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番外編、圭吾と零
圭吾さんがちっちゃくなっちゃった!
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「ん…」
目が覚めると、いつもは暑苦しいくらいに寝ながら抱きついてくる夫の姿がなかった。
まだ早朝だし、トイレにでも行ってるのかな?
でも、圭吾さんがこんな早くに起きるなんて珍しい。
いつもは何度起こしても絶対に起きないのに。
そう思って、ふとお腹に違和感があることに気がついた。
「ん…?」
何か、温かいものがくっついている。
布団をめくると、そこには小さな子供が…。
「わっ!!」
驚いて、急いで電気を点ける。
どうやら男の子らしい。
僕の声にびっくりしたのか、ん…と目を擦りながらこちらを眺めている。
「え、え…きみ誰!?圭吾さん…圭吾さん!!」
慌てて夫の名前を呼ぶが、返事は聞こえてこない。
それどころか、その名前にこの男の子が反応した。
「僕、ケイゴだけど…おにいさんだあれ?」
よく見ると、目がくりっとしていて、髪がふわふわだ。
そういえば、昨日お義母さんに見せてもらった圭吾さんの小さい頃の写真に似てるかも…。
「って、そんなわけない!
なにケイゴくん?苗字、ってわかるかな」
まず、なぜここにいるんだろう。
それに、圭吾さんはどこに…。
「僕?花嶺圭吾だよ。えっとね、2年生!おにいさんは?」
花嶺ってことは、やっぱりこの子が圭吾さん…?
「えっと…僕も花嶺だよ。
花嶺、零っていうんだけど…」
状況がさっぱり理解出来ず、とりあえず落ち着くために圭吾と名乗るこの子を連れてリビングに来た。
ちょうど冷蔵庫にオレンジジュースのパックがあったので、それをあげる。
一口飲むと、
「美味しい!」
と笑った。
ちょっとだけ圭吾さんに似てるかも。
ぴく、とお腹が動いて、正確にはお腹の中だけど、赤ちゃんが起きたらしい。
僕と圭吾さんの大事な赤ちゃん。
「それで、君はどこから来たの?お家は?」
「キミじゃないよ、圭吾。
お家で寝たけど、起きたらここにいた」
まさか鍵をこじ開けて入ってきたわけではないだろうし、圭吾さんもいないし、この子の名前は圭吾で、確かに似ている。
でも、どうして小さいのだろうか。
昨日一緒に寝た圭吾さんは、確かに大きかったはずだ。
「うーん…。圭吾くん、お母さんのお名前言える?」
本当にこの子が圭吾さんか確かめるために、生年月日と母親の名前を聞いた。
「ままの名前?雅子ちゃんだよ。ぱぱがそう呼んでる」
…かわいい。
圭吾さん、小さい頃はままとぱぱって呼んでたのかな。
「そっか、やっぱり君が圭吾さんなんだね」
寝て起きたら、ということは、もう一度寝れば元に戻るかもしれない。
幸いまだ早朝なので、普段寝坊助の圭吾さんなら寝てくれるだろう。
飲み終わったオレンジジュースのパックを捨てて、一応うがいだけさせて2人で寝室に戻った。
2年生ってことは、約8年後くらいにはお腹の子も同じくらいになっているだろうか。
布団に入ると、とんとんして と言われたので、言われた通りにする。
優しいリズムで、とん、とん、と。
「零ちゃんのお腹、赤ちゃんがいるんでしょ?」
なかなか寝つけないようで、小さい圭吾さんが話しかけてくる。
「うん、そうだよ。
僕と旦那さんの、大切な赤ちゃんなの」
まだお腹は目立たない方だが、さっきしがみついていた時に気づいたのだろう。
子供は意外と鋭い。
かわいいね、と布団の中に潜り込み、またさっきのように抱きしめてくれた。
気がつくと小さい圭吾さんは寝ていて、苦しくないように布団から顔を出してあげる。
すうすうと寝息を立てて眠る姿は、本当に圭吾さんそっくり。
「ん…」
目が覚めると、やっぱり暑苦しいくらいに寝ながら抱きついてくる夫がいた。
かわいい寝顔。
そういえば、今のは夢だったのだろうか。
不思議だけど、とても幸せな時間だった。
目が覚めると、いつもは暑苦しいくらいに寝ながら抱きついてくる夫の姿がなかった。
まだ早朝だし、トイレにでも行ってるのかな?
