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第二章
ビデオの中身
しおりを挟む三平はビリビリと乱暴に梱包されてる紙を引き破ると、黒い箱を露出させていった。
三平の顔は、昨夜の睡眠不足からくるものか、はたまた、あまりある性欲のためなのか定かではないが、目が血走っていて鬼気迫るものであった。
そして、黒い箱を開けると三平は中から三本のビデオテープを取り出した。
取り出された箱の下には紙が一枚置いてあって、「お買い上げありがとうございます。何か不具合がありましたら下記番号までお問い合わせください」書かれていたのだった。
その文面を見て、アフターサービスもばっちりじゃないかと嬉しくなってしまっていた。
早速に三平はヘッドフォンのジャックを入念にテレビに差し込むと、ビデオテープをデッキに差し込んだ。
ビデオテープにはタイトルなどが書かれていないので、恵美ちゃんが登場するのかこすりちゃんが登場するのかドキドキものである。
そして、僕達はテープの再生音を耳で聞きながら、画面を注視した。
画面には、以前みた洗濯屋ケンチャンの時のように七色のカラーバーが表示されていてアングロ感をひきだしてくれていた。
三平がリモコンで早送りしようとした時に映像が派手な太鼓を叩いてる音とともに流れ出してきた。
その太鼓の音は聞き覚えのある音で、大相撲が放送される時に流れるものであった。
しかも、映像はがっぷり四つに組んだ関取どおしが勝負をしてるものである。
僕と三平は、その見たくもない映像に度肝を抜かれて、口を大きく開けてしまう。
急いで三平は、ビデオを早送りしだした。
初めだけ映像はフェイクってことが無修正ビデオにはよくあるからだ。
しかし、映像は延々と大相撲の取り組みばかりで、いつまでたっても見たい映像は現れなかった。
ビデオの最後の方では、取り組みの番狂わせがあったのか、座布団が画面の中で舞っていたのだ。
僕も、何か物を投げたい心境になってしまう。
一本目のテープを三平は怒りながら取り出すと、次のテープをデッキに挿入した。
しかしながら結果は同じであった。
映像は大相撲の巡業の場所が変わっただけのようで、ひたすら男同士の裸のぶつかり合いしか映っていなかったのだった。
三平は完全に怒り心頭であってして、顔を真っ赤にしながらビデオと一緒に入っていた紙切れに書いてある番号に電話した。
「祐一、思いっきり文句を言ってやれ!」
そういって、三平はまたしても私に嫌な事を押し付けてきたのである。
でも、自身も三平同様に憤慨していたので三平の文句も言わず子機を手にとっていた。
ほどなくして、電話がつながった。
電話の相手は注文した時のような明るい女性ではなく、声の低い愛想もへったくれもない男であった。
「はい、なんでしょうか?」
男は凄みのある横柄ないい方をして聞いてきた。
「あのぉ、そっちでビデオ買ったんですけど、中身が違うようなんですけど……」
「あぁ、あれねぇ。兄ちゃん達よく聞けよ! ああいった商品は一回目は当局がウルサイのでダミーを送ってるんだ! 次は本物を送るんで、テープと一緒にそっちから送り返してくれよ。住所は電話番号の書いてある紙に書いてあるから――全く素人はこれだから困る」
男は、文句を言いたいのはこっちのはずなのに、逆に怒ってそう言い放った。
「あ、そうなんですか、初めてだったものですいません。すぐに送りますので……」
しかし、僕は男の凄みに負けて丁寧な言い方をしていたのだった。
「送ってくれたら、今度は本物を渡すので…… あ、それと悪いんだけど郵送代はそっちで払うように頼むよ!」
男は、最後にそう付け加えると電話を切ったのであった。
それから、僕達は男の言う通りにして、テープを再び黒い箱に入れると、紙の書かれた住所の送り返す事にしたのだった。
その後、三日待っても、一週間待っても言うまでも無いことだが、テープが送られてくることは二度となかった。
電話もほどなくして「おかけになった電話番号は現在使われておりません」となってしまい音信不通になったのである。
しかし、その代わりといってはなんだが、テープの代わりに今度は、エロビデオのモザイクが一瞬のうちに消えるという魔法の機器の販売チラシが業者から送られてきたのであった。
もちろん、チラシに書かれてる電話番号は前のものと違っていたものになっていたのだが、恐らく、今回のことで味をしめた業者が送ってきてることなど容易に想像が出来るってものである。
僕は三平から見せられたチラシを見て、二度と騙されるものかと思ったのだが、三平の奴は懲りもせずに購入を真剣に考えていたので、なんだか可哀想に思えてしまうのだった。
しかし、この時の詐欺にあったという経験が騙しは絶対に許せないと僕の心に火をつけ、後に将来の職業を左右することになるのであった。
僕と三平はエロビデ詐欺の被害者になってからも懲りることもなく、日々オナニーに明け暮れていた。
しかし、やればやるほどオナニーってものは虚しいものであるのだ。する前はいいのだが、性欲を放出した後はすっかり萎えてしまったものと同様に気分が滅入ってしまうのである。
それはたとえ、オナニーのオカズがおにゃン子からウィンクの翔子ちゃんに代わったとしても同じことなのであった。
まして、僕のように女の体の味を知ったものならばなおさらのことである。
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