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第二章
好きな事を仕事にしたい
しおりを挟むその時に、頭の中で、雅博が昨日アドバイスしてくれた言葉を思い出したのである。
「好きなことをした方が成功するんじゃないかな」
そして、僕は確信したのだった。
AV監督に将来なるんだと……
なぜなら、一番好きなことはエロいことだからだ。
正に好きこそものの上手なれってものである。
僕は、そう決意した瞬間に暗闇の中に一筋のとても明るい光の道をみたような気がしたのだった。
莫大な金が稼げて女が抱ける、こんな素晴らしい職業はないのではないかと強く思ったのである。
ただ、わからないのは、このような業界は求人をしているのだろうか? とすぐに疑問が生じてくる。
当たり前の話なのだが、花道の求人情報にはAV監督という職種は載っていない。
では、どうやったらAV監督になれるのだろう? 僕はせっかく見えた光の道がかすんでしまったかのようになってしまうのだった。
「なぁ、AV監督になるには、どうしたらいいんだ? 俺はAV監督になりたいんだ!」
僕は、三平に恥を偲んで聞いてみた。
聞いたところで、バカな三平にはわからないだろうと思ったがダメ元である。
すると意外な事に三平はまともな返事をしてきたのである。
「いや、実はなぁ、俺もこの業界には前々から目つけてたんだ。まぁ、俺の場合は将来の仕事は実家の寺をつぐんでお前とは少し立場が違うのだけど……」
そう、三平はいつもとは違って神妙な顔をしてまじめに話だした。
元々、他人からしたら、まともな話ではないのだが、僕にとったら真剣な話なのであった。
三平はまるで水を得た魚のように得意げな顔をして、更に質問に答えてくれていった。
「まず、AV監督なんてものは、求人はしてないと思う。そんなものは自分で女とやったところをビデオカメラで撮影したら、今日から祐一もAV監督ってわけだ。ただ、撮ったところで素人のお前がどうやって販売するんだよ! そこが問題だと思わないか?」
なるほど、三平はさすが、この業界に目をつけていただけあって理がかなった事を言ってくる。
「で……どうしたらいいかって事になるんだけど、俺は最初からは監督を目指すのではなくて、AV男優から始めてみて、業界のノウハウを勉強するのが得策だと思うんだ。現にAV男優なら募集してるとこあるんだ」
三平は、そう言うと立ち上がって、机の鍵のかかった引き出しからビデオボーイとタイトルのついたエロ本を持ってきた。
そして、ここを見てみろと雑誌を広げて中を見せてくれた。
そこには、“汁男優随時募集中”と書かれていたのだった。
「汁男優ってなんだ?」
僕は、汁の意味がわからなかったので三平に聞く。
「あぁ、汁男優ってのは、AV男優の一番下っ端のことだよ。よく、AVであるじゃないかよ、Hシーンの中でAV男優が女性と絡んでいる周りに立ってる人達で、決して女優と絡むことは出来ずに、性交シーンを見ながら自分のものをただひたすら扱いて、最後に女優の顔に魚の種付けするかのように顔とか腹に精子だけを出す奴」
企画物のAVとかで汁男優なるものを見たことがあったので、すぐに三平の言ってる意味がわかった。
「祐一、どんな世界でも最初は下積みなんだよな。だから、本気でAV監督目指すのだったら、汁でもなんでもいいから、業界に入り込んでいろいろと修行しないといけないと思うんだ。よかったら、俺は遊びだけど付き合ってやるぜ」
三平は、僕が汁男優のことを知って臆病風に吹かれていると思ったのだろう。
僕にやる気を出させるようなことを熱心に言ってきたのだった。
まさか、三平に人の道の歩き方を教わることなど想像もしていなかったので、エロの話であっても少し三平の事を見直したのであった。
「それで、祐一、汁男優の面接いつ行く? 随時募集ってなってるけど早い方がいいと思うぞ!」
三平は、どうやら僕以上に汁男優になりたいようであった。
僕はもう一度、募集要項に目を通した。
年齢18歳から、履歴書持参、面接は渋谷の当社撮影所にて随時行っているとなっている。
それと、待遇などの詳細は面接時に説明があると、この本には書かれていた。
「渋谷だろ、一日仕事になってしまうな。バイトの調整もあるんで来週の週末に行こうか」
三平にそう提案してみた。
「あぁ、そうしよう。じゃ来週の土曜あたり渋谷に行こう」
三平は面接にいけることがよほど嬉しいみたいで目を輝かせていた。
それから、僕達はもう一度、村西とおる監督のHビデオを見て、将来の夢と股間を膨らませるのだった。
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