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ビニ本とは。
しおりを挟む僕は失恋に打ち拉がれてる先輩に気兼ねすることなく、思い切ってエロ本入手方法を聞いてみた。
「そっか、お前もここ数ヶ月で立派なオナニストになったもんやないか! もう、妄想では満足できなくなったという訳やな」
先輩は非常に嬉しそうに言った。
「そやけど、エロ本入手は難しいぞ、ましてや無修正の裏本となると非常に困難やな。普通のエロ本やったら恥をしのんで、本屋のおっちゃんやらおばちゃんが物分りのいい人やったら売ってくれるかも知れないけど、無修正となると、正直どうやったらいいかわからないわ」
頼りのエロ魔人でもわからないとなると、むっつりだけの三下の私ではお手上げ状態なのだ。
「あ、もしかしたら……」
突然、先輩は思い出したように声をあげた。
「確証はないけどな、もしかしたら無修正が手に入るかもしれないこと思いついた」
それを聞いて先輩にくいついた。
「どうしたら、手に入るのですか? 先輩教えてくださいです」
「うん、お前、エロ本の自販機って見たことあるか? 正確にはビニ本ってのかな」
僕にとってビニ本とは初めて聞く言葉だった。
「先輩、ビニ本って何すか?」
「ビニ本ってのなぁ、文字通りエロ本がビニールのフィルムみたいなので包まれているんや、ビニールに包まれてるとなんだか高級感が漂っていて怪しげなんやぁ。それと、本の値段も普通のエロ本よりか高いと思う。故に俺は無修正の匂いがプンプンしてると思うんだけどな。しかも、自販機で売ってる物だから大人の目を気にしないで買えるときてる。まぁ、俺は自販機で買った事ないから保証はできないけど、試してみる価値はあると思うのだけどなぁ」
先輩の話を聞いていると、自販機で売ってるビニ本というものは無修正のような気が私はした。先輩の言うように試して買ってみる価値はありそうだと思ったのである。
「先輩、ところでその自販機ってどこにあるのですか?」
僕は、既に買う気満々であった。
「うん、俺が知ってるのは二箇所ある。一箇所は国道沿いの光屋薬局の隣にある自販機ともう一つは、ここから、ちと遠いけどポンポン山の中腹あたりにある坂巻きっていう名のバス停の隣に自販機はある。でも、お前が買うのだったら、ポンポン山の方がいいと思うよ。光屋は国道沿いで人通りが多くて買うとき恥ずかしいからな」
なるほど、さすが先輩、いう事は最もだと思った。
「ところで、ビニ本っていくらぐらいするものですか?」
先輩は少し考えてから答えた。
「うん、じっくり自販機の中身をみたことないからわからないけど、確か千円から二千円までぐらいだと思うよ」
「意外に高い物なんですね」
中学生だった僕にとって二千円は大金である。それは一ヶ月の小遣いに相当する値段だからである。
「だろぉ、だから裏本くさいとお前は思わないか」
先輩のその言葉で自販機のビニ本は無修正だと確信を持ったのだった。
「先輩ありがとうございました。今夜あたり、買いに行ってみますよ」
僕は、深々と頭を下げて礼を言うと、球拾いに戻った。
先輩は、私に、うまくいったら貸してくれよとだけ言った。全く抜け目のない先輩なのである。
球拾いをしながら、私はビニ本を買いに行く作戦を練った。幸いにも、その日は学習塾に行く日だったので、多少帰りが遅くなっても両親には誤魔化しが利くのである。
あとは、決行するのみ。
僕は、すっかり日が落ちて薄暗くなった峠道を、自転車のペダルを必死にこいで登っていた。
自転車の隣では車や原付がどんどん通りすぎて行く。
歩行道が設けられていないので車と接触しそうになるので実に怖いのだ。
時折、心ないドライバーが急な勾配に負けそうになってふらつきながら自転車をこいでる僕を発見すると容赦なくクラクションをけたたましく鳴らして邪魔だといわんばかりに通りすぎて行くのだった。
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