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コソ泥尋問
しおりを挟む僕は、一人反省会をしながら、早足で家路を急いでいた。
やはり、頭の中によぎる事は一番肝心な局面において醜態を晒してしまった我が分身である正宗のことばかりであった。
しかし、いくら考えても正宗が折れてしまった原因は掴めないのである。
とにかく、正宗の状態を確かめる意味でも、帰ってからラブホテルの出来事をオカズにして思い出しオナニーをして検証してみようと僕は思った。
それと後日、雅博に相談してみるのも一つの手だとも考えるのであった。
そんな事を考えているうちに、詩織と別れる間際に降りだした雪は、その結晶を大きなものに変えて、僕の顔面に寒風とともに吹き当たりだした。
見る見るうちに雪はアスファルトを白い絨毯に変えていく。
僕はあまりの寒さと雪に耐えれられなくなり、駆け足をすると自宅まで白い息を吐きながら走ったのであった。
ようやくの思いで自宅前に着くことが出来た私は、これで寒風から逃げられたと安堵の途についていた。
しかし、「ただいま」と言って、玄関を開けた僕に待っていたものは、外の寒風なんかよりも凄まじいブリザードが吹き荒れていたのだった。
それは、帰ってすぐに両親に居間に引きずりこまれての事情聴取から始まった。
「祐一、あんたって子は……お母さんの財布からお金盗んだでしょ!」
いきなりの犯人扱いである。
しかし、確かに私は聖徳太子を一枚、深夜に母親の財布から拝借していたので文句は言えない。
「祐一、母さんの言ってることは本当なのか?」
珍しく、父親がまともな事を聞いてきた。
隠しても、犯人は僕なので正直に言った。
「盗んだんじゃないよ、ちょっと借りただけだよ! あとでちゃんと話すつもりだったんだ」
「借りたって……母さんは情けないわよ。それだったらお父さんと一緒じゃない」
父親はまさか自分の名前が出てくるとは思っていなかったらしくバツの悪そうな顔をして咳払いをした。
「まぁ、祐一。男なのでお前が入用だった気持ちはわからんでもないが、とにかく、母さんに謝ってお金を返しなさい」
まるで、父親は自分に言い訳してるような事を言っている。
「謝るには謝るけど……お金は使ってしまってないよ。お年玉で返すから、それまで貸しといてよ」
僕が母親に言ったことは本当である。
お年玉で返したらいいと軽い気持ちで財布から抜いたのだが、まさか、昨日の今日で発覚するなんて思っていなかっただけに正直びっくりしてしまう。
「祐一、使ってしまったって、あんな大金何に使ったのよ!」
母親は流石に、父親と違って甘くはない。きっちりと痛いところをついてくる。
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