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番外編、圭吾と零

サンタさんへの手紙

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暖かな日差しに包まれる日曜日の午後、いつものようにだらだらと家族3人仲良く過ごしている。
公園に行くわけでもなければ、お菓子作りをするわけでもない。
クリーニングをして返ってきたふかふかのカーペットに圭吾が寝そべり、その上に零が乗っかり、そしてまたその上にゆいが登った。
「お~も~い~」
きゃはは、と3人で戯れ、次第にこちょこちょが始まる。
意外に弱い圭吾と、意外に強い零。
唯はすばしっこいので捕まらない。
「は~つかれた~」
そしてまたころりと寝そべり、キラキラと照らされて舞うほこりを見ると、零があることを思い出す。
「そうだ、ゆいサンタさんに手紙書くんじゃなかった?」
来週末はいよいよクリスマス。
子供の気は変わりやすいので、直前に用意する。
なるべくはやく用意したい気持ちは山々だが、前回はそれで失敗した。
一か月前までは寿司レンジャーのベルトが欲しいと言っていたのに、直前になってやっぱり天ぷらマンの変身マントと言い出したのだ。
なんとか圭吾がおもちゃ屋をはしごしてラスト一個を買えたが、あれは焦った。
ということで、今年はいくつか欲しいものを言ってもらい、その中から買えたものを用意することにしたのだ。
「じゃあ、ままがお手本書くからゆいは真似して書いてね」
圭吾が仕事部屋からコピー用紙を一枚持ってきて、ゆいはクレヨンを出す。
零はメモ帳にゆいから聞いた欲しいものを3つ、ひらがなで大きく書いた。
「えーっと、寿司レンジャーのトランプ…、
寿司レンジャーのパジャマ…、あと、天ぷらマンのぬいぐるみね」
どれも人気商品だが、クリスマス前ということで恐らく在庫を増やしているだろう。
どれか1つは買えるといいが。
ゆいは零の書いたお手本を見ながら、一生懸命クレヨンで文字を書く。
まだ3歳なので、読めるほどの字は書けない。
しかし、なんでもやりたがる年頃なのでこうして見守る。
手を汚しながらなんとか書き終えたところで、
ゆいのお腹が盛大に鳴った。
「わっ」
圭吾と零で顔を見合わせ、微笑ましいね、と笑う。
「じゃあパパと一緒におてて洗っておいで、ママおやつ準備するから」
そう言うと、圭吾の足の甲に乗ってペンギン歩きをさせながら手を洗いに向かった。
零は、昨日作っておいたバナナのパウンドケーキを冷蔵庫から取り出し、3人分切る。
それぞれのお皿に取り分け、ゆいの分は一口サイズに切りそろえた。
それからヨーグルトを取り出し、少しだけ砂糖を入れて、そこにみかんの缶詰を入れる。
汁を少しだけ入れるとより美味しい。
そうこうしているうちに2人がまたペンギン歩きで帰ってきたので、今日のおやつタイムが始まった。
零が席に座ると、今度は圭吾がキッチンで温かいお茶を入れてくれる。
次男を妊娠中の零はカフェインをあまり飲めないので、紅茶は我慢。
その代わり、圭吾が愛情をたっぷり注いだ。
「はい、唯は牛乳ね」
3人で美味しいね、と言いながら食べる、幸せな日曜日だ。
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