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番外編、圭吾と零
あけましておめでとうございます
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「よし、OK!ゆい、ぱぱ呼んできて~」
零は数日前から作っていたおせち料理をようやく完成させ、テーブルに並べた。
とはいえあまり作っても仕方ないので、ゆいの好きそうなものだけ。
栗きんとんは甘いから、きっと喜んで食べるだろう。
「わ、零すごいな」
りおのオムツを替えていた圭吾が、両手に息子たちを抱えて戻ってきた。
「へへ、頑張っちゃいました」
さ、食べましょう!と全員席につき、まずは新年の挨拶をした。
「あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
「あちぇ…」
「あけまして、」
「あちぇまちて!」
と、両親の真似をしながら一生懸命。
お年玉は、事前に2人の両親から預かっていたものをゆいとりおに渡した。
「はい、あとでばあばとじいじにお電話しようね」
ゆいには五百円玉が6枚、りおはまだ赤ちゃんなので三千円がお札で入っていた。
ゆいも去年まではそうだったが、今年はもうお兄ちゃんだから、とままには預けなくて良いらしい。
ここはさすが、子育て経験者。
子供はお札よりも小銭の方が好きなのだ。
「よし、じゃあ食べようね」
それぞれお皿に取り分け、ゆっくり食べる。
りおの分はお粥にペースト状にした人参を花形に乗せ、紅白風でめでたくしたものだ。
「この蟹、お義母さんが送ってくれたやつ?」
圭吾は大好物の蟹を目の前に、目をキラキラさせている。
「そうです。こっちの海老は、圭吾さんのご実家からいただいたものですよ」
ゆいはまだアレルギーが怖いので、他のものを食べてもらう。
「まま!こえおいし!」
やはり栗きんとんが気に入ったようで、美味しそうに頬張っている。
お雑煮のお餅はゆいでも噛み切れるように、小さく切ったものを焼いてから入れた。
他にも、かまぼこはうさぎりんごのように切ったり、ゆいに気に入って貰えるよう沢山の工夫をしている。
食事が終わると、みんなで歯磨きをして着替えも済ませた。
今日は初詣に行くため、なかなか忙しい。
「あ、圭吾さん5円あります?」
「あるよ、もう4枚入れてる」
寒くないよう着込んで、車で出発した。
なるべく人が少なそうな場所を選んだが、やはり元旦は人が多い。
りおはそういう場所が苦手なので、不機嫌にならないよう赤ちゃんせんべいを常備している。
圭吾が抱っこ紐でりおを抱き、ゆいは零と手を繋いだ。
ゆいは去年のことをすっかり忘れているらしく、新鮮な場所にうきうきしている。
事前に調べた参拝の作法はぎこちないが、なんとか終えることが出来た。
零と圭吾は家族の健康と安全、ゆいは今夜のおかずはハンバーグ、りおはあばぶぅ、それぞれ好きなことをお願いした。
ゆいがおみくじをしたいと言うので、りお以外の3人でそれぞれ引いた。
「お、零大吉じゃん」
運がいい零は、今年も大吉を引いてお財布に入れた。
圭吾は毎年のように吉を引き、ゆいは末吉という結果に。
「ままいいな~」
いまいち分かっていないようだが、両親の反応的に大吉がいい物、ということはわかるのだろう。
ゆいと圭吾の2人でおみくじを結びに行き、その間にりおと零で甘酒の列に並んだ。
甘酒は一応10ヶ月から飲めるらしいので、冷ましてからりおに少しだけ飲ませることも出来る。
とはいえ子供の舌にはあまり合わなかったらしく、ゆいが一口のんで
「んべっ…」
と言うのであとは夫婦2人で飲むこととなった。
「りおくんねんね?」
抱っこ紐の中でうとうとするりお。
寒いし、もうそろそろ帰ろうということになった。
寄り道はせず、真っ直ぐ家に帰る。
車の中で暖まったりおはとうとう熟睡し、チャイルドシートでしばらくひとり遊びをしていたゆいもうとうとし始め、家に着く頃にはぐっすり。
