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第二章
AV監督 村西
しおりを挟むテレビの芸人が「ナイスですねぇ~」と訳のわからない事を言っているのを聞きながら、自分の好きなことってなんだろうと考えてみた。僕の好きなことといったら……。
また、テレビからは芸人が「ナイスですねぇ~」と誰かの物真似をしていた。
しかし、この芸人はいったい誰の物真似をしているのだろう? と思っていると、もう一人の女装をした芸人が、テレビ画面に自身の腋毛を晒しながら、「監督、そこはダメです。アーン」と下品なコントをしていたのだった。
さすが、ひょうきん族である。
ゴールデンタイムという時間にも関らず、下品な内容で勝負してくる番組構成は男の自分にとっては脱帽ものであると感じてしまう。
そういった訳で、僕はこの下品なコントに興味をもってしまい雅博に電話で聞いていた。
「雅博、テレビつけてくれ、俺達ひょうきん族ってのすぐに見てよ!」
「いま、つけたよ。これがどうしたんだ?」
「なぁ、このコント面白くないかぁ、お前なら誰の真似してるのか知ってるのじゃないかと思って……」
雅博は、テレビのコントを見ているようでしばらく返事がなかった。
テレビからは、相変わらずに「ナイスですねぇ~」と芸人が連呼している。
「祐一わかったよ! これは、村西とおるっていうAV監督の物真似してるんだ。その隣で女装してるのが、あの腋毛からして黒木 香っていうAV女優の真似してるんだろう。こいつら、バカだなぁ」
雅博は笑いながら教えてくれた。
「その、村西監督ってのは有名なのか?」
僕はAVとは縁のない生活をしていたので村西なる監督を知らなかったのである。
「あぁ、超有名なんじゃないか。監督の作ったAVビデオはバカ売れしてるみたいで、むちゃくちゃ儲けてるらしいよ。俺は、まだ見たことないけど、その黒木 香っていう腋毛を生やしたAV女優との絡みが物凄くエロいらしいよ。しかも、この監督自らが手にカメラを持って、その女優とエッチしてるのを撮影してるんだ。まぁ、監督兼AV男優ってやつだな」
雅博はきっと見てるに違いないと思えるくらいに村西監督の事を詳しく説明してくれたのだった。
僕は、雅博から村西監督の事を聞いて、非常に彼の撮影したビデオを見たくなってしまっていた。
そして、雅博との電話を切り上げると、続けて、三平の自宅に電話していた。
勿論、まだAVから卒業できない三平ならきっと村西監督のビデオを持っているに違いないと思ったからだ。
翌日になって、僕は村西作品を三平の家で見ていた。
そのAVは私が見た中ではトップクラスだと言えるほどにエロいものだった。
監督が黒木 香なるとてもAVに出るような感じのしない清楚な女性をオモチャなどを使っていたぶっていく。
そのたびに村西監督は「ナイスですねぇ~」と女性を褒めて、ハメちぎるのだった。
また、この黒木 香っていうAV女優も清楚な顔に似合わず淫乱であってして、これみよがしによがり狂っていた。
しかも、途中からほら貝のようなものを口に含むと、村西が腰を激しく動かすたびに「プー、ポワー」と間抜けな音をほら貝から出すのであった。
そして村西監督は、すでに僕の耳から離れなくなってしまったフレーズの「ナイスですねぇ~」連呼するのであった。
「すげぇなぁ、三平!」
僕は、思わず三平に感嘆の声を上げてしまう。
とにかく黒木 香なる腋毛を生やした女性を起用した村西監督の斬新さにすっかりうちのめされたのだった。
なるほど売れる理由が分かったような気持ちになってしまう。
「とおるちゃんは、天才だよ! これ、とおるちゃん自身がカメラ持って撮ってるんだぜ。こういうの、はめ撮りっていうのだけど、どこのAVメーカーもとおるちゃんに続けって感じで最近のはほとんどこのタイプで撮影してるんだ。今じゃ、とおるちゃんはビデオが売りに売れまくって億万長者なんだぜ! 羨ましいよな、いろんな女とHが出来て、しかも金まで稼げるんだぜ」
三平は鼻息を荒くしながら、村西監督のことを尊敬してるような口調で熱く語っていた。
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