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ビデオ鑑賞会
しおりを挟むこればっかりは、知ったかぶりは出来そうにないものなので、素直に答えた。
「吸ったことなんかないよ! でも、お前、親とか吸っていて何も言わないのか?」
雅博はタバコの煙を鼻からだしながら「吸ってること、知らないのじゃないかな? ほとんど、飯食うときぐらいしか両親と会わないし、それに俺のことにあまり関心ないみたいだしな」
雅博は少し寂し気にそう呟いた。
少し、しんみりと雅博との会話がなりかけたので、僕は明るく「そろそろ、ビデオ見せてくれよ」と雅博に頼んだ。雅博も笑いながら「ビデオ取ってくる」と言って部屋から出ていった。
待ちにまったビデオが拝めることに興奮して、喉が渇く。
勝手にコップにコーラの御代わりをすると、雅博が戻ってくるのを緊張して待った。
ほどなくして、雅博は手に数本のビデオテープを持って戻ってきた。
「一本じゃないのか?」
複数ビデオテープを持ってるのを見て、嬉しく思い聞いた。
「おぅ、無修正は一本なんだけど、モザイクの入ってるのも親父が隠しもっていたので、ついでに持ってきた」
前々から、雅博は気のきく奴だと思っていたが、僕にとって雅博はストーンズじゃないが神だと思えた。
「祐一、どっちから見る?」
雅博は三本あるビデオテープを目で指しながら聞いてきた。
答えは決まっていたのだが、いちおうビデオテープを覗いて見る。
モザイクの入ってるビデオテープはパッケージに入っていて、プラスチックのケースの表にはタイトルと女優の顔写真がデカデカと印刷されていた。
テープの裏には、ダイジェストなのだろうか、小さく、その女優が淫らなことをしている写真が細かく印刷されていた。一方、無修正の方は黒いケースに入ってるだけで、アングラ感が漂っていて見てはいけないものっていうイメージをもたらすものだった。
「洗濯屋ケンちゃんが見たい」と雅博に頼む。
「やっぱり、こっちからか」
雅博は、そう言って黒いケースに入ったテープをテレビの下に置いてあるデッキに挿入した。
初めて見る動くエロ本に大いに期待し、興奮を覚えた。
また、喉が渇いたのでコーラを一気に飲み干すと、テレビ画面を注視して、映像が流れだすのを手に汗をにぎりながら待ったのだった。
ブラウン管を見つめながら映像が出てくるのを待った。
ビデオデッキの再生が始まってから数十秒後に画面いっぱいにカラーを表示する色のついた縦長のバーが現れた。バーが出ている間「ピィー」と信号音が一緒になりだして耳障りに感じる。
そのバーと信号音が終わった後に、画面に“洗濯屋ケンちゃん”と白字で書かれたタイトルテロップが映しだされた。
いよいよ本編の無修正ビデオが始まる瞬間に私はすっかり心が躍らされていた。
そして、テロップが消えると待ちに待った本編が画面に映しだされた。
ビデオの内容は、決して若くないクリーニング屋に扮する男優が、これまた姉さん以上おばさん未満といったところの愛人役(クリーニングのお得意さん)の女優をデートに連れ出して野原でSEXするというもので、粗悪な画像と間抜けな音楽が無修正ビデオらしいアングラ感をかもし出していた。
ビデオに出演している女優は私の好みのタイプではなかったが、それでも、初めて見る動くエロ本の興奮は大きく、男優が野原で強引に女性の下着を脱がそうとしているところで、僕の股間は隆起し始めた。
立ち始めた股間を雅博に見られたら恥ずかしいと思ったので、雅博を横目で確認してみた。
横目で見た雅博は、見飽きたのかビデオには全く興味がないようで、ギターの楽譜を熱心に読みふけっている。
雅博の行動に安心して再びビデオに目を移した。ちょうど、ビデオのケンちゃんが嫌がる女性のパンティーを脱がそうとしているところだった。
この一枚の白い布をケンちゃんが取り払えば、念願のモザイクの先、女性器が拝めるのである。
心の中で不謹慎ではあるが「がんばれ、ケンちゃん」と応援したくなる自分がいた。
不謹慎だと思ったのは、ビデオ内の女性が演技だとしても泣き叫んで嫌がっているからだった。
「やめてぇ~、ケンちゃん。こんなところでいやぁ~」ビデオの女性は演技がうまいのか、悲痛に嫌がっている。その声がまた切なくて、すっかり私は興奮してしまっていた。
そんな、女性の嫌がることなど関係なく、ケンちゃんはパンティーを女性の膝までずらす。
すぐに、カメラが脱がされた部分をズームでとらえたようで、女性の秘部が画面いっぱいに映しだされた。
それは、僕にとって衝撃の映像であった。
エロ本でいつも黒ぬりされていて、想像さえ出来ることがかなわない女性の秘部は、一言で言い表すならグロテスクそのものだ。
あまりの気持ち悪い外見に隆起していた名刀正宗は一気に戦意を失うほどである。
僕がビデオで目撃したグロデスクな女性の秘部は、例えるなら貝を開いた中身みたいなもので、先日、水曜ロードショーで見たSFホラー映画“エイリアン”の序盤に、宇宙飛行士の顔面に張り付いた異性物のような形をしていた。
その物体は左右不対象なこげ茶色をしていて、いも虫みたいなものが左右ひっついた状態で、ねじれるようにかぶさり実に気持ちが悪いものだった。
それがブラウン管に画面いっぱいにアップで映っていたのだが、ビデオ内のケンちゃんは、あろうことか、そのかぶさったいも虫みたいなものを嬉しそうに指で広げたのだった。そしたら、そのいも虫みたいなものが左右に広がり、蝶々の羽のように開いたのだ。
僕はあまりの衝撃と驚きで思わず唾を飲み込んだほどである。
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