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秋葉と宗介
宗介の一日
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「まっ!まっ!」
ぺしぺしとちいさな手に顔を叩かれるところから、宗介の一日は始まる。
「ん~…みお~?」
母乳を要求され、仕方なく起き上がる。
美桜に母乳を与え、それから顔を洗う。
美桜は寝汗で汗疹ができてしまうので、お風呂は一日3回。
そのうち2回はシャワーで汗を流すだけだが、幼児はよく動くので大変だ。
昼まで寝る秋葉を起こさないためにも、なるべく静かに入れないといけない。
「みお~じゃぶじゃぶきもちーねー」
機嫌を取るためになんでも遊びに持っていくのがコツだ。
美桜は活発な性格で、少しでも目を離すと何をするかわからない。
動物がだいすきで、野良猫を見つけるとつい走って追いかけてしまう。
シャワーを浴びたらベビーパウダーを叩き、すべすべにする。
「よし、これでOK」
リサイクルショップで安く買ったベビーチェアに座らせ、昨日の夜に作っていた美桜用の朝食を食べさせる。
食べさせると言っても、上手に食べてくれるのであまり手はかからない。
美桜が食べるのを見守りながら、保育園用のリュックに着替えとおむつ、そして連絡帳を入れる。
連絡帳はその日何をしたのか、先生が丁寧に書いて教えてくれるのでありがたい。
美桜が朝食を食べ終わったら、着替えさせて一人遊びをしててもらう。
その間に夕飯の準備と、自分のお弁当、そして秋葉の昼食を作る。
秋葉は壊滅的に料理が下手なので、宗介が作るしかないのだ。
全ての支度ができたら、美桜を保育園に連れて行く。
最初こそ泣いたものの、生後3ヶ月を過ぎた頃から通っているためもう慣れっこだ。
先生と美桜に見送られ、家に帰る。
それから洗濯、お皿洗いをして、自分もパートに行くため準備をする。
秋葉はまだ寝ているので、昼食のメモを残し、自転車で出勤だ。
宗介が勤めるのは近くのスーパーで、お惣菜を作っている。
廃棄は貰えるので、節約にも有難いのだ。
陽気なおばちゃんのパートさんにもかわいがられ、それなりに楽しくやっている。
その後午後6時に退勤し、急いで美桜のお迎えに行く。
その日の疲れを癒すのは、美桜を迎えに行った時だ。
「まっ!」
ぎゅう、と抱きしめ、先生に挨拶をして自転車に乗せる。
そして買い物をして帰宅し、作っておいた夕飯を温める。
まだ一歳半の美桜は言葉こそ喋れないが、美味しい時はにっこりしてくれるので、作りがいがある。
「みおー、美味しいか?」
「んまっ!」
夕飯を食べさせたら急いでお風呂に入れ、母乳を飲ませてそのまま眠ってもらう。
ゆいの時に2歳まで母乳を飲ませていたと零に聞いたので、美桜も少しずつ減らして2歳には卒乳できるよう調節中だ。
母乳を飲んだらすぐに寝るので、それからまた家事をする。
保育園で汚れた服を丁寧に手洗いし、洗濯機に入れる。
夕方取り込んでおいた洗濯物を畳みながらテレビを見て、明日の朝のために美桜の幼児食を作り、明け方に帰ってくる秋葉のためにもご飯を作っておく。
保育園の連絡帳を確認し、先生への返信も書き、やることはこれでおしまいだ。
あとはお風呂に入って歯磨きをして、美桜の隣で眠る。
育児はほぼワンオペなので、正直キツイ。
最初はわからないことだらけで、泣いてばかりだった。
実家を出たあとも頻繁に零に電話し、泣きながら相談に乗ってもらったこともあった。
その度、零は優しい声で落ち着かせてくれる。
宗介にとって零は、お兄ちゃんみたいな存在だ。
と、寝ようと思っていたところに秋葉から連絡が入る。
「もしもし…?」
「ごめん、寝てた?」
休憩中に声が聞きたくなったらしい。
大丈夫だよ、と言い、少しだけ話す。
一緒に過ごせる時間が短い分、こうして少しの空き時間も逃さない。
