【完結】【やりちん】僕の青春グラフィティ。ノスタルジーな昭和チェリーボーイの卒業物語

カトラス

文字の大きさ
上 下
23 / 146

メンズボーイ

しおりを挟む


 詩織と、そんな他愛もない話をしていると、目指す本屋に到着した。

 

 僕は、男性誌コーナーに向かった。

 詩織も一緒についてくる。

 それほど大きくない本屋なので、男性誌コーナーには角度のついた平たい本棚に、スポーツ、車、音楽、ファッション、それとエロ本がぎゅうぎゅうに並べられていた。

 


 僕は、女子高生がうんこ座りで大またを開いて白いパンティーを露出させているシュガーボーイって雑誌に一瞬心を奪われそうになってしまい、チラ見してしまった。

 

 女ってものは怖いもので、そんなチラ見を見逃してはくれない。

「わぁ。祐一君ってエッチィ! 今、シュガーボーイってやらしい本見てたでしょう」

 図星なだけに、返答に困ってしまう。



「うん、一応、男だからね、興味はそれなりにあるよ」

 とだけ言っておいた。

 

 こういう時こそ、「見てないよ」なんて白々しい言い訳をしても、恥の上塗りになることを私は本能的に知っている。

 

 僕の返しを聞いてか否か、「祐一君が探してる本はこっちでしょ」と言って、詩織はメンズボーイを手に取り渡してくれた。

 

 同じボーイがついても、表紙の爽やかさからして、シュガーボーイとは180度違う代物である。

 メンズボーイには、今、売出し中の風間とおるが白い歯を見せて、華麗にジャケットを着こなしていた。

 こっちには女子高生のあわれもない姿など介在しないのだ。

「あ、これこれ、ありがとう」

 

 詩織から本を受け取ると、レジに持っていき、メンズボーイを購入した。

 詩織は知らない。

 こっちにも表紙は爽やかでも、中身はどぎついことが書かれてるってことを……

 

 詩織の方も買い物ついでに、少女漫画を一冊購入した。

 

 目的を達したので、詩織と一緒に本屋を後にした。

 帰る方向が途中で違うため、詩織が住宅街の角に隠れて見えなくなるまで見送って、詩織と別れた。

 
 詩織の後ろ姿を見送りながら、強く思った。

 まっていろよ詩織、メンズボーイで研究して、必ず詩織の処女を奪ってやると……。

 

 家に帰ってくると、夕食まで時間があったので早速にメンズボーイを読んでみた。

 メンズボーイの中身は、元々男性ファッション誌なのでページの大くはモデルを使っての洋服の紹介が大半である。今のところ、興味があるのはファッションではないので、私は作り笑いを浮かべてる男性モデルのページをどんどん飛ばしてお目当てのものを探した。お目当てのもの、即ち、雅博の言っていたSEXに関するものは雑誌の後半部分にあって、立ち読みされて中身が見られないようにと、ご丁寧に袋とじがされていた。

 ミシン目に沿ってハサミを入れると開封した。

 中身の内容は、読者が分かり易いように工夫がされていて、当時流行の拳闘アニメをモチーフに漫画をはさんで説明がされていた。

 つまり、漫画の主人公に対して、指南役の眼帯をしたおっさんが、原作の漫画のような言い回しで性に関するノウハウを読者にアドバイスしていく形がとられているものだった。

 

 漫画と同じように、指南役の眼帯をしたおっさんが偉そうに読者に能書きをたれている。



 “明日のために……その壱、女はひたすら褒めるべし”女性の口説き方編ってのを僕は読んでみた。

 

 そこには、ボクシングの左ジャブの打ち方ではなく、女の口説き方の基本として、眼帯のおっさんが「女性は、とにかく褒めるべし! 褒めるべし!!」と連呼して叫んでいる漫画が描かれていた。


「いいかぁ、女を打ち倒すには、とにかく、なんでもいいから女を褒めちぎるんだ! 人間ってのは褒められて嬉しくない奴なんぞはいないんだ。多少、見え透いた嘘でもいいから、褒めるんだ。そしたら、女のガードならぬ、小股が緩むかも知れねぇてもんだ。これが、基本だから頭に叩きこんでおけ」と眼帯のおっさんは叫んでいた。



 僕は、これを読んで、抽象的すぎるきらいはあるが、「なるほど」と思わず唸ってしまっていた。

 なるほど、確かに女は褒めると効果がありそうな気がしてくるのだ。ページの下で主人公がシャドーボクシングしながら、左ジャブを打っている姿が描かれていて「女は……褒めるべし、褒めるべし」と噴出しがついていた。早速、明日から詩織に実践してみたいものだと、僕に強く思わせる内容のものである。

「へへ……へへへ……おっさん、わかったよ。女は褒めるもんなんだな」

「但し、これは、あくまでも基本だ。全ての女性に効果があるとは言えないので、注意が必要だぞ! あまりにも見え透いたってのもいけねぇ。例えば、デブな女にスレンダーでそそるとか言っても反感を買うだけなので間違っちゃいけねぇ。自分の正直な気持ちをぶつけて、そいつにあったいいところを拾うって事を忘れないことだ」

 眼帯のおっさんは漫画で僕にアドバイスをしてくれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...