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番外編、圭吾と零
花嶺家の日常
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いつも通り、零が小学校の正門前で息子を待っていると。
「ままっ!」
一番乗りで駆け寄ってきたのは、次男のりおだ。
りおは小学一年生。
人間のお友達はまだいない。
幼稚園の頃からお友達作りに消極的で、いつも教室のすみっこで一人おままごと遊びをしていたりおは、小学生になってもこんな感じだ。
「おかえり~りお。今日も頑張ったね~」
零が優しく頭を撫でてやると、嬉しそうに擦り寄ってくる。
「あのねっあのねっ!今日ねっ!にゃんこまたきたの!」
今日の出来事を帰り道で嬉しそうに話してくれる。
「そっかそっか、猫さんまた入ってきたんだね~」
休み時間は校庭の隅にある草むらで遊んでいるらしく、たまに日向ぼっこをしに侵入してくる猫と、りおはお友達なのだ。
「うんっ!まま~、今日ぱぱおそい?」
今日は特に何も無いはずなので、定時には仕事を終えて帰ってくるだろう。
「7時には帰ってくるかな~?
それまでいい子で待ってようね」
家に帰ったら洗濯物を取り込んで、夕飯作りの続きをして…。
ここからは時間との勝負だ。
それまでりおにはおやつを食べたり飼い猫のももたと遊んでてもらおう。
「そうだ、今日猫さんと会ったならすぐお風呂入っちゃわないと…」
他の猫の匂いをつけて帰ってくると、ももたは拗ねて遊んでくれなくなる。
前にもそんなことがあったので、気づかれる前に洗い流さないといけない。
「今日はまま忙しいから遊べないけど、夜は絵本読んであげるからね」
帰宅後、すぐにりおとお風呂に入り、それから寝かせておいたハンバーグのタネを形成して焼く。
今日はワンプレートで洗い物を減らそう。
そんなこんなでインターフォンが鳴り、長男のゆいが帰宅する。
「ただいま!」
よし、今日はセーフ…。
長男のゆいはりおと真反対の性格で、いつも周りにはお友達がいる。
休み時間も大勢を誘ってサッカーをしているらしいし、今日もこれから5時までマンションの前にある公園で遊んでくるらしい。
「も~、ちゃんと土払ってきてね」
お風呂から上がってももたとお人形遊びをしているりおに、ゆいがダル絡みをしている。
「りお~今日もノラと遊んでただろ。
いいのか~?ももたがまた怒るぞ~」
ケラケラと笑いながら、弟の髪をわしゃわしゃしてランドセルを置きに行った。
「もうっ!やめてお兄ちゃんっ!」
ノラというのは先程の猫で、小学校内では有名な野良猫だ。
誰が決めたのかはわからない"ノラ"というあだ名が定着している。
「ゆい!遊びに行くならキッズケータイ持って行ってね」
キッズケータイは圭吾がゆいを心配して持たせているもので、基本電話かメールしかできない。
写真を撮る機能もあるらしいが、ゆいはそんなものに興味が無く、いつも持ち歩くだけになっている。
「りお、おやつ食べよっか」
零がりおに呼びかけると、とてもいい返事をして手を洗いに行った。
「どーなっつだ!」
「うん、りおが一番に選んでいいよ~。
喉詰まらせないように牛乳も飲んでね」
今日のおやつはちょっと奮発して、駅前のオシャレなドーナツ屋さんで家族4人分買ってきた。
「やった~!りおね、いちご!」
小さな手でいちごソースのかかったドーナツを取り、お皿の上で零さないよう器用に食べている。
「あ、洗濯物!」
りおがおやつを食べている間に忘れていた洗濯物を畳み、あっという間に5時になった。
ゆいは奔放な性格だけど、時間はきちんと守る。
今日も4時59分にインターフォンが鳴り、またドタドタと足音を響かせながらお風呂へ向かった。
りおはまた、お人形遊びに夢中だ。
「ままっ!」
一番乗りで駆け寄ってきたのは、次男のりおだ。
りおは小学一年生。
人間のお友達はまだいない。
幼稚園の頃からお友達作りに消極的で、いつも教室のすみっこで一人おままごと遊びをしていたりおは、小学生になってもこんな感じだ。
「おかえり~りお。今日も頑張ったね~」
零が優しく頭を撫でてやると、嬉しそうに擦り寄ってくる。
「あのねっあのねっ!今日ねっ!にゃんこまたきたの!」
今日の出来事を帰り道で嬉しそうに話してくれる。
「そっかそっか、猫さんまた入ってきたんだね~」
休み時間は校庭の隅にある草むらで遊んでいるらしく、たまに日向ぼっこをしに侵入してくる猫と、りおはお友達なのだ。
「うんっ!まま~、今日ぱぱおそい?」
今日は特に何も無いはずなので、定時には仕事を終えて帰ってくるだろう。
「7時には帰ってくるかな~?
それまでいい子で待ってようね」
家に帰ったら洗濯物を取り込んで、夕飯作りの続きをして…。
ここからは時間との勝負だ。
それまでりおにはおやつを食べたり飼い猫のももたと遊んでてもらおう。
「そうだ、今日猫さんと会ったならすぐお風呂入っちゃわないと…」
他の猫の匂いをつけて帰ってくると、ももたは拗ねて遊んでくれなくなる。
前にもそんなことがあったので、気づかれる前に洗い流さないといけない。
「今日はまま忙しいから遊べないけど、夜は絵本読んであげるからね」
帰宅後、すぐにりおとお風呂に入り、それから寝かせておいたハンバーグのタネを形成して焼く。
今日はワンプレートで洗い物を減らそう。
そんなこんなでインターフォンが鳴り、長男のゆいが帰宅する。
「ただいま!」
よし、今日はセーフ…。
長男のゆいはりおと真反対の性格で、いつも周りにはお友達がいる。
休み時間も大勢を誘ってサッカーをしているらしいし、今日もこれから5時までマンションの前にある公園で遊んでくるらしい。
「も~、ちゃんと土払ってきてね」
お風呂から上がってももたとお人形遊びをしているりおに、ゆいがダル絡みをしている。
「りお~今日もノラと遊んでただろ。
いいのか~?ももたがまた怒るぞ~」
ケラケラと笑いながら、弟の髪をわしゃわしゃしてランドセルを置きに行った。
「もうっ!やめてお兄ちゃんっ!」
ノラというのは先程の猫で、小学校内では有名な野良猫だ。
誰が決めたのかはわからない"ノラ"というあだ名が定着している。
「ゆい!遊びに行くならキッズケータイ持って行ってね」
キッズケータイは圭吾がゆいを心配して持たせているもので、基本電話かメールしかできない。
写真を撮る機能もあるらしいが、ゆいはそんなものに興味が無く、いつも持ち歩くだけになっている。
「りお、おやつ食べよっか」
零がりおに呼びかけると、とてもいい返事をして手を洗いに行った。
「どーなっつだ!」
「うん、りおが一番に選んでいいよ~。
喉詰まらせないように牛乳も飲んでね」
今日のおやつはちょっと奮発して、駅前のオシャレなドーナツ屋さんで家族4人分買ってきた。
「やった~!りおね、いちご!」
小さな手でいちごソースのかかったドーナツを取り、お皿の上で零さないよう器用に食べている。
「あ、洗濯物!」
りおがおやつを食べている間に忘れていた洗濯物を畳み、あっという間に5時になった。
ゆいは奔放な性格だけど、時間はきちんと守る。
今日も4時59分にインターフォンが鳴り、またドタドタと足音を響かせながらお風呂へ向かった。
りおはまた、お人形遊びに夢中だ。
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