「おやすみ、いい夢見てね」
秋葉が電話を切り、宗介の一日が終わった。
ぺしぺしとちいさな手に顔を叩かれるところから、宗介の一日は始まる。
「ん~…みお~?」
母乳を要求され、仕方なく起き上がる。
美桜に母乳を与え、それから顔を洗う。
美桜は寝汗で汗疹ができてしまうので、お風呂は一日3回。
そのうち2回はシャワーで汗を流すだけだが、幼児はよく動くので大変だ。
昼まで寝る秋葉を起こさないためにも、なるべく静かに入れないといけない。
「みお~じゃぶじゃぶきもちーねー」
機嫌を取るためになんでも遊びに持っていくのがコツだ。
美桜は活発な性格で、少しでも目を離すと何をするかわからない。
動物がだいすきで、野良猫を見つけるとつい走って追いかけてしまう。
シャワーを浴びたらベビーパウダーを叩き、すべすべにする。
「よし、これでOK」
リサイクルショップで安く買ったベビーチェアに座らせ、昨日の夜に作っていた美桜用の朝食を食べさせる。
食べさせると言っても、上手に食べてくれるのであまり手はかからない。
美桜が食べるのを見守りながら、保育園用のリュックに着替えとおむつ、そして連絡帳を入れる。
連絡帳はその日何をしたのか、先生が丁寧に書いて教えてくれるのでありがたい。
美桜が朝食を食べ終わったら、着替えさせて一人遊びをしててもらう。
その間に夕飯の準備と、自分のお弁当、そして秋葉の昼食を作る。
秋葉は壊滅的に料理が下手なので、宗介が作るしかないのだ。
全ての支度ができたら、美桜を保育園に連れて行く。
最初こそ泣いたものの、生後3ヶ月を過ぎた頃から通っているためもう慣れっこだ。
先生と美桜に見送られ、家に帰る。
それから洗濯、お皿洗いをして、自分もパートに行くため準備をする。
秋葉はまだ寝ているので、昼食のメモを残し、自転車で出勤だ。
宗介が勤めるのは近くのスーパーで、お惣菜を作っている。
廃棄は貰えるので、節約にも有難いのだ。
陽気なおばちゃんのパートさんにもかわいがられ、それなりに楽しくやっている。
その後午後6時に退勤し、急いで美桜のお迎えに行く。
その日の疲れを癒すのは、美桜を迎えに行った時だ。
「まっ!」
ぎゅう、と抱きしめ、先生に挨拶をして自転車に乗せる。
そして買い物をして帰宅し、作っておいた夕飯を温める。
まだ一歳半の美桜は言葉こそ喋れないが、美味しい時はにっこりしてくれるので、作りがいがある。
「みおー、美味しいか?」
「んまっ!」
夕飯を食べさせたら急いでお風呂に入れ、母乳を飲ませてそのまま眠ってもらう。
ゆいの時に2歳まで母乳を飲ませていたと零に聞いたので、美桜も少しずつ減らして2歳には卒乳できるよう調節中だ。
母乳を飲んだらすぐに寝るので、それからまた家事をする。
保育園で汚れた服を丁寧に手洗いし、洗濯機に入れる。
夕方取り込んでおいた洗濯物を畳みながらテレビを見て、明日の朝のために美桜の幼児食を作り、明け方に帰ってくる秋葉のためにもご飯を作っておく。
保育園の連絡帳を確認し、先生への返信も書き、やることはこれでおしまいだ。
あとはお風呂に入って歯磨きをして、美桜の隣で眠る。
育児はほぼワンオペなので、正直キツイ。
最初はわからないことだらけで、泣いてばかりだった。
実家を出たあとも頻繁に零に電話し、泣きながら相談に乗ってもらったこともあった。
その度、零は優しい声で落ち着かせてくれる。
宗介にとって零は、お兄ちゃんみたいな存在だ。
と、寝ようと思っていたところに秋葉から連絡が入る。
「もしもし…?」
「ごめん、寝てた?」
休憩中に声が聞きたくなったらしい。
大丈夫だよ、と言い、少しだけ話す。
一緒に過ごせる時間が短い分、こうして少しの空き時間も逃さない。
「おやすみ、いい夢見てね」
秋葉が電話を切り、宗介の一日が終わった。
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