【完結】【やりちん】僕の青春グラフィティ。ノスタルジーな昭和チェリーボーイの卒業物語

レクチャー最終局面

　どうやら、メンズボーイのおっさんによる指南は最終局面に入ったようであった。


　“明日のために……その七、キスを制するものは女を制するべし”メンズボーイに描かれてる眼帯のおっさんは、いままでにないほど熱がこもっているように思えた。

「いいかぁ、此処から先はいよいよ実戦に向けての話だ！　心して読むべし」

　実戦という言葉に反応しつつ書かれてる内容に目を通す。



「キスってのは、性交においてのさわりだ。これをマスターする、しないによっては読んでるお前達のＳＥＸライフに大きく影響すると言っても大袈裟でないぐらい重要なものなんだ。まず、お前達に聞く、キスってなんだろう？　え！？　ほっぺたに口ずけしたり、唇同士を重ねてするものだって……確かに間違っちゃいねぇけど、それだけではアマちゃんだ！　なぜなら、キスってのは顔だけにするもんじゃない。体のありとあらゆる性感帯と呼ばれる部位にしてこそ初めてキスのマスターに近づけるってもんだ。顔にするのはあくまでも基本ってことを忘れちゃいけないんだ。じゃ、どこにしたらいいかってのは、下記に描かれてる女体図で確認するべしってことだ」

　おっさんの言う通り、ページの下の方には仰向けになった妙に色っぽいオネーちゃんの絵が描かれていた。

　

　オネーちゃんの体のあちこちには黒点がうってあり、キスすべき場所、即ち性感帯が事細かに説明されている。頭から順番に見てみると、まぶた、鼻、耳、頬、唇、歯茎、舌、首筋、うなじ、鎖骨、肩、乳房、乳首、背中、腕、指、指の股、手のひら、腋のした、へそ周り、腰、大陰唇、小陰唇、陰核クリトリス、膣、会陰、肛門、尻、太もも、ひざ、ふくらはぎ、足の甲、足の指といったところであった。



「どうだ、キスすべきポイント（性感帯）を確認したか？　いっぺんに覚えるのは難しいから、何度もこの女体図を見て勉強するこった。それとだ、女体図に描かれてるポイントは性器以外は、特別な神経や感覚器があるわけじゃない。性的な興奮があってこそ性感が生じることになることを覚えておくんだ」

　

　なるほど、性器以外のところは相手を興奮させないといけないってことだと解釈した。

「次に肝心のキスの仕方を伝授してやる。キスってのは基本、唇と舌の連携でするんだ。唇は、ふれる、はさむ、こするってのが基本動作だ。舌の使い方は、なめる、つっつく、絡めるが基本にあたる。これに、噛む、吸う、吹くをミックス出来たら、お前はマスターになることが出来るだろう。特に、性感の強い性器周辺にこの一連の動作をかみ合わせて見ろ、お前のパートナーのＫＯノックアウトは時間の問題ってわけだ」

　

　僕はおっさんの講釈を読んでいると、詩織の体を舐め回してる妄想が沸き起こってしまい、どうにもムズムズした気分になってしまうのだった。

「まぁ、最初は、マウスＴＯマウスからパートナーと試して見るのが初心者にはいいかもしれない。口唇ってのは唇と舌の動きの練習をするのにはもってこいって場所だからだ。まずは口唇に対してソフトなキスから初めて、徐々に唇で左右にこすったり、チュチュと音を立てて吸ったりして、最後に舌を絡ませるディープキスにもっていくといいだろう」

　

　おっさんの言うことは分かるのだが、肝心のキスまで詩織といってないので練習といっても、そう簡単に出来ない環境が私は恨めしく思った。

　とにかく近いうちに詩織とキスぐらいはしないといけないと強く思ってしまう内容のものであった。

　詩織に対するいろいろな思いが交錯する中、おっさんの次なる指南に目をやった。


　“明日のために……その八、究極の愛撫、それはクンニリングスにあると思うべし”


「いいかぁ、女って生き物は恥かしがっていても、好きな男性からならいじり倒されたいと思ってるんだ。そのことを肝に入れて、愛撫を習得すべし、そして究極の愛撫、クンニリングスを会得した時には、お前は神、すなわち世界チャンピオンになることだろう」

　おっさんは、舌をべろべろと出しながら親指をたててる漫画によって喚いていた。



「愛撫ってのは簡単に言うとタッチのことだ。手をつないだりするのも愛撫になる。ここまで読んでる奴なら手をつなぐ事ぐらいパートナーとしてることだと思うが、手に触れるってことは愛撫の基本であってして、手に触れることによって女の警戒心を解く意味のある重要な行為だと思ってくれ、そして、手から腰にタッチを広げて、おっぱいまで触れたら、服を脱がせる行為に発展し易いってもんだと言うことを覚えておくべし」

　まだ詩織と手しか繋いだことがない。腰にタッチして次は胸かぁ、体の箇所は近いが、触るのは遠い気がしてくる。ましてや服を脱がせるって……気が遠くなるような気分だ。



「愛撫の基本は、なでる、つかむ、はさむ、揉む、ひっかく、叩く行為をさす。この動作に強弱をつけてバリエーション豊富に行ってやると女性は感じてくれるってもんだ。愛撫し易い場所は、髪の毛、首、耳、手、乳房、乳首、太もも、尻、そして、大陰唇や陰核クリトリスをはじめとする女性器本体がいいんだ。覚えて実践すべし」

　手で触るだけが愛撫だと思っていただけに、おっさんの説明は勉強になった。