強制結婚させられた相手がすきすぎる

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もしものふたり

変わったこと

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※ もしものふたり の世界線です。
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妊娠5ヶ月、少しずつ膨らんできたお腹を抱え、零は買い物に出かけていた。
今日のお夕飯はお魚…ホッケにしようかな、なんて考えながら、比較的緩やかな坂を登る。
それでもキツくて、はあはあ言いながらゆっくり登っていると、小さい子をベビーカーに乗せているお母さんが目に入る。
おもちゃをヨダレででろんでろんにしているその子は、零の方を見るとへへ、と笑った。
かわいくて、零もにこ、と笑う。
ベビーカーを押しているお母さんは日除けをくい、と上げ、へへへ、と笑っている自分の子を見、そして零の方をもう一度見ると、ぺこりと会釈した。
零もそれに応え、すれ違っていく。
また、はあはあと言いながら坂を登り、漸く真っ直ぐな道へ辿り着いた。
バックから水筒を取り出し、お茶を飲む。
普段からできるだけ喉は乾かないように、と圭吾に言われているので、しっかりと水分補給をする。
この水筒も、圭吾がプレゼントしてくれたものだ。
そうして歩いていると、目的地のスーパーが見えてくる。
散歩も兼ねてゆっくりゆっくりと歩いてきたので、妊娠前よりも時間がかかる。
スーパーに到着すると、カートに買い物カゴを入れ、それを押していく。
ベビーカーも、こんな感じに押すのだろうか。
先程の小さい子を思い出し、微笑む。
妊婦なので重い荷物は避けようと、必要最低限の食材だけを買う。
そのまま一旦家へ荷物を置きに帰り、また外へ出てカフェへ向かう。
今日は午後休の圭吾と、そこで待ち合わせる予定だ。
カランコロン、というドアの開閉音と共に、店内へ入る。
席へ案内され、漸く一息ついた。
先に飲み物を注文する。
妊婦なのでカフェインは控えようと、ハーブティーを選んだ。
そうしてしばらく待っていると、圭吾が到着する。
「あ、圭吾さんこっちです」
手を上げると、零に気づいた圭吾はにこ、と笑って席に向かい、零の前へ座った。
「おまたせ。体調は?朝と変わりない?」
圭吾が聞くと、零は笑って答える。
「はい、朝より元気なくらいです」
零は圭吾にメニューを渡し、自分もフォカッチャを注文した。
席を見渡すと、何人かの子連れのお母さんやお父さんが見受けられる。
その中には、妊婦さんもいた。
「そういえば、妊娠してからかな…妊婦さんとか、小さい子がやたらと目に入るんです」
零はハーブティーを飲み、圭吾にそう話す。
「あ、俺もそうかも。
会社の人のお子さんの話とか、妊娠中の奥さんの話とか、今まではそんなに気にしてなかったのに、やたら耳に入ってくるというか」
不思議なものですね、と笑い合う。
零のお腹の中では、圭吾との赤ちゃんが、今日も元気に育っている。
いつか生まれるその日まで、二人でのんびりと待っていよう。
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