【完結】【やりちん】僕の青春グラフィティ。ノスタルジーな昭和チェリーボーイの卒業物語

カトラス

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チェリー卒業 前編 了

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 詩織は、その事を気丈に話していたが、最後に「ごめんね、祐一君、一緒に高校行けなくて……」といった途端に激しく泣き出したのであった。

 僕は、肩を揺らして泣きじゃくってる詩織がいたたまれなくなって、詩織の隣に座り肩を引き寄せてやった。

「ごめんなぁ、詩織。相談にものってやれずに……辛かっただろう」

 小刻みに揺れる詩織の体を受け止めながら、詩織に自身の不甲斐なさを詫びた。



「謝らないで祐一君。どうすることも出来ないことだから……」

 そう言って詩織はさらに泣いた。

 僕も、詩織の悲しい境遇を知ってしまって、いたたまれない気持ちになり、一緒になって泣いてしまっていた。



「祐一君、泣かないで! 詩織はもう大丈夫だから」

 気がつけば、本来なら慰めてやらないといけない詩織に介錯されていた。

 

 なんとも自分が情けない。

「ところで、受験はどうだったの?」

 詩織は僕の頭を優しく撫でながら聞いてきた。

「うん、花道は合格することが出来た。公立も明日に合格発表あるけど、たぶん大丈夫だと思う」



「うわぁ、良かったじゃない。心配してたんだ!」

 詩織は自分の事に嬉しそうに、今日始めての笑顔でそう言ってくれた。

「うん、詩織のご褒美がほし……」

 僕は、こんな状況でそのような事を言っては不謹慎だと思い、言いかけた事を途中できった。

 

 その様子を見て詩織がまた笑った。

 そして、私の目をみて突然に「ねぇ、祐一君キスしてよ」と言ってきた。

 僕は「え!?」と思ったが詩織は目をつぶって口ずけを待っていた。

 詩織から「キスをして」との予想外の展開に私は一瞬躊躇したが、待たせては悪いので、詩織の首に手をまわすと唇を重ねた。

 最初は遠慮から軽いキスだったのだが、徐々に深いものに変わっていく。


 そして、キスをしながら、詩織の体を寝かせていき服の上から体をまさぐっていった。

 それは、ごく自然な形で自身の欲求に任せて事は進んでいくのだった。

 一枚、一枚と詩織の着ているものを脱がせていき、最後の一枚を脱がせ終わった時には、僕達はベッドに場所を移していた。

 詩織の体が僕を受け入れる準備が出来ているか確認しながら、愛撫を繰り返していった。

 その日の僕はある程度興奮を抑えることが出来て冷静であった。

 程よい詩織からの分泌液を確認すると、詩織に優しく「入れていいかい?」と聞いてみた。

 詩織は顔を紅潮させながら「うん」とだけ頷くと目をつぶって待つ。

 僕は、分身に半透明なゴムを着せてやると、腹を突き出すような形で詩織の受け口に、そっと分身の頭を入れていった。

 頭の先っぽが少し入った瞬間に詩織の口から「痛い」と声が洩れた。

 それでも、躊躇することなく、少しずつ分身を詩織の体内に入れていった。

 ちょうど、詩織の顔が見える形で入れたので、分身が奥に入っていくにつれ詩織の顔が苦痛に歪んでいくのが見てとれた。詩織は声はださないものの歯を食いしばって僕の分身を受けいれていったのである。

 詩織に心の中で謝りながら分身を入れきったのであった。そ

 の瞬間に僕は詩織と一つになることが出来た。

 僕はゆっくりと分身を出し入れしながら、初めての感覚を味わったのであった。

 詩織の体熱が分身に伝わってくるのがよく分かった。

 

 僕は無心で詩織に覆いかぶさりながら腰を上下にスライドさせたのだった。

 始めは一つになれたことの感動で快感を感じる余裕はなかったが、少しずつ要領が分かってきて、詩織の苦悶の表情を見ていたら、急に興奮しだしてしまった。


 なんだか、詩織のことをむちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られてしまって、腰を動かすスピードが自然とあがっていったのである。

「詩織好きだよ、愛してる」と自分に酔いながら詩織に呼びかけてしまう。

 

