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もしものふたり
仲直りのプリンアラモード
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※もしものふたり の世界線です。
___________
「零くん、美味しい?」
零は怒ったままの表情で、
ラスクをボリボリと食べている。
こんなに感情を出す子だったんだな、と圭吾は思った。
「…美味しいはずですよ、怒ってなければですけどね」
零は圭吾の分のラスクにも手を出し、
冷たいミルクティーを飲む。
「ごめんって…ほんとに」
圭吾は先程から謝り倒している。
零はその度にぷんすかと音が出そうなくらいほっぺたを膨らませ、次から次へと甘いものを注文している。
「…なんで避けたりなんかしたんですか」
いっぱい甘いものを食べて少し落ち着いたのか、零はミルクティーを一口含むと圭吾にそう聞いた。
「なんでって、零くんを諦めるためだよ。
あんなに若くてかっこいい男の人が隣にいるのに、勝ち目なんてないよ。
それに、零くんも俺の気持ちに気づいてたでしょ?」
圭吾は冷静にそう言うと、零のミルクティーを飲む。
「あ、それ僕の…。
じゃなくて、なんで気づいてるってわかってて何も言わなかったんですか!
僕、ずっと待ってたんですよ。
デートに誘われる度に、今か今かと、ずっと…」
零は俯いて悲しそうな表情をし、そしてまたぷくぅ、とほっぺたを膨らませる。
風船になって飛んでいってしまいそうだ。
「…自信がなかったんだよ。
それに、好きな男がいるだなんて言うから。
そんなの聞いて、その、亮くん?って人と一緒にいるのを見たら、勘違いもするよ」
俺なんかより何倍もかっこよかったから。
と圭吾。
零は怒り続けることに疲れたのか、
ぽろりと涙を零した。
「僕、もうこんな言い合いみたいなことしたくない…。
せっかく久しぶりに圭吾さんと会えたのに、こんなんじゃ意味ない…」
圭吾は次から次へと涙をこぼす零の傍へ行き、背中をさする。
会えなかった間、この子はどれだけ悲しい思いをしたのだろう。
どれだけの勇気を振り絞って、今日のプラネタリウムに誘ってくれたのだろう。
圭吾は自分の愚かさに落胆した。
それと同時に、自分のことで一喜一憂して涙まで流す零を、心から愛おしいと思った。
「ねえ零くん、プリンアラモードだって。
これ食べて、仲直りしよっか」
店員が運んできたプリンアラモードは、予想以上にボリューミーだった。
真ん中のプリンには生クリームが搾られ、
その周りにはお花畑のようにたくさんのフルーツが囲んでいる。
「さくらんぼ、圭吾さんにあげます」
泣いて目を赤くした零が、ズビッ、と鼻をすすり、圭吾にさくらんぼを差し出す。
「いやいや、零くんが食べてよ。
お詫びも兼ねて…」
圭吾が言うと、待ってましたとばかりの素早さで零は口に放り込んだ。
やっぱり、かわいい。
それでもさすがにお腹がいっぱいになったのか、結局残りのプリンアラモードは全て圭吾の胃に納まった。
「ありがとう、許してくれて」
帰り道で圭吾が言うと、もう、今回だけですからねっ!と甘いものを沢山食べて上機嫌になった零は、ぴょんぴょんと跳ねるようにして駅まで歩いたのだった。
____________
本編よりも何歳か若い零は、子どもっぽくてかわいいですね。
あと少し続きます。
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「零くん、美味しい?」
零は怒ったままの表情で、
ラスクをボリボリと食べている。
こんなに感情を出す子だったんだな、と圭吾は思った。
「…美味しいはずですよ、怒ってなければですけどね」
零は圭吾の分のラスクにも手を出し、
冷たいミルクティーを飲む。
「ごめんって…ほんとに」
圭吾は先程から謝り倒している。
零はその度にぷんすかと音が出そうなくらいほっぺたを膨らませ、次から次へと甘いものを注文している。
「…なんで避けたりなんかしたんですか」
いっぱい甘いものを食べて少し落ち着いたのか、零はミルクティーを一口含むと圭吾にそう聞いた。
「なんでって、零くんを諦めるためだよ。
あんなに若くてかっこいい男の人が隣にいるのに、勝ち目なんてないよ。
それに、零くんも俺の気持ちに気づいてたでしょ?」
圭吾は冷静にそう言うと、零のミルクティーを飲む。
「あ、それ僕の…。
じゃなくて、なんで気づいてるってわかってて何も言わなかったんですか!
僕、ずっと待ってたんですよ。
デートに誘われる度に、今か今かと、ずっと…」
零は俯いて悲しそうな表情をし、そしてまたぷくぅ、とほっぺたを膨らませる。
風船になって飛んでいってしまいそうだ。
「…自信がなかったんだよ。
それに、好きな男がいるだなんて言うから。
そんなの聞いて、その、亮くん?って人と一緒にいるのを見たら、勘違いもするよ」
俺なんかより何倍もかっこよかったから。
と圭吾。
零は怒り続けることに疲れたのか、
ぽろりと涙を零した。
「僕、もうこんな言い合いみたいなことしたくない…。
せっかく久しぶりに圭吾さんと会えたのに、こんなんじゃ意味ない…」
圭吾は次から次へと涙をこぼす零の傍へ行き、背中をさする。
会えなかった間、この子はどれだけ悲しい思いをしたのだろう。
どれだけの勇気を振り絞って、今日のプラネタリウムに誘ってくれたのだろう。
圭吾は自分の愚かさに落胆した。
それと同時に、自分のことで一喜一憂して涙まで流す零を、心から愛おしいと思った。
「ねえ零くん、プリンアラモードだって。
これ食べて、仲直りしよっか」
店員が運んできたプリンアラモードは、予想以上にボリューミーだった。
真ん中のプリンには生クリームが搾られ、
その周りにはお花畑のようにたくさんのフルーツが囲んでいる。
「さくらんぼ、圭吾さんにあげます」
泣いて目を赤くした零が、ズビッ、と鼻をすすり、圭吾にさくらんぼを差し出す。
「いやいや、零くんが食べてよ。
お詫びも兼ねて…」
圭吾が言うと、待ってましたとばかりの素早さで零は口に放り込んだ。
やっぱり、かわいい。
それでもさすがにお腹がいっぱいになったのか、結局残りのプリンアラモードは全て圭吾の胃に納まった。
「ありがとう、許してくれて」
帰り道で圭吾が言うと、もう、今回だけですからねっ!と甘いものを沢山食べて上機嫌になった零は、ぴょんぴょんと跳ねるようにして駅まで歩いたのだった。
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本編よりも何歳か若い零は、子どもっぽくてかわいいですね。
あと少し続きます。
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