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番外編、圭吾と零
圭吾さん、零くん、はじめまして。
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※番外編、二人が初めてあった日のお話です。
もしものふたり は後日更新致します。
___________
「零~?まだお腹痛いの~?」
零の母、佳代子がトイレにいる零に呼びかける。
今日は初めて、結婚相手の男性と会う日。
昨日の夜、零は緊張しすぎて爆食してしまい、そのせいで朝からずっとこの調子である。
「…まって、もうちょっとだから…」
零はトイレの中でお腹を抱え、絶えず襲ってくる腹痛に身悶えていた。
やっとのことで家からは出られたものの、もうすでに約束の時間を30分もオーバーしている。
佳代子がお詫びの菓子折りを買い、圭吾の母親に連絡をしてくれたが、
さすがに初めてでの遅刻は印象が悪い。
零は腹痛が治らず、青白い顔で車の座席に横たわっている。
「もー、だから言ったじゃない。
あなたお腹弱いんだから…」
佳代子は運転しながら、零のいる後部座席に向かって呆れたように言う。
零は毛布をかけてお腹を擦りながら、
「う~…」
と母親の声に聞く耳を持たず唸っている。
と、そこに圭吾の母親から佳代子へメッセージがきた。
信号待ちの間にそれを開くと、
『零くんの調子はどうかしら。
圭吾からの伝言です、今日が無理そうなら延期でもいいって。
もう出ているならこちらのことは気にせず、ゆっくり安全に来てね。』
「だって、行けるの?」
と佳代子。
佳代子と圭吾の母、雅子は以前からちょくちょく会ってお茶をしているので、
それなりに仲が良い。
「ん…お腹痛いけどはやく会ってみたい…」
零は今日会える理想の王子様に、どうしても会いたかった。
小さい頃からずっと夢見ていた、結婚。
今日は会って、それから婚姻届を出して。
まだ会ったことがない彼に、少しの不安もありつつ、大きな期待を抱いている。
「じゃあもし無理そうだったら、本当に言ってね。
お母さんだって心配なんだから…」
そうしてしばらく車に乗り、待ち合わせ場所に到着した。
結局一時間の遅刻をしたが、圭吾も圭吾の両親も、全く怒っていない。
「はじめまして、零くんだよね。
これからよろしくお願いします」
圭吾は車に乗っている零の手を取り、出迎えてくれる。
零は先程までの腹痛が吹っ飛んで、
目の前にいる理想以上の王子様に目を見開いた。
「あ…えっと、立花零です。
はじめまして…それで、えっと…
これからよろしくお願いします…!」
緊張から、言葉がすらすらと出てこない。
遅刻をしたのに体調の心配をしてくれて、その上笑顔で出迎えてくれるなんて。
圭吾は零の手を離し、これから食事をするレストランに案内する。
「えっと…あの、圭吾さん?」
零は、そう呼んでいいの?とでも言いたげな表情で圭吾の名前を呼ぶ。
「ん?どうしたの?」
圭吾は微笑んで、零の方を向く。
「今日は、遅刻してすみませんでした…」
せっかく圭吾が目を合わせてくれたのに、零は俯いてしまう。
「あ、そのこと?
お腹が痛かったなら仕方ないよ。
それに、結婚したらそういうことだってあるだろうし、ね」
そう言って、圭吾は零の顔を真っ直ぐ見る。
「これから夫婦として、末永くよろしくお願いします」
それから花嶺家と立花家で食事をし、
午後には婚姻届を書いて提出した。
今日から晴れて、花嶺零になったのだ。
まだ出会ったばかりの旦那さんと、
これからのことに不安はあるけど。
それでも今日はとてもいい日だった、と零は思った。
_____________
なかなか更新できず申し訳ないです。
今回は零が花嶺になった日のお話でした!
もしものふたり は後日更新致します。
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「零~?まだお腹痛いの~?」
零の母、佳代子がトイレにいる零に呼びかける。
今日は初めて、結婚相手の男性と会う日。
昨日の夜、零は緊張しすぎて爆食してしまい、そのせいで朝からずっとこの調子である。
「…まって、もうちょっとだから…」
零はトイレの中でお腹を抱え、絶えず襲ってくる腹痛に身悶えていた。
やっとのことで家からは出られたものの、もうすでに約束の時間を30分もオーバーしている。
佳代子がお詫びの菓子折りを買い、圭吾の母親に連絡をしてくれたが、
さすがに初めてでの遅刻は印象が悪い。
零は腹痛が治らず、青白い顔で車の座席に横たわっている。
「もー、だから言ったじゃない。
あなたお腹弱いんだから…」
佳代子は運転しながら、零のいる後部座席に向かって呆れたように言う。
零は毛布をかけてお腹を擦りながら、
「う~…」
と母親の声に聞く耳を持たず唸っている。
と、そこに圭吾の母親から佳代子へメッセージがきた。
信号待ちの間にそれを開くと、
『零くんの調子はどうかしら。
圭吾からの伝言です、今日が無理そうなら延期でもいいって。
もう出ているならこちらのことは気にせず、ゆっくり安全に来てね。』
「だって、行けるの?」
と佳代子。
佳代子と圭吾の母、雅子は以前からちょくちょく会ってお茶をしているので、
それなりに仲が良い。
「ん…お腹痛いけどはやく会ってみたい…」
零は今日会える理想の王子様に、どうしても会いたかった。
小さい頃からずっと夢見ていた、結婚。
今日は会って、それから婚姻届を出して。
まだ会ったことがない彼に、少しの不安もありつつ、大きな期待を抱いている。
「じゃあもし無理そうだったら、本当に言ってね。
お母さんだって心配なんだから…」
そうしてしばらく車に乗り、待ち合わせ場所に到着した。
結局一時間の遅刻をしたが、圭吾も圭吾の両親も、全く怒っていない。
「はじめまして、零くんだよね。
これからよろしくお願いします」
圭吾は車に乗っている零の手を取り、出迎えてくれる。
零は先程までの腹痛が吹っ飛んで、
目の前にいる理想以上の王子様に目を見開いた。
「あ…えっと、立花零です。
はじめまして…それで、えっと…
これからよろしくお願いします…!」
緊張から、言葉がすらすらと出てこない。
遅刻をしたのに体調の心配をしてくれて、その上笑顔で出迎えてくれるなんて。
圭吾は零の手を離し、これから食事をするレストランに案内する。
「えっと…あの、圭吾さん?」
零は、そう呼んでいいの?とでも言いたげな表情で圭吾の名前を呼ぶ。
「ん?どうしたの?」
圭吾は微笑んで、零の方を向く。
「今日は、遅刻してすみませんでした…」
せっかく圭吾が目を合わせてくれたのに、零は俯いてしまう。
「あ、そのこと?
お腹が痛かったなら仕方ないよ。
それに、結婚したらそういうことだってあるだろうし、ね」
そう言って、圭吾は零の顔を真っ直ぐ見る。
「これから夫婦として、末永くよろしくお願いします」
それから花嶺家と立花家で食事をし、
午後には婚姻届を書いて提出した。
今日から晴れて、花嶺零になったのだ。
まだ出会ったばかりの旦那さんと、
これからのことに不安はあるけど。
それでも今日はとてもいい日だった、と零は思った。
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なかなか更新できず申し訳ないです。
今回は零が花嶺になった日のお話でした!
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