 詩織は「うんうん」とだけ言って、僕の欲求を我慢しながら受けいれてくれていた。

 その詩織のけな気な様子に心を打たれてしまって、それから数十秒後には果ててしまったのであった。

 しばらく、詩織の体に抱きついて余韻が収まるのを待ってから、ゆっくりと分身を詩織の体から抜いた。

 分身の頭につけた半透明なゴムには、詩織の純潔の証明がうっすらと目に焼きつく色をして付着していた。



 僕は、詩織に「痛かっただろう。ごめんね」とおでこにキスをして言った。

「うん、死ぬかと思ったけど、合格祝いだと思って我慢したんだよ」

 そう、詩織は笑って言ってくれた。

 僕は「ありがとう」と言って、もう一度詩織に口ずけをした。

 それから、僕達は生まれたままの姿で話こんだ。



「なぁ、詩織は今、どこに住んでいるんだ」

 これからのこともあるので聞いてみた。

「今はアパートに住んでるけど、また引っ越すみたいなの。家賃が高いから安いところに越すってママが言っていたから……だから、落ち着いたらまた、連絡する」

 

 それを聞いて、やはり詩織は大変なことになっているのだと思ってしまう。

「今日、祐一君に逢いにきたのは、近況を報告するのもあったのだけど……もう一つ用があったからなの」

「合格したご褒美で来てくれたのじゃないの?」

「祐一君のばかぁ! そんなのは二の次よ」

 久しぶりに詩織からバカ呼ばわりされて、少し嬉しかったが、それにしても、もう一つの用事ってなんだろうと僕は無い頭を振り絞って考えたが、

 どうやら僕の頭は分身である正宗と同じ海綿体で出来てるみたいで、萎えてしまった状態では答えは導きだされない。



「なぁ、もう一つの用事ってなんだよ?」

 考えても無駄だと思ったので素直に聞いてみた。

「ヒント、クリスマスイブの日」

 詩織は、そんな僕をからかうかのように簡単には答えを教えてくれない。

 ヒントを聞いても、益々頭は混乱するばかりである。



「降参するから、意地悪しないで教えてよ!」

「もう、本当にバカなんだから……」

 今度のバカは流石に少しムッとしたが、詩織の言う通りバカだから仕方が無い気もする。

「あれよ、あれ」

 

 詩織は、そう言って勉強机の横にかけてある学生服を指さして言った。

 その時になって私はようやく意味が分かったのであった。

 

 そう、あのクリスマスイブの日に…… 

 門限を破らせて詩織の父親に詫びを入れにいく間際に詩織は、父親に謝らなくていい交換条件として、卒業式に私の制服の第二ボタンを欲しいと言っていたのだ。



「やっと、分かったようね! 詩織は卒業式には参加できないから今日貰いに来たの」

 

 なんと、詩織はいじらしい女の子だと、また涙が出そうになってしまった。


「そんなものなら、いくらでもやるよ!」

 僕は、立ち上がると机に行き、制服から胸の第二ボタンを引きちぎると詩織に渡した。

 詩織は、ボタンを受け取ると、満足そうな顔をして下着を着始めた。

 

 僕も、だいぶ体が冷えてきたので下着をはきジャージ姿に戻った。

 先に服を着た私は詩織に「今度いつ逢える?」と聞いてみた。

 詩織は服を着ながら、「わからないの。落ち着いたら必ず、また来るから……」と言って明言は避けたのだった。

 

 服を着替えた詩織は、「そろそろ帰るね」と言ってほしくないことを告げた。

「もうちょっといいだろう!」と引き止めたが、「ママが神経まいってるから心配なの」と言うので僕は諦めることにした。

 僕は、途中まで詩織を送るためにジャンバーを着ると、二人して近所のバス停まで向った。

 ほどなくして、二人を引き裂くかのようにバスが到着する。



「四月からは、スーパーで働くから給料出たら美味しいもの奢ってあげる」

 別れ際に詩織は嬉しいことを言ってくれた。

「うん、絶対だぞ! 連絡まってるから……電話もいつでもかけてこいよ!」

 バスに乗り込む詩織に僕は叫んでいた。

 そうして、バスが視界から消えていくまで、手を振って詩織を送ったのであった。

 

 この時の別れが、次に詩織と意外な形で再会するまで数年かかることなど私は知るよしも無かったことなのだが……



                                             前編 了
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