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もしものふたり
落ち着く匂い
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※もしものふたり の世界線です。
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朝起きると、零は圭吾の眠気覚ましにブラックコーヒーを入れる。
いつもは普通に入れることが出来るのに、
今日はどうしてもそれができずにいた。
「うっ…」
瓶の蓋を開けると、苦い香りがツンと鼻を通る。
あまりの不快さにそのまま瓶を置き、急に襲ってきた吐き気に蹲る。
「…気持ち悪い」
急いで蓋を閉めて、外の空気を吸いにベランダへ出た。
「うぅ…」
外からはどこかの家の朝食をつくる香りがする。
その匂いにすら吐き気を催し、すぐに窓を閉めた。
「だめだ…」
零はもう、どの匂いを嗅げばこの吐き気が治まるのだろうかと様々な匂いを嗅いでみる。
「おえ…」
お気に入りの柔軟剤を使ったタオルでさえも気持ちが悪い。
何度も嫌な匂いを嗅いでいるせいか、そのまま嘔吐してしまった。
「ぎもぢわるい…」
鼻に入ってくる全ての匂いが不快で、憂鬱な気持ちのまま圭吾を起こしに寝室へ向かう。
すると、
「あれ…」
いつもと変わらないはずの圭吾の匂いが、先程までの不快感を払拭する。
すうすうと何度も圭吾の匂いを嗅いでいると、流石の圭吾も違和感を察知したのか、
「…零?なにしてるの…」
と起きて異様な光景に驚く。
「あ、圭吾さん…やっと落ち着く匂いがあって…」
零は圭吾が移動している間もずっと圭吾にくっついて行き、すうすうと匂いを嗅いでいる。
「零…俺の匂いが拒絶されなかっただけでも有難いけど、これじゃ仕事行けないなあ…」
と言って朝風呂に入るため、服を脱ぐ。
零はその服をぎゅ、と握りしめ、匂いを吸い込みながらりあっさりとリビングへ向かった。
圭吾が風呂から上がる前に朝食をつくらないといけないので、冷蔵庫から卵やソーセージなどを取り出す。
そして圭吾の服を手放し、それらを急いで割ったり切ったりすると、またすぐに匂いを吸い込んだ。
なんとかして朝食を作り終えると、疲れたのかそのまま寝室へ向かった。
お腹を気遣いながらベットに入ると、今度は圭吾の枕を掴み、それをぎゅ、と抱いてそのまま眠ってしまう。
風呂から上がって零を探しに来た圭吾は、その異様な光景を写真に収めるのだった。
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朝起きると、零は圭吾の眠気覚ましにブラックコーヒーを入れる。
いつもは普通に入れることが出来るのに、
今日はどうしてもそれができずにいた。
「うっ…」
瓶の蓋を開けると、苦い香りがツンと鼻を通る。
あまりの不快さにそのまま瓶を置き、急に襲ってきた吐き気に蹲る。
「…気持ち悪い」
急いで蓋を閉めて、外の空気を吸いにベランダへ出た。
「うぅ…」
外からはどこかの家の朝食をつくる香りがする。
その匂いにすら吐き気を催し、すぐに窓を閉めた。
「だめだ…」
零はもう、どの匂いを嗅げばこの吐き気が治まるのだろうかと様々な匂いを嗅いでみる。
「おえ…」
お気に入りの柔軟剤を使ったタオルでさえも気持ちが悪い。
何度も嫌な匂いを嗅いでいるせいか、そのまま嘔吐してしまった。
「ぎもぢわるい…」
鼻に入ってくる全ての匂いが不快で、憂鬱な気持ちのまま圭吾を起こしに寝室へ向かう。
すると、
「あれ…」
いつもと変わらないはずの圭吾の匂いが、先程までの不快感を払拭する。
すうすうと何度も圭吾の匂いを嗅いでいると、流石の圭吾も違和感を察知したのか、
「…零?なにしてるの…」
と起きて異様な光景に驚く。
「あ、圭吾さん…やっと落ち着く匂いがあって…」
零は圭吾が移動している間もずっと圭吾にくっついて行き、すうすうと匂いを嗅いでいる。
「零…俺の匂いが拒絶されなかっただけでも有難いけど、これじゃ仕事行けないなあ…」
と言って朝風呂に入るため、服を脱ぐ。
零はその服をぎゅ、と握りしめ、匂いを吸い込みながらりあっさりとリビングへ向かった。
圭吾が風呂から上がる前に朝食をつくらないといけないので、冷蔵庫から卵やソーセージなどを取り出す。
そして圭吾の服を手放し、それらを急いで割ったり切ったりすると、またすぐに匂いを吸い込んだ。
なんとかして朝食を作り終えると、疲れたのかそのまま寝室へ向かった。
お腹を気遣いながらベットに入ると、今度は圭吾の枕を掴み、それをぎゅ、と抱いてそのまま眠ってしまう。
風呂から上がって零を探しに来た圭吾は、その異様な光景を写真に収めるのだった。
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