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もしものふたり
焦り
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※ もしものふたり の世界線です。
___________
「…あっ、圭吾さんっ…はぁ…んっ」
検査薬は結局、二度目も同じ結果が出た。
零は再び落胆し、その後三日間ほど落ち込んだが、また今夜から妊活を再開した。
「あぁ…ん…」
圭吾は汗ばむ零の額をタオルで拭く。
「零、赤ちゃんのこと、ゆっくり待とう。セックスが辛くなっちゃうよ…」
零はいつもより心に余裕がないのか、ほとんど愛液が出ていない。
そのため、圭吾が買ってきたローションを使って抽挿している。
どうしてもしたいと言うので仕方なく抱いた圭吾だが、零が感じていなければ意味が無い。
「だって…だって…う…」
零はついに泣き出した。
圭吾からタオルを奪い取り、わんわんと涙を染み込ませる。
タオルでくぐもった声が悲しくて、圭吾はそっと零の性器から自分の陰茎を抜いた。
そしてしばらく頭を撫でてやる。
「ゆっくりでいいから、今思ってること、話して」
少し落ち着くと、圭吾はティッシュを渡してそう聞いた。
零は鼻をかむと、ぽつりぽつりと話し始めた。
この一ヶ月圭吾も頑張ってくれたのに、赤ちゃんが来てくれなかったことで、
失望させてしまったかもしれない、と考えたこと。
もしかすると自分の元には、自分のお腹には、赤ちゃんは来たくないのかもしれない。
フライングで検査した後も、その二日後にまた検査をした後も、落ち込んで家事を疎かにしてしまったこと。
圭吾がせっかく慰めてくれたのに、それでも機嫌を直せなかったこと。
この一ヶ月、セックスが愛し合う目的よりも、赤ちゃんをつくる事ばかりに集中してあまり気持ちよくなれていなかったこと。
その全てが申し訳なくて、気持ちが沈んだままなのに今日抱いてくれと無理やり抱かせてしまったこと。
零の悲しみは、圭吾の想像を超えていた。
確かに誰よりも赤ちゃんを望んでいたのは零だし、家の中を見てもそれが一目でわかる。
零の焦りはここ数日でピークに達していたのだ。
「そっか…。気づいてあげられなくてごめんね。
今日はもう、やめようか。
また落ち着いたら話し合おう」
圭吾は泣いている零の身体を丁寧に拭き、そのまま二人で抱き合って眠った。
零は久しぶりに安心して眠ることが出来た。
______________
本編ではすぐに妊娠した零ですが、今作はちょっと焦らしてみようかと思いました。
結果として零をたくさん泣かせてしまいましたが…。
絶対に幸せにするので皆様も安心して眠ってください。
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「…あっ、圭吾さんっ…はぁ…んっ」
検査薬は結局、二度目も同じ結果が出た。
零は再び落胆し、その後三日間ほど落ち込んだが、また今夜から妊活を再開した。
「あぁ…ん…」
圭吾は汗ばむ零の額をタオルで拭く。
「零、赤ちゃんのこと、ゆっくり待とう。セックスが辛くなっちゃうよ…」
零はいつもより心に余裕がないのか、ほとんど愛液が出ていない。
そのため、圭吾が買ってきたローションを使って抽挿している。
どうしてもしたいと言うので仕方なく抱いた圭吾だが、零が感じていなければ意味が無い。
「だって…だって…う…」
零はついに泣き出した。
圭吾からタオルを奪い取り、わんわんと涙を染み込ませる。
タオルでくぐもった声が悲しくて、圭吾はそっと零の性器から自分の陰茎を抜いた。
そしてしばらく頭を撫でてやる。
「ゆっくりでいいから、今思ってること、話して」
少し落ち着くと、圭吾はティッシュを渡してそう聞いた。
零は鼻をかむと、ぽつりぽつりと話し始めた。
この一ヶ月圭吾も頑張ってくれたのに、赤ちゃんが来てくれなかったことで、
失望させてしまったかもしれない、と考えたこと。
もしかすると自分の元には、自分のお腹には、赤ちゃんは来たくないのかもしれない。
フライングで検査した後も、その二日後にまた検査をした後も、落ち込んで家事を疎かにしてしまったこと。
圭吾がせっかく慰めてくれたのに、それでも機嫌を直せなかったこと。
この一ヶ月、セックスが愛し合う目的よりも、赤ちゃんをつくる事ばかりに集中してあまり気持ちよくなれていなかったこと。
その全てが申し訳なくて、気持ちが沈んだままなのに今日抱いてくれと無理やり抱かせてしまったこと。
零の悲しみは、圭吾の想像を超えていた。
確かに誰よりも赤ちゃんを望んでいたのは零だし、家の中を見てもそれが一目でわかる。
零の焦りはここ数日でピークに達していたのだ。
「そっか…。気づいてあげられなくてごめんね。
今日はもう、やめようか。
また落ち着いたら話し合おう」
圭吾は泣いている零の身体を丁寧に拭き、そのまま二人で抱き合って眠った。
零は久しぶりに安心して眠ることが出来た。
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本編ではすぐに妊娠した零ですが、今作はちょっと焦らしてみようかと思いました。
結果として零をたくさん泣かせてしまいましたが…。
絶対に幸せにするので皆様も安心して眠ってください。
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