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メンズボーイ
しおりを挟む詩織と、そんな他愛もない話をしていると、目指す本屋に到着した。
僕は、男性誌コーナーに向かった。
詩織も一緒についてくる。
それほど大きくない本屋なので、男性誌コーナーには角度のついた平たい本棚に、スポーツ、車、音楽、ファッション、それとエロ本がぎゅうぎゅうに並べられていた。
僕は、女子高生がうんこ座りで大またを開いて白いパンティーを露出させているシュガーボーイって雑誌に一瞬心を奪われそうになってしまい、チラ見してしまった。
女ってものは怖いもので、そんなチラ見を見逃してはくれない。
「わぁ。祐一君ってエッチィ! 今、シュガーボーイってやらしい本見てたでしょう」
図星なだけに、返答に困ってしまう。
「うん、一応、男だからね、興味はそれなりにあるよ」
とだけ言っておいた。
こういう時こそ、「見てないよ」なんて白々しい言い訳をしても、恥の上塗りになることを私は本能的に知っている。
僕の返しを聞いてか否か、「祐一君が探してる本はこっちでしょ」と言って、詩織はメンズボーイを手に取り渡してくれた。
同じボーイがついても、表紙の爽やかさからして、シュガーボーイとは180度違う代物である。
メンズボーイには、今、売出し中の風間とおるが白い歯を見せて、華麗にジャケットを着こなしていた。
こっちには女子高生のあわれもない姿など介在しないのだ。
「あ、これこれ、ありがとう」
詩織から本を受け取ると、レジに持っていき、メンズボーイを購入した。
詩織は知らない。
こっちにも表紙は爽やかでも、中身はどぎついことが書かれてるってことを……
詩織の方も買い物ついでに、少女漫画を一冊購入した。
目的を達したので、詩織と一緒に本屋を後にした。
帰る方向が途中で違うため、詩織が住宅街の角に隠れて見えなくなるまで見送って、詩織と別れた。
詩織の後ろ姿を見送りながら、強く思った。
まっていろよ詩織、メンズボーイで研究して、必ず詩織の処女を奪ってやると……。
家に帰ってくると、夕食まで時間があったので早速にメンズボーイを読んでみた。
メンズボーイの中身は、元々男性ファッション誌なのでページの大くはモデルを使っての洋服の紹介が大半である。今のところ、興味があるのはファッションではないので、私は作り笑いを浮かべてる男性モデルのページをどんどん飛ばしてお目当てのものを探した。お目当てのもの、即ち、雅博の言っていたSEXに関するものは雑誌の後半部分にあって、立ち読みされて中身が見られないようにと、ご丁寧に袋とじがされていた。
ミシン目に沿ってハサミを入れると開封した。
中身の内容は、読者が分かり易いように工夫がされていて、当時流行の拳闘アニメをモチーフに漫画をはさんで説明がされていた。
つまり、漫画の主人公に対して、指南役の眼帯をしたおっさんが、原作の漫画のような言い回しで性に関するノウハウを読者にアドバイスしていく形がとられているものだった。
漫画と同じように、指南役の眼帯をしたおっさんが偉そうに読者に能書きをたれている。
“明日のために……その壱、女はひたすら褒めるべし”女性の口説き方編ってのを僕は読んでみた。
そこには、ボクシングの左ジャブの打ち方ではなく、女の口説き方の基本として、眼帯のおっさんが「女性は、とにかく褒めるべし! 褒めるべし!!」と連呼して叫んでいる漫画が描かれていた。
「いいかぁ、女を打ち倒すには、とにかく、なんでもいいから女を褒めちぎるんだ! 人間ってのは褒められて嬉しくない奴なんぞはいないんだ。多少、見え透いた嘘でもいいから、褒めるんだ。そしたら、女のガードならぬ、小股が緩むかも知れねぇてもんだ。これが、基本だから頭に叩きこんでおけ」と眼帯のおっさんは叫んでいた。
僕は、これを読んで、抽象的すぎるきらいはあるが、「なるほど」と思わず唸ってしまっていた。
なるほど、確かに女は褒めると効果がありそうな気がしてくるのだ。ページの下で主人公がシャドーボクシングしながら、左ジャブを打っている姿が描かれていて「女は……褒めるべし、褒めるべし」と噴出しがついていた。早速、明日から詩織に実践してみたいものだと、僕に強く思わせる内容のものである。
「へへ……へへへ……おっさん、わかったよ。女は褒めるもんなんだな」
「但し、これは、あくまでも基本だ。全ての女性に効果があるとは言えないので、注意が必要だぞ! あまりにも見え透いたってのもいけねぇ。例えば、デブな女にスレンダーでそそるとか言っても反感を買うだけなので間違っちゃいけねぇ。自分の正直な気持ちをぶつけて、そいつにあったいいところを拾うって事を忘れないことだ」
眼帯のおっさんは漫画で僕にアドバイスをしてくれていた。
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