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所詮はすべり止め
しおりを挟む僕は、次の試験までのインターバルを利用してトイレに用足しに行った。
トイレには先客が二人いて、並んで立ちションをしながら、さきほど行われた国語の試験の話をしていた。
二人は同じ制服を着ているところからして、一緒に受験をしに来たことが見てわかる。
「お前どうだった――以外と難しくなかったか?」
「やべぇよなぁ、あの問題……半分ぐらいしか出来なかったよ!」
二人の会話を横で立ちションしながら聞いていたのだが、正直こいつらは救いようのないバカだと思ってしまった。
と同時に例え花道を受かったとしても、こんなバカ達と一緒に高校生活を送ることなんか絶対に嫌だと激しく思う。
花道は所詮はすべり止めだと自身の気持ちをなだめて、次の適性試験に臨むことにした。
用足しの時間が終わり、ほどなくして数学の試験が始まった。
数学は僕にとっては苦手な科目である。
ここでも易しい問題がきてくれと願いつつ、問題内容を確認した。
僕は、三問目の問題を解き終わった瞬間に勝利を確信したのであった。
数学も三択であってして、答えが書いてあるようなものであったからだ。
いや、数学という事自体おこがましく算数なのである。
数学は苦手でも算数は得意なのだ。
僕は問題を解きながら、詩織と一緒に回転ベットでクルクル廻ってる妄想が出来るぐらい余裕であった。
正に花道恐るべしなのである。
数学もどきのテストが終わった時点で、僕は最後の英語が半分以下の点数でも合格できるのではないかと自信が出るほどの出来栄えを感じていた。
最後の試験を前に武者震いを覚えたので、トイレに再度いった。
またしても、トイレには先客が二人いて数学のテストの話をしていた。
「全く出来なかったよ……」
「……俺もだよ」
二人は諦めたのか、大笑いしながら言っていた。
僕は、こいつらにはきっと悪い物が憑いているのだと思うことにした。
受験を受ける前に悪魔祓いでも行った方がいいのでは思ってしまうのである。
それから数分後に花道受験最後の英語の試験が始まった。
結果は言うまでもなく楽勝であった。
最後の問題を解き終わった時に、快楽にも似た花道受験が終わったことによる余韻に包まれていた。
恐らく、三教科の出来栄えから合格は間違いなしといったところだ。
頭の中では、ジェットカプセルに延長料金を入れてる自身の姿が投影されていたのだった。
花道受験は予定通りに正午きっかりに終わり、僕は受験前のブルーな気持ちとはうって変わり、帰りの電車の中で鼻歌でも歌いたい晴れやかな気分でいっぱいだった。
早く母校に戻って、受験の出来具合を詩織と先生に報告したいってものである。
途中、駅前の立ち食いそばを腹の中に入れ込むと逸る気持ちで中学校に戻った。
「どうだった?」中学に戻ると担任の先生は心配そうな顔で聞いてきた。
僕は、満面の笑みを浮かべて「勉強した甲斐がありました。ほぼ完璧です」と答えていた。
先生は「良かったじゃないか――公立が本命だから気を抜いたらダメだぞ!」と言って、僕の肩を叩くと、花道受験が終わったことをねぎらってくれた。
担任の先生に受験の報告が終わると六限目から授業に参加した。
授業中は、早く放課後になれと思いながら、詩織とラブホテルに行く妄想ばかりして退屈な授業を過ごした。
エッチな妄想をしていると時間は経つのは早いもので、あっという間に授業の終わりを意味するチャイムがなった。
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