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もしものふたり

破水

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※ もしものふたり の世界線です。
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「あらあら、そんなのは私に任せてちょうだい」
零が出産間近ということでしばらく泊まりに来ている圭吾の母、雅子はそう言って零から洗濯物を受け取る。
圭吾が仕事でいない時間、いつ陣痛が起こってもいいようにとお願いしたのだ。
零の母は腰が悪く、いざと言う時に二人とも動けなくなっては困る。
ということで遠路遥々手伝いをしに来てくれた雅子だが、さすが圭吾の母だ。
零の手伝いというよりは、ほぼお世話といった感じで、何から何までやってくれている。
朝は朝食作りから始まり、圭吾のお弁当作り、掃除、洗濯、買い物の荷物持ち、お風呂洗い、その他諸々も全て「いいのよ甘えなさい」と言って行う。
さすがに申し訳ないと思う零だが、何かをやろうとすると必ず取り上げられてしまう。
「そんな…僕も少しはやらないと…」
零は洗濯物を取り上げられ、雅子に促されながらソファーに座った。
そんなこんなで、零が動くのは朝と夕方の散歩くらいだ。
これもまた、雅子の付き添いである。
外で突然陣痛が始まっても対応できるよう、常に雅子は零を見守っていた。
「零くん、お腹冷えてない?
少しでもおかしいところがあったらすぐに言うのよ」
雅子は3人分の洗濯を干しながら、零を気遣う。
零が家事をしようとする時以外はとても優しく、圭吾のように甲斐甲斐しくお世話をしてくれる。
「じゃあせめて、畳むのだけでもやらせてください」
零がそうお願いすると、雅子は仕方ないわね、と零の座るソファーの横に乾いた洗濯物を置いた。
「これなら負担がかからないわね、じゃあ零くんお願いね」
はい、と零は返事をし、早速圭吾のTシャツを畳む。
次々と洗濯物を畳むうちに、家事をすることの楽しさが戻ってきた。
丁寧に、一枚ずつ畳んでいく。
すると突然、零にしか聞こえない音で、何かがプチン、と弾けた。
「っあ…え…??」
零は急いでソファーから腰を上げると、透明の液体が足を伝ってぽたぽたと流れ落ちてくる。
「うそ…どうしよう…」
雅子は気がつくと、急いで畳んであったタオルを広げ、零の股にそれを押し付けた。
「破水かしら…これ、自分で抑えられる?」
零は驚きを隠せないまま、雅子に言われた通りタオルを手で抑えた。
雅子は急いで携帯を取り、病院に連絡をする。
破水をすると赤ちゃんが感染症になるリスクが高まるため、すぐに病院へ行く必要があった。
雅子は産婦人科に連絡した後、一度零の様子を見、そしてまた携帯を手に取り圭吾へ連絡した。
「もしもし、あのね、今零くんが破水したかもしれないのよ。お母さん一緒に病院行くけど、圭吾もすぐに来れる?」
圭吾は驚いたが、すぐに冷静になって雅子に零を託した。
「大丈夫だからね、もうすぐ陣痛も始まるだろうけど…とりあえず病院に行きましょう」
雅子は一旦零を座らせ、急いで車の鍵を持って家を出た。
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