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最終章
売れる為に。
しおりを挟む「まず、男の方のDNAの思考なんだけどな、こいつは物凄く貪欲な考えをしてるんだ。それは、種をコピーするところの子供を作ることに関してはどんなことでもするってぐらいのもんだ。ぶっちゃけると、相手は誰でも良いという、人によっては最低な思考を持った奴までいるんだ。しかも、チャンスがあれば複数の相手でも関係なくに種を残すように指令してくる。これが、具体的に言えば、結婚して子供がいるのにも関らず、浮気する男の心理につながっている。ピストンも経験あるだろ? 付き合ってる女がいるのに、他の女性にも興味がわいてきてエッチしたいと思うことが…… その指令が強い奴ほど、世間では女癖が悪いとか“やりちん”とか言って揶揄される。かくゆう、俺達も男優なんかしてるのだから、DNAは格段に貪欲な奴なんだと思うよ」
そう言って、剣崎さんは大笑いした。
僕はこの話を聞いて、今まで疑問に思っていた何故? 自分は性欲が強くて、女性の尻ばかり追い求めてしまうのかが、はっきりと分かったような気持ちになったのだ。
しかも、その時何故か、世間では女性から軽蔑される“やりちん”なる言葉に憧れめいたものを抱いてしまうのだった。
「ちなみに誠か嘘か知らないが、交通事故で男性が即死したら、あそこだけは勃起してしまい射精してしまうそうだぜ! それぐらいDNAって奴は貪欲なものなんだ」
剣崎さんから、死んでもなお勃起する話を聞いた時、不謹慎ながらふと三平の事が頭に思い浮かんでしまい僕は笑いがこみ上げてしまうのだった。
「次に、女の方のDNAの考え方なんだがな、基本的にコピーを作りたいというDNAの意図は同じだとされてる。ただ、女のDNAは自身のコピーである子供を成長させて立派に次の子孫を残せるように育てることがプログラムされてるんだ。やるだけやって、後は子供が出来ても平気で次のチャンスを窺おうとする男性のDNAとは、そこのところの思考が違うんだ。とにかく、女のDNAは子供を安全に成長させることを主題とするようになるんだ。母性本能とかも、そこらが起因してるのじゃないかな。だから、女ってのは子供を作る為のパートナーを探す時は慎重になる。例えば、太古の昔だったら狩りが得意な男性、現代なら収入の安定してる男なら、子供が安全に成長出来るとDNAが判断して、恋人になり易かったり、将来結婚につながったりし易くなるんだ。これを、逆手にとったら女を口説き易くなると思わないか? 現に女たらしとか、“やりちん”と呼ばれる連中は、自然とこの女性の摂理を上手に利用していい事をしてるんだぜ! 自称、やりちんの俺が言うのだから間違いない。どうだ、勉強になっただろう」
剣崎さんの話は、僕にとってセンセーショナルでなるほどと思うことばかりであった。
剣崎さんに「ありがとうございました。勉強になります」と腰をあん摩しながら、大きく頭を下げて言ったのだった。
「でも、剣崎さんって凄い博識あるんですね。そんな難しいこと、どこで習ったのですか? AV男優にしとくの勿体ないですよ!」
僕は、少し世辞を混ぜて聞いてみた。
「この話はな、本屋で立ち読みして仕入れたんだ。なんでも偉い学者が書いてるものだったので信憑性は高いと思うぜ! 俺はこの本のおかげで一流男優にも慣れたし、女との経験人数も1000人は超えたんだ。情報を制する者は女を制するってもんだ」
僕は、剣崎さんの話を聞いて、つくづくこの人は凄いと尊敬してしまっていた。
この人こそDNAの命令を忠実に守ってる男の中の男ではないのだろうかと思ってしまう。
しかし、僕の中で一つの疑問が生じてしまった。
それは、これほどまでにDNAに忠実な人が自身のコピーを欲しいと思わないのだろうか? AV女優と絡んでも、避妊をしてるので絶対に子供は出来ないからである。
「剣崎さんって、結婚して子供とか欲しいと思わないのですか?」
剣崎さんは、僕の質問を聞くと、不敵な笑みを浮かべてさらりと言ってのけた。
「そんなわけないだろ。現に子供なら八人ほどいるよ! まぁ、いちいち正確な数は覚えていないし、全て違う女に産ませんだけどな。でも、結婚はしてないし子供の面倒も見てないし、見る気もない。子供の世話は女がせっせと働いて大きくしてるのじゃないかな。俺って子供が出来た女には興味がなくなるんだよ」
全くもってして、剣崎 肇恐るべしであった。
育児放棄してるところから人間としては最低だが、DNAの指令は完璧に遂行している優等生である。まさにDNAの指令にとりこまれたしもべなのだ。
「でも、その腹ませた女性って……」