でも、圭吾さんがこんな早くに起きるなんて珍しい。
いつもは何度起こしても絶対に起きないのに。
そう思って、ふとお腹に違和感があることに気がついた。
「ん…?」
何か、温かいものがくっついている。
布団をめくると、そこには小さな子供が…。
「わっ!!」
驚いて、急いで電気を点ける。
どうやら男の子らしい。
僕の声にびっくりしたのか、ん…と目を擦りながらこちらを眺めている。
「え、え…きみ誰!?圭吾さん…圭吾さん!!」
慌てて夫の名前を呼ぶが、返事は聞こえてこない。
それどころか、その名前にこの男の子が反応した。
「僕、ケイゴだけど…おにいさんだあれ?」
よく見ると、目がくりっとしていて、髪がふわふわだ。
そういえば、昨日お義母さんに見せてもらった圭吾さんの小さい頃の写真に似てるかも…。
「って、そんなわけない!
なにケイゴくん?苗字、ってわかるかな」
まず、なぜここにいるんだろう。
それに、圭吾さんはどこに…。
「僕?花嶺圭吾だよ。えっとね、2年生!おにいさんは?」
花嶺ってことは、やっぱりこの子が圭吾さん…?
「えっと…僕も花嶺だよ。
花嶺、零っていうんだけど…」
状況がさっぱり理解出来ず、とりあえず落ち着くために圭吾と名乗るこの子を連れてリビングに来た。
ちょうど冷蔵庫にオレンジジュースのパックがあったので、それをあげる。
一口飲むと、
「美味しい!」
と笑った。
ちょっとだけ圭吾さんに似てるかも。
ぴく、とお腹が動いて、正確にはお腹の中だけど、赤ちゃんが起きたらしい。
僕と圭吾さんの大事な赤ちゃん。
「それで、君はどこから来たの?お家は?」
「キミじゃないよ、圭吾。
お家で寝たけど、起きたらここにいた」
まさか鍵をこじ開けて入ってきたわけではないだろうし、圭吾さんもいないし、この子の名前は圭吾で、確かに似ている。
でも、どうして小さいのだろうか。
昨日一緒に寝た圭吾さんは、確かに大きかったはずだ。
「うーん…。圭吾くん、お母さんのお名前言える?」
本当にこの子が圭吾さんか確かめるために、生年月日と母親の名前を聞いた。
「ままの名前?雅子ちゃんだよ。ぱぱがそう呼んでる」
…かわいい。
圭吾さん、小さい頃はままとぱぱって呼んでたのかな。
「そっか、やっぱり君が圭吾さんなんだね」
寝て起きたら、ということは、もう一度寝れば元に戻るかもしれない。
幸いまだ早朝なので、普段寝坊助の圭吾さんなら寝てくれるだろう。
飲み終わったオレンジジュースのパックを捨てて、一応うがいだけさせて2人で寝室に戻った。
2年生ってことは、約8年後くらいにはお腹の子も同じくらいになっているだろうか。
布団に入ると、とんとんして と言われたので、言われた通りにする。
優しいリズムで、とん、とん、と。
「零ちゃんのお腹、赤ちゃんがいるんでしょ?」
なかなか寝つけないようで、小さい圭吾さんが話しかけてくる。
「うん、そうだよ。
僕と旦那さんの、大切な赤ちゃんなの」
まだお腹は目立たない方だが、さっきしがみついていた時に気づいたのだろう。
子供は意外と鋭い。
かわいいね、と布団の中に潜り込み、またさっきのように抱きしめてくれた。
気がつくと小さい圭吾さんは寝ていて、苦しくないように布団から顔を出してあげる。
すうすうと寝息を立てて眠る姿は、本当に圭吾さんそっくり。
「ん…」
目が覚めると、やっぱり暑苦しいくらいに寝ながら抱きついてくる夫がいた。
かわいい寝顔。
そういえば、今のは夢だったのだろうか。
不思議だけど、とても幸せな時間だった。
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