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番外編、圭吾と零
圭吾と零、小学生if
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※このお話は、圭吾と零の小学生ifです。
本編とは一切関係ありません。
________________
「ままはやく!けいくんむかえにきちゃうよー!」
ピカピカのランドセルを背負って、零くんは昨日から小学一年生です。
「はいはい、これ給食袋ね」
お母さんに荷物の再確認をされ、零くんはお隣に住む圭吾くんのお迎えで元気に家を出ました。
「零、危ないから手を繋ごう」
圭吾くんは小学四年生で、零くんの三つ上のお兄さんです。
二人は幼い頃からの仲良しで、零くんの記憶にはないけど、圭吾くんは零くんが赤ちゃんの頃から知っています。
「うん!」
零くんはやっと圭吾くんと同じ学校に通えるのが、とても嬉しいのです。
幼稚園の時は零くんの入園とともに圭吾くんが小学生になってしまったので、同じ場所に通うのはこれが初めて。
ちょっぴり不安な気持ちはあるけれど、圭吾くんがいれば安心です。
「零、ここは曲がり角から自転車が飛び出してくるかもしれないから、こっち側を通るんだよ」
圭吾くんは、零くんに危ない道を教えます。
特に曲がり角は死角になりやすく、接触事故が多発しているのです。
なので圭吾くんは、曲がり角の外側を通って比較的見えやすい道を教えました。
「朝はいいけど、帰りは零の方が早いからね。
しばらくは先生と一緒にみんなで下校するけど、一ヶ月もしたら一人でここを通るんだよ」
二人は学年が違うので、帰る時間も違います。
零くんは5時間目までしかないけれど、圭吾くんは6時間目まである日もあります。
「やだ!れい、けいくんとかえりたい!」
当然、零くんは聞きません。
やっと一緒の学校に通えるのに、離れ離れは嫌なのです。
「ダメだよ。お母さん心配しちゃうでしょ?それに、5時間の日は一緒に帰れるから」
圭吾くんは一生懸命説得しようと試みますが、零くんはやはり聞いてくれません。
「やだ…けいくんと帰りたい。
ずっとずっとけいくんと一緒がいい…」
そして、ポロポロと泣き出してしまいました。
「零、学校行かなきゃ…とりあえず立って、歩こう」
道に蹲って泣く零くんを、圭吾くんは頑張って連れて行きます。
そして長いこと歩き、ようやく学校の門が見えてきました。
「おはよーう、おはよう、おはようー」
そこには、みんなにおはようと挨拶している先生がいました。
「あれ、花嶺くん?その子は一年生の…」
「零だよ」
圭吾くんが零くんの名前を教えると、先生が零くんを宥めてくれました。
「零くんはあとで先生と一緒にお教室行こうね。
花嶺くんは遅れちゃうから、行っていいわよ。
ありがとうね」
圭吾くんは零くんを先生に預け、教室まで急ぎました。
「それで、零くんはどうして泣いちゃったの?」
先生は零くんの目線まで腰を下ろして、何があったのか聞いてくれます。
「あのねっ、けいくんがねっ、いっしょにかえれないって…」
ひくっ、ひくっ、と泣きながら、一生懸命伝えます。
「そっかー、一緒に帰れないっていうのは、どうして?」
先生はハンカチで、零くんの涙を拭いてくれました。
「えっと、わかんない…でもれいとかえれないときがあるって」
零くんには、圭吾くんの話がよくわかっていませんでした。
そこで、先生はわかりやすく教えてくれます。
「それはきっと、花嶺くんが4年生だからだね。
一年生は5時間目までしかないけど、2年生からは6時間目まである日ができるんだ。
だから花嶺くんより、零くんの方が先に授業が終わるの。
そしたら零くんは一時間も花嶺くんを待つことになるでしょう?
