふられちゃって淋しいの……」
電話の感じからしてOLっぽい。
しかも、傷心中のようである。
これは脈がありそうだと直感した。
失恋した女性は落としやすいのであるからだ。
しかし、ここで焦ってすぐに逢う約束はしてはいけない。
まずは女性の話を聞いてやって、僕の事をいい人だと錯覚させなければならないのだ。
だから、親身になって女性の愚痴を聞いてやったのだ。
すると女性は、すっかり僕に心が開いたようで、向こうから「逢いたいな……もっと話がしたいよ!」と言ってくる。
僕はお互いの着てる服装を言いあうと、目黒駅前にあるローソンに向かうのであった。
リンリン倶楽部をすぐに出ると、女性との待ち合わせ場所である目黒駅のローソンの前で女性を待った。
着くとすぐにローソンの店の前に立ち周囲を確認してみた。
辺りを見てみると、ローソンの斜め向かいの道路沿いに公衆電話があったので、女性はそこからテレクラに電話をかけていたのだと思った。
でも、本来なら僕より先にいるはずの女性の姿はなく、ローソンの前には酔ったサラリーマンがぽつりと座り込んでるだけだった。
でも、女性がいないからといってあせることはないのである。
なぜなら、たいていのテレクラで待ち合わせた女性は物陰から僕の事を観察して気に入れば出てくるからである。
女性は用心深い生き物なのだ。
僕は過去の経験から女性は必ず現われると確信していたので、わざと目印の茶色の皮ジャンを叩いてみたり、見てくれと言わんばかりに大きく背伸びなどをして、用心深く見ているであろう女性にアピールをした。
そして、再び辺りを見渡して女性の姿を探すのだった。
すると駅構内から、こちらに向って歩いてくる女性を確認することが出来た。
女性は白のフレアースカートを穿いていて事前に話していた服装と合致するものであった。
女性はウエストが細く、スカートから出てる足首はスラリとしていてそそるものがあった。
僕は、その女性の服装を見て間違いないと思ったので、女性の元に小走りで駆け寄ると話しかけた。
テレクラでの出会いは、男性の積極性が成否を大きく左右するのである。
「はじめまして! さっき、電話で話した人ですよね」
僕は、わざと明るい感じで、テンションを高めると女性に話しかけた。
もちろん顔は笑顔である。
「え……はい、さっきかけたかも……」
女性は、間違いなく電話をかけてるのに曖昧な言い方をして、照れ隠しを見せる。
「うわぁ、めちゃめちゃ綺麗な人だぁ。超ラッキーかも……」
得意のお世辞を言って、女性の緊張をほぐしにかかる。
「いやぁ、こんな綺麗な人ふる彼氏ってバカですよね……」
女性はまんざらでもない顔をして、お世辞に聞き惚れていた。
「ほんと、美しいですよ!」
「そんなことないですって……もう止めてくださいよ、恥かしいです……」
女性は、恥かしいから止めてと言ってるにも関らず、表情はうっとりとしていて、もっと僕のお世辞を欲しているように思えてしまう。
僕は、その女性の表情を見て、いけると踏んだのであった。
「あの、立ち話もあれなんで、よかったらお茶でもしましょうよ! ちょうどあそこに喫茶店ありますから」
僕は、そう言ってからふね屋を指さしていた。
「祐さんってお仕事何されてるのですか?」
喫茶店に入って三十分ぐらい経った頃、待ちに待った女性の質問が聞けたのだった。
その仕事の話が出るまでの間、僕にとってはどうでもいい彼氏の話に付き合い、聞き上手に徹し、時折世辞を交えた女性を擁護する発言をした甲斐があったというものだった。
「私ですか、絶対に引かないでくださいよ。あ、でも……どうしようかな……」
僕は、エッチの時と同じようにわざと女性を焦らした。
「えぇ……気になるじゃないですか! 祐さんズルイですよ……そこまで言っておいて」
女性は興味津々である。
僕は、そろそろ正体をばらす時だと思ったので告白した。
「AV男優してるんですよ!」
「……AVって?」
「女の子とエッチする職業です」
臆することなく女性に堂々と言い放った。
「えぇ、マジなんですか……でも、そんなお仕事されてる人がなんで……」
女性は最後までは言わなかったが、言いたいことはよく分かった。
それは、テレクラなんかで女性探さなくても、いつでも女性とエッチ出来て、女性には困らないと言いたいのである。
「あ、ごめんなさい。実はテレクラに行っていたのは――スカウトなんですよ」
僕は、女性に自分の都合のいいようにテレクラに行っていた理由を言って、最後に本題のスカウトの事を話したのだった。
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