「心配するな、AV女優じゃないよ。一般の女性だよ! 芸の肥やしの為にテレクラで知り合ったり、企画AVでナンパした素人の女性ばかりだ。さすがにこの俺でも、ご法度とされてるAV女優とはプライベートでエッチはしないよ。ピストンもAV男優としてやっていくなら、どんどんとありとあらゆる女性と関係を持つことを勧めるよ。相手はテレクラを使えば、体が持たないくらいにたくさんいるからな。まぁ、ピストンもテレクラでもして、もっと女ってものを勉強した方がいいぞ! 昔から女遊びは芸の肥やしになるっていうだろう。暇があったら、女口説いて精進するのだな。そしたら、いろいろ吸収出来て、本業のAVに活かせるってものだよ」
そう言って、剣崎さんは僕にテレクラまで勧めてくれて話をしめたのだった。
剣崎さんに丁重にお礼をのべると撮影現場を後にして帰宅のとにつくことにしたのだった。
帰り道すがら、買ったばかりの中古のシビックを運転しながら、僕はその日あったことを思い返していた。
それは、怪我の功名的なものであってして、AVの撮影は失敗したものの、得るものは非常に大きいものだった。
剣崎さんから、業界で生きていく処世術を教えてもらったし、DNA論なる自身の人生観を変えることまで聞けたのだ。
そして、剣崎さんという目標も出来たし、また明日から男優としてがんばろうという気力もわいてくる。体は剣崎さんにあん摩しすぎたおかげで疲れていたが、気分は凄く充実していたのだった。
なぜなら、今までは詩織と言う彼女がいながら、他の女性にうつつを抜かしてる自分が情けなくも恥かしくもあったのだが、剣崎さんの話を聞いて、全てDNAの本能の赴くままに行動してる事は別に悪い事をしてる気分にはならなくなっていたからである。
僕は、この日を境に本能に従って、益々行動するようになていったのであった。
もはや、DNA論という自分に都合のいい取り方が出来る免罪符を手に入れた私を止めるものなど誰もいないのである。
そして僕は、剣崎さんから教えてもらったテレクラでしばらく精進を積む事にしたのだった。
剣崎さんにAV業界の心得なるものをレクチャしてもらってから、教えてもらった事を積極的に実践していった。
AVの撮影がある時は、他の汁男優達より早く現場に入り、スタッフ全員のコーヒーを入れて到着を待つ。
そして、現場に入ってくるスタッフ一人づつにコーヒーを手渡しすると笑顔であいさつをして顔を売るのだった。
監督に対しても、暇さえあれば近づいていき、身の回りの世話と大袈裟なぐらいのおべっかいで気配りを見せたのだった。
むろん、主役であるAV女優には汁男優の立場であっても、ちょっとした差し入れをしてご機嫌取りは抜かりなく行ったのである。
そのような表では無償の奉仕、裏では見返りを求めてのしたたかな仕事を続けてるうちに、少しづつではあるものの奉仕活動の成果が現われだしてくるのだった。
それは、ほんの些細な事ではあるが、スタッフの今まで私をピストンと呼び捨てにしてたものから、祐ちゃんと親しみをもって呼んでくれるようになっていったことから窺いしれた。
そうした結果が現われ出した事に僕は気分をよくすると、益々と過剰なほどの気配りサービスを全てのAVに係わる人に施したのであった。
そうした気配りを続けているうちに、撮影所内で私の事を知らない者はいないほどに顔が売れていく。
顔が知れ渡るって事は、実にありがたいものである。
ちょっとしたことでも話しかけられるようになり、その話を聞き上手になって親身に聞いてやると、御礼とばかりに聞いてもいない情報を流してくれるのだ。
その情報は、監督の趣味だとか、女優さんの好きなものなどの気配りに利用出来るものから、AVの流通方法に関するものや、カメラのよく映る立ち位置など業界に携わる者なら知っておきたい知識など様々な事を僕の耳に入れてくれたのだった。
そして、その情報を有効的に利用させてもらい、自身のスタッフからの株を上げていくのであった。
その甲斐あってか、地道な気配り奉仕活動を行ってから半年後には、撮影所内に出入りしてる何人かのAV監督から出演のオファーをいただけるようになり、そつなく仕事をこなしたのである。
一度、仕事をうまくこなすと、「ピストン祐は使える男優だ」と評判になり、次の仕事を持ってきてくれるのだった。
それは、失態をやらかして激怒させてしまった監督も例外でなく、僕に前回の汚名返上とばかりに男優として期用してくれたのだった。
そして、僕はその撮影で見事に男優としての仕事をやり遂げ、監督からは「いやぁ、祐ちゃんは実にいい男優になった。今度、ぬり絵とピンで絡んでみるか」と賞賛されたのである。
それは、また次の仕事がもらえる事を意味するありがたいものなのだ。
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