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最終章
“放課後リンリン倶楽部”
しおりを挟むそういったわけで、私はいきつけの、“放課後リンリン倶楽部”という、そのものズバリの店を利用したのだった。
この店は過去の経験から、サクラが少ないことを知っていたので使い勝手がいいと思ってのことである。
そして、僕はリンリン倶楽部に入店すると、午後九時から翌日の日の出まで自由に出入りできるナイトコースを利用することにしたのだった。
これだと待ち合わせ場所に女性が現われなくても、店に戻ってきて再チャレンジ出来るので安心なのだ。
従業員に案内された個室に入ると、女性からの電話を待った。
僕は、ひたすらに電話機の入電を知らせるボタンを見つめ続ける。
それは女性から電話がかかってきたらボタンが点滅して知らせてくれるからである。
テレクラでは、電話は早いもの勝ちで、素早く電話を取ったものだけが女性と話す権利が得られるサバイバルなものなのだ。
電話を他の客より早く取ることが出来なければ、時間と金をどぶに捨てることになる過酷なゲームなのである。
だから、僕は他の客よりも早く電話を取ってやろうと目を光らせて入電ボタンを見つめたのだった。
しかし、このテレクラってのは、電話をとってからが本番なのである。
それは0ボタンシステムがあるからであった。
この0ボタンシステムってのは、男性も女性も使うことが出来るものだが、電話に出た相手が気にいらなければ、電話機のプッシュボタンである0を押せば即座に電話を他の客に飛ばしてしまう男性にとっては恐ろしいものなのだ。
恐ろしいと言ったのはこのボタンを押すのは、九割以上が女性であるからである。
テレクラってのはサクラが多い店以外、大多数が電話をかけてくる女性より電話を待ってる男性の方が多いので、男性は必然的に選ぶ権利がない方になってしまう。
逆に女性は、男性が気にくわなかったら、すぐに違う男性とつながるので無理して話す必要がないのである。
だから女性は、男性の話し方や声のトーンが自分の好みに合わなかったら容赦なく0ボタンを押すのであった。
正に、男性にとってはこの上なく厳しいシステムなのであった。
でも、僕にとっては、このシステムは女性と同じようにありがたいものなのだった。
なぜなら、テレクラにおいては必須の女性が気にいる話術を会得していたからであるからだ。
この女性が気にいる話術とは、聞き上手褒め上手、声の感じが明るいトーン、偉ぶらなく優しい、適度にエロイ、理屈っぽくなくサービス精神があるといったものなのだ。
それを、僕はメンズ・ボーイや過去の女性経験から学んでいたので、テレクラでは無敵な存在なのだと自負していたのであった。
現に僕は女性と逢える確立が圧倒的に多いのである。
だから、他の客と違って、電話に出て女性と会話をするよりも、いかに電話の押し負けをしないかに神経を集中させないといけないのであった。
電話を取ることさえ出来ればなんとかなるのだ。
そして、僕は暫しの間、入電の点滅を待っていたのだが、ほどなくしてボタンが点滅した。
しかし、残念ながら先に他の客に取られてしまう。
でも、ここで諦めてしまうのは素人である。そ
れは、先に電話を取った客が下手をうってすぐに0ボタンが押されるかもしれないからだ。
その事をよく知ってる僕はすぐに入電ボタンから目を離さずに点滅を待つ。
すると、思惑通りにボタンが点滅したのだった。
その瞬間コールボタンを素早く押した。
受話器から女性の声が聞こえてきた。成功である。
「もしもし、いくつ? 暇してるんだけど……」
若くてバカっぽい声であった。
僕は瞬時にこの電話は冷やかしであると過去の経験から察したので自ら0ボタンを押した。
無駄な相手と会話しても時間の無駄だからである。
テレクラに電話をかけてくる女性の目的は様々なので、逢える相手を会話中に見極めないと時間の無駄になってしまう。
特に今回のように遊び相手を探すのではなく、AVに出演してくれる女性を探すのであれば見極めは肝心なのであった。
さっきの電話をとってから数分後にまたボタンが点滅した。
僕はコールボタンを連打して電話を取る事に成功した。
取った瞬間に受話器からは、まだ何も話していないのに「0ボタンが押されました。次がんばってくださいね」と無情にも女性のガイダンスだけが流れていた。
テレクラってのは忍耐が必要なものなのである。
それから、僕は一時間ほどに十本近く電話を取ったが「いくらあるの?」とか「エレガンスってホテル知ってる?」など売春目的の電話や「私、男なんですが、興味があったら逢いたいな」などのサウナ行って探してくれと思うような電話に悩まされたのだった。
それでも、僕は初日から手ぶらで撮影所に帰るわけにはいかないと思って忍耐強く、逢える女性の電話を待ったのだった。
そんな時、僕にチャンスが訪れたのである。
それは、そろそろ日付けが変わろうとしていた時にとった電話の相手からもたらされたものであった。
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