だから花嶺くんは、一緒に帰れない日があるって言ったんだと思うよ」
零くんにはまだ難しかったけれど、少しだけわかりました。
「じゃあ、れいがいやなんじゃないの?」
「いやじゃないよ、花嶺くんは、零くんが入学してくるのを楽しみにしてたと思うよ」
零くんは、そっか~!と納得して、先生と二人で教室へ行くことができました。
おしまい
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本編とは一切関係ありません。
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「ままはやく!けいくんむかえにきちゃうよー!」
ピカピカのランドセルを背負って、零くんは昨日から小学一年生です。
「はいはい、これ給食袋ね」
お母さんに荷物の再確認をされ、零くんはお隣に住む圭吾くんのお迎えで元気に家を出ました。
「零、危ないから手を繋ごう」
圭吾くんは小学四年生で、零くんの三つ上のお兄さんです。
二人は幼い頃からの仲良しで、零くんの記憶にはないけど、圭吾くんは零くんが赤ちゃんの頃から知っています。
「うん!」
零くんはやっと圭吾くんと同じ学校に通えるのが、とても嬉しいのです。
幼稚園の時は零くんの入園とともに圭吾くんが小学生になってしまったので、同じ場所に通うのはこれが初めて。
ちょっぴり不安な気持ちはあるけれど、圭吾くんがいれば安心です。
「零、ここは曲がり角から自転車が飛び出してくるかもしれないから、こっち側を通るんだよ」
圭吾くんは、零くんに危ない道を教えます。
特に曲がり角は死角になりやすく、接触事故が多発しているのです。
なので圭吾くんは、曲がり角の外側を通って比較的見えやすい道を教えました。
「朝はいいけど、帰りは零の方が早いからね。
しばらくは先生と一緒にみんなで下校するけど、一ヶ月もしたら一人でここを通るんだよ」
二人は学年が違うので、帰る時間も違います。
零くんは5時間目までしかないけれど、圭吾くんは6時間目まである日もあります。
「やだ!れい、けいくんとかえりたい!」
当然、零くんは聞きません。
やっと一緒の学校に通えるのに、離れ離れは嫌なのです。
「ダメだよ。お母さん心配しちゃうでしょ?それに、5時間の日は一緒に帰れるから」
圭吾くんは一生懸命説得しようと試みますが、零くんはやはり聞いてくれません。
「やだ…けいくんと帰りたい。
ずっとずっとけいくんと一緒がいい…」
そして、ポロポロと泣き出してしまいました。
「零、学校行かなきゃ…とりあえず立って、歩こう」
道に蹲って泣く零くんを、圭吾くんは頑張って連れて行きます。
そして長いこと歩き、ようやく学校の門が見えてきました。
「おはよーう、おはよう、おはようー」
そこには、みんなにおはようと挨拶している先生がいました。
「あれ、花嶺くん?その子は一年生の…」
「零だよ」
圭吾くんが零くんの名前を教えると、先生が零くんを宥めてくれました。
「零くんはあとで先生と一緒にお教室行こうね。
花嶺くんは遅れちゃうから、行っていいわよ。
ありがとうね」
圭吾くんは零くんを先生に預け、教室まで急ぎました。
「それで、零くんはどうして泣いちゃったの?」
先生は零くんの目線まで腰を下ろして、何があったのか聞いてくれます。
「あのねっ、けいくんがねっ、いっしょにかえれないって…」
ひくっ、ひくっ、と泣きながら、一生懸命伝えます。
「そっかー、一緒に帰れないっていうのは、どうして?」
先生はハンカチで、零くんの涙を拭いてくれました。
「えっと、わかんない…でもれいとかえれないときがあるって」
零くんには、圭吾くんの話がよくわかっていませんでした。
そこで、先生はわかりやすく教えてくれます。
「それはきっと、花嶺くんが4年生だからだね。
一年生は5時間目までしかないけど、2年生からは6時間目まである日ができるんだ。
だから花嶺くんより、零くんの方が先に授業が終わるの。
そしたら零くんは一時間も花嶺くんを待つことになるでしょう?
だから花嶺くんは、一緒に帰れない日があるって言ったんだと思うよ」
零くんにはまだ難しかったけれど、少しだけわかりました。
「じゃあ、れいがいやなんじゃないの?」
「いやじゃないよ、花嶺くんは、零くんが入学してくるのを楽しみにしてたと思うよ」
零くんは、そっか~!と納得して、先生と二人で教室へ行くことができました。
おしまい
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