今年も、良い一年になりますように
零は数日前から作っていたおせち料理をようやく完成させ、テーブルに並べた。
とはいえあまり作っても仕方ないので、ゆいの好きそうなものだけ。
栗きんとんは甘いから、きっと喜んで食べるだろう。
「わ、零すごいな」
りおのオムツを替えていた圭吾が、両手に息子たちを抱えて戻ってきた。
「へへ、頑張っちゃいました」
さ、食べましょう!と全員席につき、まずは新年の挨拶をした。
「あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
「あちぇ…」
「あけまして、」
「あちぇまちて!」
と、両親の真似をしながら一生懸命。
お年玉は、事前に2人の両親から預かっていたものをゆいとりおに渡した。
「はい、あとでばあばとじいじにお電話しようね」
ゆいには五百円玉が6枚、りおはまだ赤ちゃんなので三千円がお札で入っていた。
ゆいも去年まではそうだったが、今年はもうお兄ちゃんだから、とままには預けなくて良いらしい。
ここはさすが、子育て経験者。
子供はお札よりも小銭の方が好きなのだ。
「よし、じゃあ食べようね」
それぞれお皿に取り分け、ゆっくり食べる。
りおの分はお粥にペースト状にした人参を花形に乗せ、紅白風でめでたくしたものだ。
「この蟹、お義母さんが送ってくれたやつ?」
圭吾は大好物の蟹を目の前に、目をキラキラさせている。
「そうです。こっちの海老は、圭吾さんのご実家からいただいたものですよ」
ゆいはまだアレルギーが怖いので、他のものを食べてもらう。
「まま!こえおいし!」
やはり栗きんとんが気に入ったようで、美味しそうに頬張っている。
お雑煮のお餅はゆいでも噛み切れるように、小さく切ったものを焼いてから入れた。
他にも、かまぼこはうさぎりんごのように切ったり、ゆいに気に入って貰えるよう沢山の工夫をしている。
食事が終わると、みんなで歯磨きをして着替えも済ませた。
今日は初詣に行くため、なかなか忙しい。
「あ、圭吾さん5円あります?」
「あるよ、もう4枚入れてる」
寒くないよう着込んで、車で出発した。
なるべく人が少なそうな場所を選んだが、やはり元旦は人が多い。
りおはそういう場所が苦手なので、不機嫌にならないよう赤ちゃんせんべいを常備している。
圭吾が抱っこ紐でりおを抱き、ゆいは零と手を繋いだ。
ゆいは去年のことをすっかり忘れているらしく、新鮮な場所にうきうきしている。
事前に調べた参拝の作法はぎこちないが、なんとか終えることが出来た。
零と圭吾は家族の健康と安全、ゆいは今夜のおかずはハンバーグ、りおはあばぶぅ、それぞれ好きなことをお願いした。
ゆいがおみくじをしたいと言うので、りお以外の3人でそれぞれ引いた。
「お、零大吉じゃん」
運がいい零は、今年も大吉を引いてお財布に入れた。
圭吾は毎年のように吉を引き、ゆいは末吉という結果に。
「ままいいな~」
いまいち分かっていないようだが、両親の反応的に大吉がいい物、ということはわかるのだろう。
ゆいと圭吾の2人でおみくじを結びに行き、その間にりおと零で甘酒の列に並んだ。
甘酒は一応10ヶ月から飲めるらしいので、冷ましてからりおに少しだけ飲ませることも出来る。
とはいえ子供の舌にはあまり合わなかったらしく、ゆいが一口のんで
「んべっ…」
と言うのであとは夫婦2人で飲むこととなった。
「りおくんねんね?」
抱っこ紐の中でうとうとするりお。
寒いし、もうそろそろ帰ろうということになった。
寄り道はせず、真っ直ぐ家に帰る。
車の中で暖まったりおはとうとう熟睡し、チャイルドシートでしばらくひとり遊びをしていたゆいもうとうとし始め、家に着く頃にはぐっすり。
今年も、良い一年になりますように
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